Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

補中益気湯 (ごろ寝漢方㉖)

2020-04-06 | ごろ寝漢方

 体調が下降気味でお疲れさんの方に処方するのが補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。消化機能を改善しながら元気をつけてくれます。飲んでいるうちに体調がよくなり、風邪をひかなくなったといわれる方もおられます。基本的には、虚弱傾向で、体力が衰え、倦怠感や食欲不振を訴えるような方に使いますが、いつも元気だけど最近疲れるなどというときにも使います。私なら、疲労回復にはドリンク剤よりこれを選びますね。

 

  保険適応:消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者の次の諸症
   夏やせ、病後の体力増強、結核症、食欲不振、胃下垂、感冒、痔、脱肛、子宮下垂、陰萎、半身不随、多汗症。

 

 感冒は風邪の症状が強いときではなく、ひいた後の不調が長引いたりするときに使います。痔は脱出しやすかったり、力なく脱肛するときなどに使います。多汗は、体が熱くて汗をかくというより、皮膚の力が落ちていて、汗が漏れ出てくるというイメージでしょうか。それを何とかする目的で黄耆が含まれているようです。

 

《処方語呂合わせ》人参(にんじん)黄耆(おうぎ)蒼朮(そうじゅつ)当帰(とうき)柴胡(さいこ)甘草(かんぞう)大棗(たいそう)陳皮(ちんぴ)升麻(しょうま)生姜(しょうきょう)

◎仁義術 当に最高 甘い棗とミカンは小魔境

 補中益気湯は大切な処方で、医王湯(薬の王様)とも言われます。良い王様でしょうから、仁(人参)義(黄耆)にあつく様々な分野で術(蒼朮)も優れており、当(当帰)に最高(柴胡)です。でも甘(甘草)いものには目がなく、棗(大棗)やミカン(陳皮※)を食べだすと止まらず、小魔(升麻)境(生姜)に迷い込んでしまいます。

 ※なお陳皮は温州ミカンの皮を乾燥させたものです。


朝の一杯 (ごろ寝漢方㉕)

2020-04-02 | ごろ寝漢方

朝の一杯といえば

コーヒー? 紅茶? ジュース? 牛乳?

 

私はカフェオレを飲みますが

実はそれよりも前に飲む最初の一杯があります

漢方薬です

 

数年前から漢方エキス顆粒をお湯に溶かしたものを

毎朝一杯飲んでいるのです

 

朝の体調により1~3種類の漢方薬を溶かして服用します

お湯に溶かしたうえでさらに30秒ほどチンするとよく溶けます

時にレモンを漬け込んだはちみつやジャムなどを溶かすこともありますが

基本的にはそのまま飲むのが好きです

 

そのおかげかここの所

体調を大きく崩すことはめったになくなりました

おそらく体調を整えてあげると

免疫力もアップするのだろうと思います

 

自然免疫力も高まり

ウイルスも撃退できるといいなぁと思っています


釣藤散 (ごろ寝漢方㉔)

2020-04-01 | ごろ寝漢方

 ちょっぴり血圧が高めの私は、少量のカルシウム拮抗剤と釣藤散(ちょうとうさん)を服用している。釣藤散は、高血圧傾向がある頭痛もちで中年以降の人に用いる方剤です。イライラやふらふら感なども改善してくれたりします。頭痛でも朝方の頭痛を訴えるような場合に良いとされています。私の場合もちょくちょく朝に頭が痛くなったり、少しめまいが出たりということがありましたが、気が付いたらそのような症状がほとんどでなくなりました。私は外科の診療枠で漢方も処方している関係上、高血圧患者さんのコントロールなどはしていませんので、患者さんに処方したことはありませんが個人的感想では釣藤散が良かったと思っています。

  保険適応病名は:慢性に続く頭痛で中年以降、または高血圧の傾向のあるもの。

 

