宝石の性質・特徴を比較してみました
前回、宝石の性質・特徴比較表をのせましたが、それぞれの石の魅力について書いてみました。あくまで私の趣味の範囲で・・・ということで。
前回載せた、比較表です。
Jewel
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硬度
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へき開度
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密度
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屈折率
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分散
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ダイヤモンド
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10
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完全
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3.5
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2.42
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0.044
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石英(水晶)
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7
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なし
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2.65
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1.54~1.55
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0.013
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ガーネット
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7~7.5
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不完全
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3.6~4
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1.8
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0.027~0.022
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トルマリン
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7~7.5
|
なし
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3~3.2
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1.62~1.65
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0.017
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ルビー、サファイア
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9
|
なし
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4
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1.77
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0.018
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トパーズ
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8
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完全
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3.5
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1.61~1.63
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0.014
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アクアマリン、エメラルド
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7.5~8
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なし
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2.7
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1.57~1.60
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0.014
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カンラン石
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6.5~7
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なし
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3.3
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1.65~1.69
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0.02
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アマゾナイト
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6~6.5
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完全
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2.6~2.7
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1.52~1.57
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0.012
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ラピスラズリ
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5~5.5
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不完全
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2.38~2.45
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1.5
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-
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スピネル
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8
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なし
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3.6
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1.7
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ムーンストーン
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6
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完全
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2.6
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1.58~1.59
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赤 1番 青 2番 緑 3番
宝石の輝きという点で、屈折率と分散に着目してみます。屈折率と分散の数値が高いほど、透明な石の輝きが増します。
ダイヤモンド
天然の金剛石、ダイヤモンドの結晶があったのですが迷宮の部屋に埋もれて見つかりません。すみません、画像はありません。
屈折率と分散の値が一番大きいのは、ぶっちぎりでダイヤモンドです。やはりダイヤの輝きはずば抜けているのです。鉱物の中では一番硬く、工業ダイヤ(合成ダイヤ)として金属加工や研磨剤として多く使われています。しかしへき開度が高く割れやすくて、欠けやすいです。
ー追伸ー
人造ダイヤ、キュービクル・ジルコニアを手に入れました。天然石ではありませんが、まったく自然石と同じ材質、構造です。
1.45ct6.0mmのラウンドブリリアンカットです。1ct あると、結構存在感があります。自然石では、10万円以上するでしょう。前面から入射した光が背面の多角錐、斜めにカットされた面で全反射して、前面に戻ってきます。なので正面から見た時に、入射した光がすべて反射されて鏡のように見えて、しかも分散度が高いので反射された光は七色に輝きます。分散度は可視光の色ごと、つまり波長ごとに光を分散分離させる度合です。やはりダイヤモンドは宝石の王様ですね。
簡単なダイヤの見分け方、水に入れてその屈折率を確認する。
屈折率の低い水晶やガラスなどは、水に浸けると透き通ってしまいます。本物のダイヤは水に浸けてもその輝きは変わりません。
ー追伸ー
ちなみに「4C」とは、「カラット」「カラー」「クラリティ」「カット」の頭文字を表わすダイヤモンドの評価基準で、この4つのバランスが優れているダイヤモンドほど、高く評価されます。
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CARATカラット/重さ
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COLORカラー/色
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CLARITYクラリティ/透明度
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CUTカット/輝き
この基準は、他の宝石の評価基準にも当てはまるものでしょう。
ガーネット
続いて数値の高いのは、ガーネットです。硬度がやや低いので傷がつきやすいのですが、比較的大きな原石が多く産出するので、安い値段で手に入れることが出来ます。あまり輝きのないような見た目からすると、屈折率、分散の値が大きいのが意外です。透明なのですが比較的濃い色がついているので、そのように感じるのでしょう。黒味の少ない、より鮮やかな赤色が高価です。
ルビー、サファイア
次はルビーとサファイアです。宝石の輝きよりは色と希少性のためでしょうか、特にルビーは人気があり価格も高いです。硬度もダイヤモンドに次いで硬いので傷がつきにくく、その点でも人気があって高値が付いているのかもしれません。ルビーとサファイアは同じ鉱物なのですが、含まれる不純物によって、赤くなったり青くなったりしています。
ちなみにイギリス国王の王冠の中央についている大きな赤い宝石はルビーと云われていますが、あれほど大きなルビーは存在しない、おそらくガーネットだろうと云われています。しかしエリザベス女王には、華やかな赤色の宝石が、よくお似合いです。まるで、ルビーのようです。
ガーネットの赤はワインレッド、ルビーの価値の高い赤はピジョンブラッド(鳩の血)と云われています。ガーネットは赤茶色で、ルビーと比べると、赤色のキレイさで見劣りがします。
ルビーです。左の写真、右の三つは合成です。一番左の1mmほどの石が、天然のルビーです。合成とは、成分は天然の物と全く同じです。原料粉末を高温で結晶化させ人工的に合成されたもので、基本的には天然の石と全く同じ性質を持っています。天然物と違って、本来の物質以外の不純物はまったく含んでいないのである意味、純粋な石が作られます。中の2つはややピンクですが、右の大粒の石は深紅の、いわゆるピジョンブラットに近い色です。天然であれば素晴らしい色なのですが、合成なのでどこか品の無いものに見えてしまいますw...
