猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

きのうの安倍晋三の施政方針演説は国民をなめている

2020-01-21 22:26:21 | 安倍晋三批判
 
きのうは、第201回国会の開幕で、安倍晋三の施政方針演説があった。全文が、官邸のウエブサイトにかかげられている。
 
読むと、その各見出しはこれまでと同じである。ただ、「1 はじめに」と「7 おわりに」とは、安倍晋三らしい響きがある。妙に感傷的である。
 
冒頭の「1 はじめに」は つぎではじまる。
 
《 五輪史上初の衛星生中継。世界が見守る中、聖火を手に、国立競技場に入ってきたのは、最終ランナーの坂井義則(よしのり)さんでした。
 八月六日広島生まれ。十九歳となった若者の堂々たる走りは、我が国が、戦後の焼け野原から復興を成し遂げ、自信と誇りを持って、高度成長の新しい時代へと踏み出していく。そのことを、世界に力強く発信するものでありました。》
 
締めくくりの「7 おわりに」は つぎではじまる。
 
《 「人類は四年ごとに夢をみる」
 一九六四年の記録映画は、この言葉で締めくくられています。》
 
別に感傷的な言葉を首相が語ることは悪いことではないが、間に挟まれた中身が悪い。安倍がキーワードを官僚に投げかけ、官僚が自分に都合のよいことを詰め込んだだけで、よくこんな身勝手な施政方針を安倍は平気で読み上げることができたのか、と思う。
 
たぶん、安倍は、日本国民がバカで だれも中身を気にせず、話し手の表情と声の調子だけで演説を評価している、となめきっているのであろう。
 
ここでは、「五 一億総活躍社会」を取り上げてみよう。ここは、(全世代型社会保障)、(子育て支援)、(一億総活躍社会)に、トピックが分かれている。
 
(全世代型社会保障)の本当の中身は、老人にたいする切り捨てある。年金の支給の開始時期を75歳まで遅らすことを、「年金受給開始の選択肢を、七十五歳まで広げます」と提案している。また、医療費に関しては、「七十五歳以上であっても一定以上の所得がある方には、窓口での二割負担を新たにお願いする」ことを提案している。
 
この老人切り捨て施策を、耳障りよくするため、この春から、大企業では、同一労働同一賃金がスタートします」と始める。そして、混乱させるため、「三千億円を上回る、ものづくり補助金、IT補助金、持続化補助金により生産性向上への支援」という、無関係な施策を挟んで、みなさん、年とっても働きたいでしょうと、「七十歳までの就業機会を確保します」と語る。
 
じっさいには50歳から老化が進み、若いときのように体も頭も働かず、賃金はさがり、若いものにバカにされる。日本では年功序列というが、そんなものは30年前のバブルがはじけたときから、崩れている。退職金の額をさげるために、退職近くの雇用者の賃金を意図的に下げる。一部の管理職だけが高い給料をとっている。普通の年寄りは安い賃金で働いているのである。最低賃金制が最後の頼みになっている。
 
(子育て支援)もよくわからない内容だ。
 
現状では、女の人が働くといってもレジやコンビニ弁当作りのような単純労働である。男の人の仕事の多くもそれと大差がない。そんなに、「一億総活躍」という素晴らしい仕事が世の中にあるはずがない。金持ちが収奪するためには、賃金労働者が必要である。賃金労働者の数をふやすために、「保育の受け皿整備を進め、待機児童ゼロを実現」しようとしているのではないか。親がこどもをいつくしんで育てることができる経済的環境、時間的余裕こそ大事ではないか。また、集団保育や教育の質を問題にしなければならないのでは。
 
(一億総活躍社会)では、パラリンピックに合わせて「バリアフリー社会の実現」を提案している。これに賛同するが、政府機関で障害者雇用の法規定を守っていなかったことに言及していないのは納得できない。政府は 障害者を「企画部門」で「政策決定」に 積極的に雇っていかないと「バリアフリー社会の実現」をできない。そうでないと、それを名目にして、自民党支持基盤の一部企業にお金が回るだけになる。何が「バリアフリー」かを判断するのは、障害者自身でなければならない。
 
もう一度言う。安倍は、日本国民がバカで だれも中身を気にせず、話し手の表情と声の調子だけで演説を評価している、となめきっている。