《漢方処方語呂合わせ》釣藤鈎(ちょうとうこう)陳皮(ちんぴ)石膏(せっこう)麦門冬(ばくもんどう)防風(ぼうふう)茯苓(ぶくりょう)菊花(きっか)人参(にんじん)生姜(しょうきょう)半夏(はんげ)甘草(かんぞう)

◎ちょっと珍なる石門に、風流な菊人形搬送

ちょっと(釣藤鈎)珍(陳皮)しい形をしている石(石膏)の門(麦門冬)があるのだが、どうも無骨なので季節になれば風(防風)流(茯苓)な菊(菊花)人(人参)形(生姜)をそこへ搬(半夏)送(甘草)して少し華やかに飾ってみました。


葛根湯 (ごろ寝漢方㉓)

2020-03-31 | ごろ寝漢方

 私は、風邪かなとか、風邪ひきそうだなと思ったときにはすぐに葛根湯を服用しています。一般的にも葛根湯はかぜの漢方薬として有名ですね。熱があり、寒気がして、首筋から背中が凝ったように突っ張るなどというときによく効きます。ただ漢方薬全般に言えますが、同じような症状だからといって同じ処方が効くわけではありません。体質などによっては、麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯などが効く場合もあります。またこれらは風邪の引き始めが良く効きます。こじらせた風邪には別の処方を使うことになります。

 落語に葛根湯医者というのがあります。どんな患者が来ても葛根湯しか出さないものだから、藪医者の代表という扱いです。なにせ退屈してあくびをした付き添いにまで葛根湯を出すわけですからね。しかし葛根湯というのは応用範囲が広い処方でして、患者さんの状態を見極めて葛根湯を出していたのなら実は名医なのかもしれません。あくびの付き添いも、その動きや表情から未病である何かを見つけられて服用を勧められたのかもしれません。

 保険適応は

 自然発汗がなく、頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
  感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん

 どうでしょう、適応範囲が広いと思いませんか。イメージとすれば上半身、特に肩から上の炎症に使うといったところでしょうか。

 

《処方語呂合わせ》桂枝、芍薬、大棗、甘草、生姜、麻黄、葛根

 これは語呂合わせを考えるより、桂枝湯+麻黄+葛根と覚えましょう。

 桂枝湯のイメージに、鎮咳、発汗作用のある麻黄と、後背部のこわばりを緩め発汗作用のある葛根が加わるわけですね。


桂枝湯 (ごろ漢㉒)

2020-03-27 | ごろ寝漢方

 ちょっと風邪気味だなぁ、と思ったとき風にあたるとなんだか気持ちが悪いと感じたことはありませんか。そういう症状を漢方では悪風(おふう)と呼びます。体力がそれほどない方で、風邪のひきはじめのせいか、発熱、頭痛、鼻閉などがあり、汗のために少し皮膚がジトっとしているといったときには桂枝湯をつかうとされています。桂皮で体を温め、芍薬で痛みを和らげ、大棗や生姜、甘草で胃腸を整える働きがあります。傷寒論という漢方のバイブルとされる書物があります。その中で最初に出てくる処方がこの桂枝湯であるため、様々な処方の原点(衆方の祖)と言われたりします。実際桂枝湯に生薬を加えたり、含まれる生薬を別のものに替えたりしてできた処方がたくさんあります。私は桂枝湯自体より桂枝湯をベースに出来上がった処方を使用することが多いです。

 保険適応病名は、体力が衰えたときの風邪の初期、というなんとも漠然としたものになっています。

《処方語呂合わせ》桂皮(けいひ)芍薬(芍薬)大棗(たいそう)甘草(かんぞう)生姜(しょうきょう)

私自身は語呂合わせではなくこのまんま覚えていますが、一例として考えてみると

◎継嗣、借景に大層感興

 世継ぎ(継嗣:桂皮)が受継ぐ別荘を見に行くと、借景(芍薬)の具合がなんとも見事。大層(大棗)面白がり興味津々(感(甘草)興(生姜))となったそうな。

 


八味地黄丸 (ゴロ漢㉑)

