勘違い

高血圧
糖尿病
脳梗塞
髄膜腫瘍
前立腺がん
結核

多くの病気が身に降りかかったうえに
胃癌が見つかる

そんな人もいます

結局
何かで
人は死にます

治療をするのは
死なないためではありません
死ぬまで少しでも元気でいるためです

そこを勘違いすると
医療に対しても勘違いの期待をすることになります

抗がん剤治療

抗悪性腫瘍薬を用いて治療をする際
その目標は
１：完治をめざす
２：延命をめざす
３：症状緩和をめざすの
大きく三つに分けて考えることができます

１：に入るのは白血病やリンパ腫の一部と婦人科悪性腫瘍の一部
他は２：や３：をめざしています

そのあたりを
主治医は説明すると思うのですが
当然のことながら
患者さんやそのご家族は
治ること　を期待している場合が多いもの

その期待を打ち砕く必要はないと思いますが
主治医は言葉を選びながらも
現実を伝える努力をする必要があると思っています

お伝えしないと
現実がわかったうえで
今をどう生きるか
しておきたいことは何か
ということを考える機会

それを永久に奪ってしまうことになると思うからです

癌の末期になってきても
全身状態はそれほど悪くならない時期が続きますが
一旦悪くなり始めると
急速に弱っていきます
その時では
やりたいことはもうできなくなっているのです

保安院＝保身院？

東電などは
半官半民的な要素を持っているのだろうが
やはり私企業である
利益追求が本能である

データ隠しなども
自己（東電）保身であろう
それを是とするわけではないが
ある意味それが企業と割り切るしかない

問題なのは
監督責任のある保安院である
東電に対し徹底的に情報開示を迫るべきである
ところが保安院まで情報隠しをにおわせることが多い

保安院はいったい何を守っているんだ
あんたら国民を守るのが役目でしょうが
と思わず声を荒げたくなる

とにかく情報を出し
それに対する対策を少しでも早く考え実行してもらいたい
責任問題　保障問題はそのあとである

とにかく今なすべきことをなす
ということを推進してくれるリーダーはいないのか

業務上過失傷害

この時期に台風の影響が強く出るようなことは
例年あまり記憶にありません
進路からは割と離れている私の住む地域でも
そこそこの雨が降り
風　それも時折強い風　が吹いておりました

当然この台風（すでに低気圧になったようですが）は
東北へも影響を及ぼし
ある程度まとまった雨を降らしてしまうのではないかと危惧します

地表に降り積もった放射能を有する粒子が
雨の影響で地中に沁みこんだり
河川や海に流れ込んだりするイメージが
駆け巡ります

政府や専門家と言われる人のイメージは違うのでしょうか

もし降り積もった放射性物質が気になるのなら
まずはさっさと地表の土を剥ぎ取り
少しでも汚染された土を取り除き
一日でも早く安全な大地を取り戻してもらいたいと思う

これまでの状況でも
政府　保安院　は十分業務上過失傷害
さらにその罪を深くしないよう
ただちに汚染土を取り除いていただきたい

この時期にやって来た台風は
急ぐべきであることを
我々に教えてくれているのかもしれない

毒を盛る

普通のお薬は
効力を発揮する量では
副作用が少ないものなのですが
抗がん剤は
がん細胞と一緒に正常細胞にも働きかける場合が多いので
治療量で副作用も出てしまいます

だから
抗がん剤治療をしているときは
常に副作用を気にします

明らかな副作用がないようなときでも
体の抵抗力が落ちていると思われる場合もあります

肝転移再発にたいして化学療法を行っているＳさん
白血球は下がらず全身状態も良好で
副作用をほとんど感じさせなかったのですが
ある日の外来で少し咳が出るとおっしゃる
すぐ胸のレントゲン写真を撮ると
一部に影があり肺炎と診断
この状況で抗がん剤を使うわけにはいかないので
呼吸器内科でしばらく治療後
抗がん剤を再会した
するとまた少しして熱が出た
また肺炎である

今度は少し炎症が落ち着くのに時間がかかった
その間に一旦小さくなりかけていた肝転移巣は増大傾向に

癌の治療と全身管理
その両者を成り立たせる細い道
そこを探りながらやっていくしかない

抗がん剤は基本的には毒ですからね


毒で思い出すのは
銀液丹（なまえ違ったかな？）
家康考案の健康薬
しかしその内容は水銀　砒素　黒鉛　（あとは忘れた）などと
どう見ても毒薬
家康はこれを飲んでいたから７０代まで生きることができたのか
これを飲んだばかりに７０代で死んでしまったのか
興味あるところです

