猫じじいのブログ

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新型コロナ対策専門家会議を廃止とはトンデモナイ、辞めるべきは安倍晋三

2020-06-26 23:19:57 | 新型コロナウイルス


西村康稔経済再生相が6月24日の記者会見で、新型コロナウイルス対策専門家会議を廃止すると発言した。新型コロナウイルス流行が終わったわけでもないのに、今まで対策を提言してきた、専門家会議を「廃止」するとはどういうことか、安倍政権が気が狂ったのではないかと思う。

緊急事態宣言をしたのは、あくまで、安倍晋三である。新型コロナ対策の不手際の責任をとって安倍晋三が首相の座を降りるならわかる。これまで、最前線で動いてきた専門家会議を廃止して何の意味があろうか。

また、業種別の閉鎖要求をまとめたのは各都道府県の知事をささえる役人である。不満があるなら、都道府県の知事に言うべきである。

5月25日に全国で緊急事態宣言を解除したあと、安倍政権は経済優先で動いている。こんなときこそ、政権と異なる意見をいう、専門家会議こそ必要なのだ。

これまで、政府の諮問会議というと、官僚はイエスをいう人間ばかりを集め、案はすべて事前に官僚が決め、諮問会議はただ了承するだけだった。ところが、今回の専門家会議は自分の意見をいう。

私にとって特に印象深いのは、3月19日夜10時50分からの新型コロナウイルス対策専門家会議の記者会見である。

専門家会議から出席者は、座長の脇田隆字氏(国立感染症研究所所長)、尾身茂(独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)、西浦博(北海道大学教授)、川名明彦(防衛医科大学)である。50分間かけて専門家会議の結論を説明し、70分間かけて記者質問に丁寧に答えた。

NHKは記者質問にはいったところで、中継を打ち切った。CS TBSは真夜中の12時を過ぎたところで、打ち切った。私は、YouTubeで2時間の記者会見の全部を見た。安倍晋三の質問に答えない不遜な態度とまったく異なっていた。真摯な受け答えに、私だけでなく、あの頑固じじいの木村太郎もほめたたえた。

尾身は、記者の質問に答えて、その直前の専門家会議がもめたことを認めた。
大規模イベントは制限すべきか否かなどの行動制限のところでもめたが、日本の都市部で爆発的感染拡大(overshoot)が起きるとの危機意識は全員で共有されたと答えた。

こんなに熱心な議論が行われる政府の有識者会議を私は見たことはない。それだけ、専門家会議のメンバーたちは、新型コロナ感染流行に危機意識をもって、真剣に討論したのだ。

このとき、専門家会議は、「気が付かないうちに感染が広がり爆発的に感染が拡大し、医療の供給に過剰な負担をかける」と警告した。新型だからみんなに免疫力がなく、飛沫浴びれば簡単に感染してしまう。いっぽう、無症状の感染者が4割近くあり、気づかないうちに、彼らが感染を広げてしまう。

そのときの専門家会議の提言は、
(1)クラスター(集団感染)の早期発見対応
(2)患者の早期診断、重症者の集中治療
(3)市民行動の変容
である。

すなわち、東京のロックダウン(都市封鎖)は小池百合子の主張であり、学校や大学の閉鎖は安倍晋三の主張である。

この記者会見からまもなく、尾身茂は、「帰国者相談センターに相談するのは風邪の症状や37.5°C以上の発熱が4日以上続いた人」というのは、医学的な見地ではなく、PCR検査が間に合わないからだと言っている。

クラスターの早期発見や患者の早期診断のためには、政府がPCR検査の実施能力を上げなければいけなかった。すなわち、政府は一貫して、専門家会議の提言を蹴ってきたのである。

また、マスコミもいけない。この間、マスコミは右往左往してきた。

3月21日の朝7時のフジテレビのニュース番組で、新型コロナ対策専門家会議がイベントを禁止しなかったことを、国民に判断を丸投げしていると非難した。大規模イベントを禁止すれば感染を抑えられる、しかし、国民の自由を制限することになる。専門家会議に禁止する権限はなく、中止要請は政府の権限の範囲である。

専門家会議がだした提言「市民行動の変容」は、「国民に判断を丸投げ」でなく、国民の自由の制限を最小限にするためのバランスのとれた提言である。

西浦の言っていることも、予測ではなく、ありうる1つのシナリオの話しであり、マスコミの取り上げ方に問題がある。数学モデルを使っているといっても、入力データが信頼できないから、予測できるはずがない。

数学モデルのなかの実効パラメータをいじると、結論がどう変わるかは、IF-シナリオといって、経済政策を立てるときに良く使われる。したがって、人との接触を8割減らすといっても、別に人出が8割減ることとまったく関係ない。マスクするだけで、人との接触を2割減らすかもしれないし、社会的距離を2メートルとれば、4割減らすことになるかもしれない。新規感染者が減れば、「人との接触」という実効パラメータが8割減ったことになる。

社会現象における数学モデルの意味が、マスコミや政府関係者がまったく理解できていない。

新型コロナの爆発的感染拡大は、3月19日の専門家会議の提言で防がれた。安倍晋三の学校や大学の閉鎖、緊急事態宣言はいらなかった。小池百合子の都市封鎖もパチンコ店の閉鎖もいらなかった。

こういう状況で、政府の方針と異なる発言をするからといって、新型コロナウイルス対策専門会議を廃止して良いのか。安倍晋三や小池百合子の失策の責任を専門会議の押し付け、メンバーを侮辱しているのではないか。辞めるべきは安倍晋三であり、小池百合子である。