2020-03-22 | ごろ寝漢方

 漢方のアンチエージング処方と呼ばれることもあり、加齢故の不具合に使用することが多い処方です。足腰の痛みやしびれ、夜間頻尿、下肢脱力などを訴える方に使うことが多いです。生薬8種類で構成され、その中の地黄が主ということで八味地黄丸といわれますが、腎気丸とも呼ばれます。漢方で言う腎は生命エネルギーを蓄えている場所というイメージで、成長や泌尿生殖器の機能と結びつきます。高齢となって元気がなくなった状態を腎虚と呼ぶことがありますが、そのような状態に服用すると元気を維持できるという感じでしょうか。漢方薬局に出ている旗にも、よく八味地黄丸と書かれていますね。

 地黄、山薬、山茱萸などで腎を補い、沢瀉、茯苓、牡丹皮で水分の代謝と血のめぐりを良くし、桂皮と附子で体を温めてくれます。地黄が胃に堪える方がおられるので、胃弱の場合使いにくいですが、人参湯などと一緒にすれば服用できる場合もあるようです。

 保険適応病名は、

疲労、倦怠感著しく、尿利減少または頻数、口渇し、手足に交互に冷感と
熱感のあるものの次の諸症
:腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、脚気、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧

となっています。

 

《処方語呂合わせ》地黄(じおう)、山薬(さんやく)、山茱萸(さんしゅゆ)、牡丹皮(ぼたんぴ)、沢瀉(たくしゃ)、茯苓(ぶくりょう)、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)

◎じいから散々ぼったくり、警部につかまる。

 おじ(地黄)いさんから散(山薬)々(山茱萸)ぼっ(牡丹皮)たく(沢瀉)り(茯苓)をはたらいた挙句に、警(桂皮)部(附子)につかまった。


冷え症 (ごろ漢⑳)

2020-03-21 | ごろ寝漢方

手足が冷える

体がなかなか温もらない

足が冷たくて眠れないなどなど

冷え症状を訴える方は少なくない

 

触ると実際には冷たくなくても

またサーモグラフィーで表面温度が下がっていなくても

本人が冷えを感じてつらいのであれば

漢方では冷え症と考えます

 

ちなみにWHOが作成している疾患分類の

ICD(International statistical Classification of Diseases and related helth problems)

には冷え症という病名はありませんから

凍傷になったりしない限り

西洋医学的に対応してもらうのはむつかしいですね

 

漢方では血が足りない?

血の巡りが悪い?

水分の分布に偏りがある?

新陳代謝が落ちている?

などと頭をめぐらせて

その人に合いそうな漢方薬を探していきます

 

よく使用するものには

当帰芍薬散・桂枝茯苓丸・当帰四逆加呉茱萸生姜湯

真武湯・人参湯・苓姜朮甘湯

などがあります

その他にもありますから

医師とともに体に合った処方探しをしてください

 

現代日本では

冷たいものを飲む機会が増えている

ちょっとやりすぎなダイエットをする

体を動かさない

夏場もエアコンで冷やす

などの環境変化もあるのか

本人が気が付かなくても冷えている人が増えていると言われます

 

冷えの訴えがなくても

体調を整えるために

体を温める生薬が含まれた処方の出番も多いようです


大黄甘草湯 (ごろ漢⑲)

2020-03-18 | ごろ寝漢方

 便秘を何とかしてくれと受診される方は少なくありません。漢方の便秘薬といえば大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)になります。最も基本的な処方で、タケダ漢方便秘薬も大正漢方便秘薬も大黄甘草湯製剤です。これは構成生薬を覚えるも何も、書いてある通り大黄と甘草の2味でできています。生薬の数を1味、2味と数えるところも、いかにも自然物を味わうという感じがしますね。ちなみに八味地黄丸は8種類の生薬から構成されています。

 大黄が便を出す方向に働き、甘草はその働きを緩やかにして腹痛などが起きにくくしているとされています。コーラックなどでお腹が痛くなる人も、これだと腹痛が出にくくなるようです。大黄甘草湯でもお腹が痛くなるなら他の処方を考えます。