反省

猿回しの芸で

反省！

というのがあります
私は気に入っています

反省するというと
あまりにも過去を引きずっている場合が多いように思いますが
未来に生かしてこそ価値のある反省

ただ過去に拘泥しているような反省など
一瞬の
反省！で充分

基本的に
お猿さんの
反省！
を手本にしたいと思っています

反省は一瞬
あとは前を向いて

でも
どこまでもじくじくと
反省を迫る輩の多い世の中

やり切れませんな

ポイ　ポイ

スーパーマン

私が駆け出しの頃
６０歳以上は高齢者
７０や７５以上になると「超」高齢者
と判断して手術前後の管理にはとりわけ気を使っていたと思う

ところが今や９０歳でも手術するのは稀ではない

もちろん高齢になるほど体に傷みが来ているはずだし
高血圧その他の病気だって抱えていることが多くなるので
それなりに気を使うが
やはり８０歳を越えて日常を送っている人は
エリートでありスーパーパーソンである

腹腔鏡下胃切除を行った８０代後半のＭさん
声に張りがあり元気そのもの
充分７０代でも通るだろう

なんと術後一日目にして
すでに起き上がり
自力でトイレに行かれました

腹腔鏡下で傷が小さく
持続硬膜外麻酔で痛みを抑えているとはいえ
もっとお若い方でも
そこまで元気じゃありません

脱帽です

Wikipediaの情報量

初めてWikipediaを知ったとき
コンパクトにまとめられた情報に
ちょっとした感動を覚えた

ただちょっと興味を持って同じ項目を英語で見てみると
情報のボリュームが格段に英語版で多いことに驚くことが時にあった

今回ウラン鉱山のことが気になり
カカドゥ国立公園（オーストラリア）のことを Wikipedia で見てみた
… 日本語版  …  英語版

その情報量は全く違う
英語版ではMining（鉱業）の項目があるのに日本語版では無し
英語版の関連事項には
Ranger Uranium Mine
Uranium mining controversy in Kakadu National Park
が挙げられているのに日本語版には皆無

この情報量の差は
日本語入力のマンパワー不足であって
情報操作ではないことを願っている

情報

すでに存在するデータであっても
それを持つ者の思惑によって
なかなか表に出てこない
という現象を
福島原発事故にまつわる出来事で思い知った

利害が絡んだとき
今の世の中では
巨大な富を持つものが
情報を操作しやすい
という当たり前？のことがよくわかった

日本では
中国の情報統制を非難するレポートがメディアに出るが

日本も相当規制がかかっているように思い始めた

メディアもその統制を
受け入れているように感じだした

もしそうなら
統制されているという意識のあまりなかった私のような人間には
知らざる不都合（大きな力を持つ者にとっての不都合）が
山のようにあるのだろう
と不気味さを感じ不安になり始めた

国鉄

時のたつのは早い

国鉄という名称が消えて20年以上が過ぎたのですね

80台も後半に入ったMさん
元気溌剌
声に張りがある

術前の説明の際にお話をお聞きすると
国鉄職員として
退職したとのこと
まだ国鉄があたりまえの言葉として使われていた時代

その国鉄がプロ野球チームを持っていた
なんて言う事実を知る人は
今や少数派なんでしょうね

もと国鉄職員の手術を担当して
久しぶりに
「国鉄」
という言葉に接しましたので
その事実を記しておきます

エコなの？

エントロピーは増大する方向に行くので
エネルギーは使われれば劣化していくし
形態を変えるときには効率１００％ではないので使える分が減る

電気自動車だぁ！
と喜ぶ人がいるが
どこかで燃料を使って作られた電気というエネルギーを使用するより
直接ガソリンのエネルギーを利用した方が
効率がよさそうな気がするけどどうなんでしょう

化石燃料を燃やす
　　　↓　一部が減って
水を温める
　　　↓　一部が減って
水蒸気が発生する
　　　↓　一部が減って
タービンを回す
　　　↓　一部が減って
電気となり送電線を送られていく
　　　↓　一部が減って
電気自動車の電池に蓄えられる
　　　↓　一部が減って
モーターを回す

電気の部分を考え直さないと
コンセントから充電する状況では
とてもエコとは言えないような気がする

どうなんでしょう

術前検査

胃癌の方の手術をするときは
術前に必ず大腸の検査もするようにしている
胃癌のない方に比べて大腸にポリープその他が存在する頻度が高いとされているからである

早期胃癌のUさん
スクリーニング目的の大腸内視鏡検査を行ったところ
直腸の進行がんがみつかった

こちらの治療の方が胃癌より優先である
血液検査でもCEAという腫瘍マーカーが高かったのはそのせいかもしれない

最近は手術予定日の数日前に入院していただくので
直腸がんが見つかったのも直前
でもここは一旦手術を延期して
両方を腹腔鏡下手術で一期的に行うことにしたいので
仕切り直しで
いったん退院していただくことになる

