私は、風邪かなとか、風邪ひきそうだなと思ったときにはすぐに葛根湯を服用しています。一般的にも葛根湯はかぜの漢方薬として有名ですね。熱があり、寒気がして、首筋から背中が凝ったように突っ張るなどというときによく効きます。ただ漢方薬全般に言えますが、同じような症状だからといって同じ処方が効くわけではありません。体質などによっては、麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯などが効く場合もあります。またこれらは風邪の引き始めが良く効きます。こじらせた風邪には別の処方を使うことになります。
落語に葛根湯医者というのがあります。どんな患者が来ても葛根湯しか出さないものだから、藪医者の代表という扱いです。なにせ退屈してあくびをした付き添いにまで葛根湯を出すわけですからね。しかし葛根湯というのは応用範囲が広い処方でして、患者さんの状態を見極めて葛根湯を出していたのなら実は名医なのかもしれません。あくびの付き添いも、その動きや表情から未病である何かを見つけられて服用を勧められたのかもしれません。
保険適応は
自然発汗がなく、頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
どうでしょう、適応範囲が広いと思いませんか。イメージとすれば上半身、特に肩から上の炎症に使うといったところでしょうか。
《処方語呂合わせ》桂枝、芍薬、大棗、甘草、生姜、麻黄、葛根
これは語呂合わせを考えるより、桂枝湯+麻黄+葛根と覚えましょう。
桂枝湯のイメージに、鎮咳、発汗作用のある麻黄と、後背部のこわばりを緩め発汗作用のある葛根が加わるわけですね。