 便秘以外にもいろいろと体の不具合を訴える方もおられます。症状や体質を考慮して、桃核承気湯、通導散、麻子仁丸、潤腸湯、大建中湯その他から適応しそうなものを考えます。私の場合は、麻子仁丸から始める場合も多いです。漢方薬の面白いところは、服用することにより便秘以外の体の不調も取ってくれることがあることです。そこを狙うのが漢方処方の面白みの一つでもあります。


麻黄湯 (ゴロ漢⑱)

2020-03-18 | ごろ寝漢方

 比較的体力のある方が、悪寒、発熱、頭痛、関節痛などの症状があり、普通の風邪より少しひどいかなというときに、麻黄湯を処方しています。熱があっても寒気を訴えれば温めるという発想通り、麻黄は桂皮と一緒になり体を温め発汗を促してくれます。イメージとすれば明らかなインフルエンザ症状の時に使用するという感じです。実際にインフルエンザの時などは解熱鎮痛剤などを使うより麻黄湯のほうが症状が早く取れたり、抗インフルエンザ薬と同等の効果を示したりという報告もあります。

 麻黄は 発汗、解熱、鎮咳、去痰などの効果があるとされます。注意点は麻黄の中にエフェドリンが含まれるので、血圧をあげたり、夜服用すると眠れなくなったりというところです。ですから麻黄は高齢の方や高血圧の方にはちょっと使いにくい生薬です。桂皮も温める方向に働き、杏仁は鎮咳効果を期待しています。

保険適応病名は

悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗のでないものの次の諸症
 :感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難。

 

《漢方語呂合わせ》麻黄(まおう)、杏仁(きょうにん)、甘草(かんぞう)、桂皮(けいひ)

◎ 魔境関係

 恐ろしい魔(麻黄)境(杏仁)での関(甘草)係(桂皮)性。

 まおうと聞くと魔王を思い浮かべるというステレオタイプの発想ですみません。ただ生薬の中で使用に注意が必要な生薬の一つが麻黄ですから、ちょっと怖めのイメージがあったほうが良いかもしれませんね。


さむけ(ゴロ漢⑰)

2020-03-16 | ごろ寝漢方

風邪気味となり寒気がすることがある

 

そんな時は暖かいものを食べて

体が冷えないように暖かくして休む

そして汗をかいてきたら治るよ

なんてことを母から言われていた

 

きっと昔からの知恵であり

漢方の考え方とマッチする

 

現代では体温計が示す温度で

熱があるとかないとか判断するが

昔はそんなものはない

 

本人が寒気がするといえば

暖かさが必要と判断し体を温める手段や薬を使う

つまり体温計の温度が高くなっても

寒気があれば温めるというわけ

体からの訴えを素直に聞いてそれに応える治療体系だね

 

実際かぜのひきはじめの寒気がする段階で

頭痛や発熱があるからと

解熱鎮痛剤などを使うとこじらせることがあるのはよく聞くこと

体の訴えではなく症状をとることのみ考えている弊害ともいえる

 

西洋と東洋

優劣ではなく

うまく融合させることができればいいなと

いつも思う


当帰芍薬散 (ゴロ漢⑯)

2020-03-14 | ごろ寝漢方

 貧血傾向で冷え性、水っぽくてむくみやすい、体力がなくて疲れやすい、おなかが痛むという方に処方します。イメージは竹久夢二が描くほっそりした色白美人などといわれ、当帰芍薬散が合いそうな方を当芍美人などと表現されることもあるようです。しかしあまりこのイメージに引っ張られすぎる必要はありません。水ぶとりと感じる方もいますし、色白でない方もいます。大昔の本には、女性の腹痛に対して用いるとも書かれていますが、男性にも使います。要は、血が足りなくて(血虚)、水の代謝がうまくいっていない(水滞)虚弱傾向の方に使うわけです。