検査の追加
手術時間の変更
手術に入る人間の確保
その他が必要になりますから

それにしても
胃癌だからと言って
大腸の手術をせずに胃の手術をしてそのまま様子をみていたら
一年後には
大腸がんの肝転移で見つかっていたかもしれません

みなさん
もし一つの癌が見つかってしまったら
その治療に入る前に
全身を見てもらってください
他の病気で足元をすくわれる可能性がありますから

リスクとベネフィット

不安というのは
対象がはっきりしない状況の時
人の心に発生する

話をするとき
あまりに感情的になるひとを前にすると
とても疲れるが
不安な状況にあれば誰しも感情が前面に出るかもしれない

現在日本は
一気に反原発である
その中をざっくり二つに分けると

ただちに全部中止派
脱原発の道を探り努力する派

の二つかなぁと感じる

私は後者

普段手術と深く関わる中で
絶対の安全など存在しないと感じる
当然完全なる安全を目指す努力をしているわけだが
とても１００％とは言えない

でもなぜか日本は
１００％の安全を求める国
だからヒステリックに叫びだす人が出てくる

どんなことでもリスクなくして存在しない

外出すると決めた日には
交通事故にあう
宇宙放射線を浴びる
紫外線にさらされる
ちょっとした段差でこけて骨折する
鳥の糞が頭を直撃する
財布を落とす
地震の影響で帰宅できない
チンピラに絡まれる
身に覚えがないのに痴漢と言われつかまる
…

山のようなリスクを抱えて家を出る　わけだがあまり意識していない
だからリスクが現実になると慌てふためき騒ぎ出す

ここはリスクを冷静に列挙するとともに
リスクと交換に得られるベネフィットも考えなければならない

手術というリスクをおかす時も
成功したときのベネフィットとはかりにかけることになる

原発にしてもそうであろう
やみくもに現実化したリスクをあげつらうだけでなく
享受してきたベネフィットも考慮に入れるべきである

ただし
原発に対する冷静な反応を求めるならば
目の前の原発が
福島と比べどこがどうなのかをきちっと説明し無ければ
私たちは不安から　感情的反応を示すしかなくなる

各電力会社は
きちっと説明する努力をしてほしい
現状で十分とはとても思えない

最後に
くどいが
私は　脱原発派である

見えざる汚染

ある一時帰宅の模様がテレビで流れた
避難区域にある我が家に
ネコと犬が残されている

前回の一時帰宅の時に
食料は十分おいてきたがはたして元気？

自宅につくとどちらも元気だったが
犬は随分痩せている

制限の1時間はあっという間に過ぎ
避難所に居場所のない犬や猫は置いていかざるを得ない

ご主人が車で待機
犬が引っ張れば外れる程度に奥さんがロープを付ける

素早く車に乗りスタートする

たちどころに犬はロープを振りほどき
去りゆく車を　飼い主を　懸命に追う

だが
ずんずんその影は小さくなる

空は晴れ渡り
周囲には自然も多い
目に見えぬ汚染が覆っているばかりに
飼い主は家族同然の生あるものと別れねばならない

一気に押し寄せた
様々な別れ

そのような別れを目の当たりにして
まだ原発推進と叫ぶのだろうか

なんとか英知を振り絞り
別の道を探し出そうとしないのだろうか

捨て場所

放射性物質は粒子なので
拡散したのちいずれは地表に降り積もる
水の影響などでそれが深く浸透するまでは
地表にとどまることになる
だから早い時期なら汚染地域の表土を数センチ削り取るだけで
随分放射線量は減るそうである

福島の学校で
子供を守るために
校庭の土を数センチ削り取ったところ
放射能の値は2，3割となったとのこと

ところが削り取った土の捨て場所がない
そんな土どこだって持ってきてもらっては困るのである
だから結局校庭の片隅に置かれたまま
国に掛け合ってもとりあえず置いとけというだけで進展なし

原発と全く同じ
使用済み核燃料は
使用した側からすればどこかに捨てたいのだが
そんなものどこだって持ってきてもらっては困るのである
だから捨て場所が見つからない

捨て場所のないゴミなど出してはいけない

原発を守る会の方々に
プルトニウムの捨て場所を確保しろと言いたいところだが
いったんはぐっとこらえ
まずは土の捨て場所くらいは確保してから出直していらっしゃい
と言いたい