有川浩のデビュー作。
ある日突然、世界的規模の隕石が地球に降り注ぐ。
東京湾の埋め立て地にもその一つが落下する。
その瞬間から、不吉な出来事が世界中に起こり始める。
巨大な落下物によって、東京だけでも数百万人の人間が死亡。
生き残った人間も、塩化と言う奇妙な病に侵され始める。
体全体が、塩に変化して、やがて死亡する。
宇宙からの落下物は、巨大な塩の結晶であることが分る。
当日、両親と行き別れた女子高生のミナは、もう、両親は塩になったと諦めて一人で生活を
始めるが、路上で、多数の暴漢に襲われたところを、通りかかったアキバに助けられて、家
に引き取られる。
アキバは、自衛隊の優秀なパイロットであったが、落下物と、塩化の因果関係を上申して入
れられず、除隊していた。
アキバとミナの関係は、父娘、兄妹の関係であったが、やがて、二人とも、愛を感じる様に
なって行く。
天才的な奇人イリエは、この関係を利用して、災難の原因である落下物を、破壊しようと考え
る。
アキバに米軍厚木基地の戦闘機F14Aトムキャットを略奪させ、落下物に空対地ミサイルを
打ち込ませようとする。
この無謀な計画に、せめて、ミナだけでも地球に生かせておきたいイナバは、死を覚悟して
最終的に従ってしまう。
ミナは、愛を告白して、イナバを引きとめるが、その願いを振り切って基地に忍びこむイナ
バ、イリエの無線で必ず生きて帰って来いと、呼びかけるミナの願いは、イナバに届くだろう
か。
暗黒の東京の夜空の元に佇むミナの頭上を、トムキャットは、轟音を響かせながら東京湾へ
向かって飛び去って行く。