サファイア
左の写真、右の石は天然かもしれません。他は合成のサファイアです。深いブルーの色は、男性的で魅力的です。大玉でも品があります。私の好きな宝石です。
エメラルド
屈折率と分散、硬度も低いのに人気があって高価な石は、エメラルドです。エメラルドは、スリランカ、タイ、ビルマ、インドネシアそして南米コロンビア、ブラジルなどで産出する宝石で、非常に人気があり高価です。理由はなぜですかねぇ・・・緑の色が良いのでしょうか。たぶん希少性ではないと思います。産出量は、結構あると思います。気泡や目に見える不純物が含まれているものが多いので、それらの無い透明な石が高価なのでしょう。またクラックが入りやすい石でもあります。
この2つの石は、小さくて品質は良くありませんが、天然のエメラルドです。
トルマリン
他に緑色の石では、トルマリンがあります。トルマリンも屈折率や分散、硬度もエメラルドと同じような値なのに、こちらは安く手に入ります。へき開度がないので、何かネットリした感じの石です。ロシアが主な産出国だったと思います。緑の色と透明感は、エメラルドには全く敵いませんね。やはりエメラルドは、とても魅力的な石だと思います。
アクアマリン
アクアマリンも基本はエメラルドと同じ石で、微量に含まれる成分の違いによって色が変わります。淡いブルーは、ヨーロッパでは人気がある石です。大きな石が産出するので、以前は大玉でも比較的安価で求めることができたのですが最近は人気が出て原石が不足し、値段が高騰しています。
アクアマリンは開高健の遺作「珠玉」に、海が好きな老船舶医師が愛した石として書かれています。開高健は食と酒、お茶(紅茶、中国茶)と、そして宝石を愛した最後の文豪といわれていますね。
スピネル
合成のスピネルです。淡いブルーグリーンで、見た目はちょっとガラス玉のような・・・。スピネルも、比較的安価で手に入りますが、天然物でこんな大玉はめったにありません。天然の大きな石は希少性もあり、大変高価です。
硬度も8と硬い石で、屈折率もルビー、サファイアに次いで1.7あり輝きがあります。
ラピスラズリ(瑠璃)
カボションカットのラピスラズリと原石です。
ラピスラズリはアフガニスタンが主な産地で、古くからエジプトやバビロニアなどで、宝石として貴重なものでした。イスラムのモスクなどでは、タイルや塗料として使われています。ヨーロッパでは油絵具ウルトラマリンの原料として用いられています。とても高価な顔料で、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のターバンを描くのにも使われています。現在はそれほど高価な石ではありません。
右の原石には、黄土色に見える黄鉄鉱が混ざっています。
ムーンストーン
ムーンストーンも安く手に入ります。透明度がなくて、しっとりとした輝きのある白色の濁りがあります。それがまた、この石の魅力でもあります。価値としてはあまり評価されていませんが、私の好きな石です。昔はJewel(宝石)ではなく、Gem(原石)として扱われていました。
この石も開高健の「珠玉」で取り上げられています。開高健が生涯ただ一度の浮気・・・とされている某編集社(集英社?)の女性とのエピソードで、男の精液の例えで・・・。たしかにこの輝く澄明な白濁(開高的な表現ですねw)は、それを感じさせられる・・・
密度(比重)が高いと透明度や屈折率、分散も高いように思われるのですが、ダイヤモンドと他の石とを比べると、必ずしもそうではないようです。
へき開度(結晶面に沿った割れやすさ)は、分散などに相関があるようにも思われるのですが、表の値を見ると・・・これもそうでもないか。
宝石の魅力は、数値だけでは評価できないということですね。見た目の美しさ、色合い、透明感、輝きなど、総合的に見てそれらが優れた石には希少性があるのだと思います。でも結局、自分がキレイだと思う石が良いのですけどね。
宝石の専門家の方から見たら、まったく拙いBlogで失礼しました。でも普通の石、特にお金のない宝石愛好家は、こんなことを思っています・・・ということで。
―おまけ―
昔、伊豆の海岸だったか・・・で拾った、メノウです。磨くと光沢のある、玉になります。中央部の凹んだ個所に緑色の石が混じっています。メノウは石英が主成分で、オパールや玉髄などが含まれています。
海岸に、いくらでもゴロゴロ落ちていました。ただの石ころです。石マニア(本来の意味で山師?)は結構いるもので、かくれオタクも含めると、相当数になるのでは。考えてみれば私もですね、Blogを書いていてハッと自分で気づきましたw…
宝石の計量計で計ってみました。まあ、ただの重さ計量計ですけれど。
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