 保険適応病名は

筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症

:貧血、倦怠感、更年期障害(頭痛、頭重、めまい、肩こり等)、月経障害、月経困難、不妊症、動悸、慢性腎炎、妊娠中の諸病(浮腫、習慣性流産、痔、腹痛)、脚気、半身不随、心臓弁膜症。

 ということですが、病名はエキス剤を出している製薬会社によって微妙に異なります。これは当帰芍薬散以外のエキス剤でもそうです。

 

《漢方語呂合わせ》当帰(とうき)芍薬(しゃくやく)蒼朮(そうじゅつ)沢瀉(たくしゃ)川芎(せんきゅう)茯苓(ぶくりょう)

 当芍美人 受託 千両

 とびきりの当(当帰)芍(芍薬)美人というのはいろいろ頼まれちゃいます。それを受(蒼朮)託(沢瀉)して、得たお金が千(川芎)両(茯苓)。すごくない?美人はいいよねぇ~。

 まあ、美人の判断は人それぞれでして、夢二の描く女性が美人と感じるかどうかもいろいろでしょう。わたしなどは、ほとんどの女性がそれぞれ美しいと感じる(こともある)お年頃になってきましたので、当帰芍薬散の適応範囲はずいぶん広くなりました。最後に繰り返しますが、男性にも使います。


桂枝茯苓丸 (ごろ漢⑮)

2020-03-11 | ごろ寝漢方

 

 私がよく処方するものの一つに桂枝茯苓丸があります。イメージとすれば、滞った血の流れをスムースにしてあげる処方です。

 桃仁と牡丹皮で血の巡りを良くして挙げ、芍薬はきりきり痛みを緩和させ、桂皮は冷えやのぼせを改善し、茯苓はむくみを改善させます。

 子宮筋腫や内膜症、卵巣膿腫などにより不整出血や月経不順が生じている。いぼ痔がある。打ち身などで青ジミができている。更年期障害と思われる。冷え性である。などというときに、その人の体質を考慮したうえで使います。当帰芍薬散や加味逍遙散とともに、女性に対する三大処方ですが、男性にもよく使います。シミやニキビが気になる方には、薏苡仁を加味した桂枝茯苓丸加薏苡仁を処方することがあります。この桂枝茯苓丸加薏苡仁は、乙字湯と同様、原南陽の経験方といわれています。原南陽先生、やりますな。

 保険適応病名は、比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴えるものの次の諸症:月経不順、血の道症、にきび、しみ、手足のあれ、となっております。

 

《処方語呂合わせ》桂皮(けいひ)、茯苓(ぶくりょう)、芍薬(しゃくやく)、桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)

◎ 敬 服    役 人 ボタン

敬(桂皮)服(茯苓)してしまいます。お役(芍薬)人(桃仁)様が立派なボタン(牡丹皮)のついた、ピシッとした背広を着ているのを見るとね。

 

 ところで今の日本、敬服するようなお役人にあいたいものです。欲の皮が突っ張った政治家に対して、ピシッと物を言い、政を正すくらいの意気込みが欲しいですね。たいていの政治家より、ずっと賢いはずなのですから。


乙字湯 (ごろ漢⑭)

2020-03-10 | ごろ寝漢方

 痔に対する漢方薬としてまず挙がるのが乙字湯(おつじとう)。比較的程度の軽い痔があり、かゆみ、痛み、出血、脱出などがあるときに使います。大黄が入っているので少し便秘気味の方に使うことが多いです。また陰部掻痒症などに効果があることもあるようですから、漢方薬というのは不思議なものです。柴胡が入っているからか、うつうつとしていた人が元気になったなどという報告もあるから漢方薬は驚きを与えてくれることもあります。

