フランスのシェードグラス、欠けたレンズの補修
以前にご紹介した、フランス製のシェードグラス(サングラス)のレンズが欠けていました。その補修をしてみました。
以前に紹介しましたが、フランス雑貨で手に入れた、革ケース付のシェードグラスです。
100均で「UVレンジ」と専用の顔料を買って、レンズの欠けた部分を充填することにしました。
私は100均が好きで、ウロウロしていると色々なものが見つかります。この「UVレンジ」は、ペンダントなどのアクセサリーを自分で作るための材料です。UV(紫外線)を当てて固めます。
左のレンズの端が貝殻の様にハマカケしていたので、この部分にレンズの色を考慮して、青色の顔料を混ぜたUVレンジを充填しました。
よく見ると、気泡が入ってしまいました。青色にするために混ぜた顔料も、染料ではないのでブルーの粒々が見えています。
レンズは濃いブルーに見えるのですが、実際はかなり薄いブルー、と言うよりほとんどグレーですね。UVレンジは無色透明なのですが、色は着けずにそのまま使った方が良かったかもしれません。
UVレンジは、紫外線により硬化します。室内で作業したのですが、蛍光灯やLEDライトでは全く固まりません。ちなみにこのUVレンジは、日本製です。さすがMade in Japan、仕様どおりです。つまり蛍光灯やLEDライトには、ほとんど紫外線は含まれていないと言うことです。
これを屋外に持ち出して太陽の光に当てたら、数分で硬化しました。その状況に何か、とても感動してしまいました。本当に紫外線で固まるのだ・・・
硬化する時に、ほとんど凝縮しないので盛り上がった部分を研磨しました。
ヤスリで研磨して、コンパウンドで磨きます。
透明にはなっていませんが、まあまあの仕上がりです。本当はもっとヤスリで削ってレンズと同じ厚さにして、透明になるまでコンパウンドで研磨しなければプロの仕事とは言えませんね。
でも取りあえず、私はこの「取りあえず・・・」が多いのですが、UVレンジを使えば、このようなことが出来るということが確認できました。
紫外線を当てなければ硬化しないので、その使い勝手は大変良いです。接着剤のように、すぐに乾いてしまうことがないので、慌てる必要がありません。
それにしても、ひどい仕上がり・・・と言うか色着けも含めて、まったく仕上がっていませんねぇ。
実はこのような作業をしたのは、特に古い腕時計は風防が傷ついたり割れたりしているものが多く、その修復に使える手軽な充填剤を探していました。その意味で、この100均の「UVレンジ」は、ちょっと使えそうです。昆虫や植物などのプラスチック封入用の透明な樹脂があるのですが結構高いので・・・と言っても2000円程なのですが。多くの量は必要ないので、何しろ100円で手に入るし、これは使えそうです。
ー追伸ー
仕上がりがあまりに酷いので、もう少しヤスリで削って仕上げにタミヤの細目コンパウンドで磨いてみました。
あまり変わり映えしないか・・・でも、透明感は出て来ました。気泡の穴が残っていて、白いコンパウンドがその穴に溜まっています。レンズ面まで削ると、レンズを傷つけてしまいそうなので、ここまでとしました。
このシェードグラスは、フランス雑貨を取り扱っているショップで手に入れました。度は入っていません。色の着き具合や大きさから見ても、昼間に屋外で使ったサングラスではなさそうです。古いメガネで、このような薄い色が入ったものが結構あります、しかもブルー系の色のメガネが。これは、だてメガネという訳ではなさそうで、ブルー系の色が着いているということはオレンジやアンバー系の光を弱めているということです。つまり、ランプや白熱灯の光を。昔フランスなどヨーロッパで、屋内のランプのもとで読書するときに使われていたのかもしれません。
ちなみに欧米人は、つまり白色系人種と言うことになるのでしょうか、目はアンバー系の色に慣れていて、ブルー系の色を敏感に感じるそうです。目の光彩の色がブルーなのと何か関係があるのかもしれません。日本人はその逆でブルー系の色に鈍感で、日本の映画は欧米人が見るとブルーがかって見えるそうです。カンヌ映画祭で評価の高い北野武の映画の色は、北野ブルーと言われています。日本人の光彩の色は茶色ですので、やはり欧米人と日本人の色の感じ方が、ブルーと茶色で異なることに関連があるのでしょう。
そう思ってフランス映画などを見ると、確かにアンバー系の光がベースになっているような気がします。気のせいですかね・・・
アンティークには古い歴史が積み重なっていて、メガネ一つからも色々なことが想像され、とても興味深く面白いものです。
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