陰 2017-02-19 | 想い・雑感 公園のベンチに腰掛けて 本を広げると 冬の太陽でも 少し眩しい 枝だけになっている桜の木が ちょうど良い陰を 差し伸べてくれる 本を読むのに丁度よく しかも陽の温もりも 適度に通してくれる 桜の木は ただそこにあるだけ ただそれだけで 有難い
ハンドル 2017-02-15 | 想い・雑感 渋滞の中 進んだり止まったりと ゆっくり車が進む 四つ角に近づくと 警察車輌が一車線をふさぐ 交差点の中には ハンドルの曲がったバイク もう排気音を響かすことはなく うち跨る人もいない あちらに行ってしまえば 二度と戻っては来れない
指 2017-02-14 | 想い・雑感 ベッドで俯せになり 本を読む 閉じようとするページを押さえながら 読んでいるうちに ページを押さえる 左手に目が止まった 人差し指と中指が右のページ 薬指と小指が左のページを押さえている 気がつくまで 自分の指が そのように働いていることを 意識していなかった 誰が 何が指令を出して このように動いているのだろう 宙ぶらりんの親指を動かしてみた グルグルと回してみた きっと僕の脳細胞から 電気信号が出ているのだろうが その信号を出せと 一体どこでどなたが指令を出しているのか 不可思議な感覚で 指を見つめた
時計 2017-02-13 | 想い・雑感 日が傾き 周りが暗くなって来ると 遊ぶのをやめて お家に帰る 時に遊びに夢中になりすぎて 随分暗くなってしまうこともあったが 小学生の頃の時間感覚は 太陽と共にあったような気がする 中学の入学祝いに 腕時計を買ってもらった とても嬉しかったが いま振り返ると 太陽の動きや季節の変化から少し距離を置いた 大人の 社会の時間の進み方に捕捉されてしまった時 だったのかもしれない 世の中の効率的動きのため 時計の刻む時間通りに動くことは 必要なことかもしれない また日本は気候の比較的穏やかな温帯地方に大半が含まれ 住環境も寒暖の差を遮断できるから 時計通りに動けるという側面もあるかもしれない それでも 季節や天気に合わせて 一日を送るという側面を持つ生活を もう少し取り入れたい 現代日本では贅沢かな
羅列 2017-02-12 | 想い・雑感 塩基の羅列が 環境から必要物を集め 統合し 多様な在りようを 生みだしてきた その始まりから 38億年と言われる 周りにいる虫 草花 小動物 人間 そして 目に見えぬ細菌 多少並び方に変化はあるにしろ 皆がその羅列を保ってきた 別に ヒトが優秀な進化を遂げたわけでなく みなが横一線に 38億年の時を刻んできた
良い方角 2017-02-05 | 想い・雑感 地球上では 地軸の向きを あるいは磁力線の向きを 大まかな目安として 方位が決まるのであろう でも左右の人と手を繋いで 北を向いていれば 私自身は右の人にとっては西に 左の人にとっては東に存在することになる 逆に右の人のずっと東に私がいるとも言える 方角なんて相対的 さらに言えば宇宙空間においては 方角なんてほとんど無意味 こちらの方向を向いて これこれをするといいことがありますよ なんていうことは 実に滑稽である それでも 信じるものは救われるのだろうか
たそかれ 2017-02-02 | 想い・雑感 一度挨拶をした人の顔は忘れない という自信があった 名前は出なくても 会ったことがあると認識できる自信である ところが 診察をしたことのある患者さんの顔を 時に忘れることが起きてきた 診察室は明るいというのに たそかれ(誰そ彼) という事態に陥るのだ すでに 人生のたそがれに突入か
めがね 2017-02-01 | 想い・雑感 眼鏡をかけ始めたのは高校に入ってから 板書の字が見えにくくなったので 授業中だけ使用していた 高校の卒業アルバムでは眼鏡をしていないので つけっぱなしになったのは大学に入ってからかもしれない 途中コンタクトレンズを試みたこともあったが 異物を眼球に接触させることがどうにも具合が悪く 結局眼鏡人生となった ほぼ身体の一部となっていたので どこかに置き忘れて失くすなどと言うことは 考えられないことだった ところが昨年から 遠近両用というものにバージョンアップした後 眼鏡をつけたり外したりということが増えた それに伴い 家の中で所在不明となることも増えた そしてついに 呑んだ後に電車とバスを乗り継いで帰宅した翌日から 完全に行方不明となってしまった 家の中のどこかに紛れ込んだか 猫が持ち去ったかのどちらかではないかと思うのだが 電車かバスの中という可能性も いやはや情けないが 背に腹はかえられぬ めがねをオーダーした