 当帰が血の循環を良くし、柴胡や黄芩が炎症(熱)を沈めてくれるとされています。

 保険適応は、切れ痔といぼ痔。この病名がついていないと処方はできません。でも多くの人が痔主ですから、あまり困りません。

 この処方は、江戸時代の原南陽という漢方医が作り上げたということらしいですが、現在使われている乙字湯は生薬の内容が少し変わっているようです。この原南陽はかなりの酒好きだったようです。酒場で出会う水戸藩士と仲良くなり、薬を出したりしているうちに、医師たちから匙を投げられたお殿様の診療を頼まれることに。症状を聞いて診察に行く道すがら買い求めた生薬を煎じ、効果が出るまで酒を飲んでいたなんていう話が残っているようですが、真偽のほどはどうでしょうか。ちなみに、いぼ痔に飲みすぎはあまりよろしくないことが多いようですが。

 痔に対して処方するものには、桂枝茯苓丸、芎帰膠艾湯、補中益気湯、当帰建中湯その他いろいろあります。乙字湯がすべてではないので、医師、薬剤師とよく相談してください。

《処方語呂合わせ》当帰・柴胡・黄芩・甘草・升麻・大黄

乙だね東西黄金 甘露な酒一升枡で大往生

乙(乙字湯)だねと言いながら、東(当帰)西(柴胡)の黄金(黄芩)を手に入れるという甘(甘草)露な夢を見ながら、酒を一升枡(升麻)であおりすぎ大往(大黄)生してしまったとさ。


ごろ漢 《ごろ漢⑬》

2020-03-07 | ごろ寝漢方
 ごろ漢と言うのは、ごろ寝しながら気楽に漢方に親しむと言う願いを込めて名づけました。さらに、ごろ合わせで漢方を覚えると言う意味も含まれています。
 体質や症状によって効き目のありそうな漢方薬と言うのは決まってくるのですが、必ずしも同じような人に同じ漢方薬が効くとは限りません。その人に合った漢方薬を見いだすためには、医師と患者がしっかりコミニケーションをとって一緒に見つけ出していくと言うプロセスが大切です。だからこそ患者さんにも漢方に親しんで欲しいわけです。

 漢方薬の処方は複数の生薬から成り立っているものがほとんどです。漢方薬の運用には処方に含まれているそれらの生薬を知っておいた方が良いのですが、その生薬を覚えるのがなかなか大変。覚えたつもりでもすぐに忘れてしまいます。そこでかなりの数の漢方薬に対してごろ合わせを考え含まれる生薬を覚えてきました。それでも忘れると言うのはもう歳のせいとしか言いようがありませんが、丸暗記しようとするよりは記憶に残ります。

 ごろ漢の中では、漢方薬の様々な話題を提供したり、かなり無理なごろ合わせを紹介したりしていきたいと考えています。さてさてどのようなものになっていきますか。

借り物 (ゴロ漢⑫)

2020-02-22 | ごろ寝漢方

生きている私たちは

自分の体があると思っている

確かに体として実在しているのだが

果たして本当に「自分の」体だろうか

 

身体を成り立たせているものどれ一つをとっても

自分を規定する自我 自分の意思で作ったものは何一つない

食べたものはアミノ酸やブドウ糖などまで消化され

長い地球上生命の歴史で育まれた遺伝子の指令に従い

自分の意思とは関係なしに

地上の様々な分子から必要な物質を作り出し

組織 臓器 そして肉体を作り上げてもらっている

 

言ってみれば

地上の物質を一時的に借り

肉体という乗り物を借りて

私たちは存在しているわけである

 

ならばその肉体の不調を整えるには

取り入れ利用させてもらう地上の物質のうち

必用なもの 不足しているものを

上手に取り入れる必要がある

 

そういう意味で

漢方薬は理想の体調整え薬だと思う

 

自然界のものから

長い歴史の中で様々な生薬を選び出し

それらを組み合わせ 量を加減して

症状に応じた製剤を生み出し伝えられてきた

 

明らかな異常があり原因が特定できれば

現代医薬でなければならない場面がほとんどだが

普段のちょっとした不調など

現代医薬では対応できず

漢方薬でなければ対応できない状況というのがある

 

ぜひ漢方薬に慣れ親しんでほしいと思う

私自身普段の体調管理は

少量の降圧剤以外は漢方薬がほとんどだ