Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

今際の際

2008-03-31 | 想い・雑感
今際の際(いまわのきわ)ということば
最近はあまり聞きませんが 
死に際のことをさすようで

彼は今際の際に○○という言葉を残した
というように使われます

今際というのは今は限りの略だそうで
今はもうこれ限り
今際の際となるとその限りのぎりぎりのところということになるのでしょう

しかし考えてみれば
今際というのは死ぬときとは限らず
毎日が今際ともいえますよね

今が限りと
今日という日 今という瞬間を
楽しく 充実した心持ちで 過ごしたいと思います


同級生の訃報を聞き ふと思ったことでした

後発医薬品

2008-03-30 | 想い・雑感
どんな製品でも
完成するまでには多くの工程があるでしょう
原料 部品 部品の部品 ・・・
完成品に問題がある場合に いったいどこに責任の所在はあるのでしょうね

医薬品でも同様に
完成までには多くの工程があると思われます
いわゆる西洋医薬品は
化学構造(分子式)がはっきりしたものを使用していますから
その構造がわかり 製造する能力があるならば 
どこの会社でも基本的にはできるはずだし 効果にも違いはないはず

ということで後発医薬品の出番となるわけですが
時に大丈夫かな と思うことがあります

1:供給体制
 それほど大きな会社でないような場合
 製造が追いつかず 必要なのに手にはいらないことがある
2:アレルギーなど
 薬の有効成分は同じかもしれないが 有効成分以外の
 薬の安定化剤 カプセル コーティング剤その他
 が微妙に異なることがある
 すると 同一の薬剤として処方しているのに
 後発医薬品にしたとたんアレルギー症状が出ることがある
3:品質管理
 医薬品の成分すべてを一つの会社で作るわけではないし
 原料を供給する会社もいろいろあるであろう
 その原料の品質管理は大丈夫なのか
 先日アメリカでヘパリンが問題になった
 その原料の一つを中国から輸入しており
 使用患者さんから死者まで出てしまっていた

安全性さえ確保されていれば
後発医薬品の使用に何の問題もないでしょうが
後発品が必ずしもそれまで使われてきた先発品と同質ではない
ということは知っておく必要がありますね

それにしても問題が起きたらだれが責任を取るのでしょうね
後発品購入を勧める厚労省?
後発品製造者?
後発品を選ぶ患者?

2008-03-29 | 想い・雑感
いのちの力をいっぱい溜め込むかのようにふくらんでいた
我が家の桜のつぼみが
ほころび始めてきた

多くの「気」をその内部に抱えているように感じるので
莟という字のほうが 蕾よりちょっぴり好きだ

家の前の道は 桜並木が続いている
我が家の桜も並木と同じ ソメイヨシノのはず
つまりクローンのはずなのだが
毎年ほかのクローンたちより早く花をつける

ペットが主人と性格が似るという話は聞くが
まさか庭の桜が 家人のせっかちな性格に似るとも思えないのですがね

これから少しの間
桜を愛でながら
走り抜けるような生活を改め
ゆっくりと風景を見つつ歩むようにしましょうか

熱が伝わる

2008-03-28 | 想い・雑感
恐らく5年以上使っていたと思う携帯電話
ついに機種変更しました
今更ですが 進歩にびっくり

とくに赤外線通信とやらに感動
データを送るのに
携帯同士を近づけるというのが何とも楽しい
単に画面を見つめての会話ではなく
まさにあなたから私に
私からあなたへ
情報が 心が 渡っていますよという感覚が面白い

赤外線だけにぬくもりも伝わるのかも知れない

人と人でも
面と向かって話せば
その人の体温が伝わり
心の想いや熱っぽい気持ちも伝わりますものね

時代遅れの話しで
すみません

燃え尽きる

2008-03-27 | 想い・雑感
燃え尽きる
という言葉を人に使う場合
大きく二つに分かれるように思う

一つは
したいことをやり尽し
達成感や満足感が余韻として残っている場合

もう一つは
燃え尽き症候群といわれる状況で
自分で気がついているかどうかは別として
実は本意ではないことを
自分が置かれた状況のもとで
なんとか頑張っているうちに
気力という 生命力の根源が 枯渇してしまった場合

MBLで頑張ってきた
桑田真澄選手が
「燃え尽きた」
という言葉とともに引退表明をしたそうだが
この場合は当然前者であろう

私たちも 燃え尽きるときには
前者でありたいと思うが
そこまで燃焼できなくても
すくなくとも後者にはなりたくないものだ

ならないためには
ときに自分をしっかり見つめ
何をしたいのか問いかけ
今を大切に生き
頑張りすぎず
人の言ったことを重く受け止めすぎず
大きな息をつくとともに体の力を抜く
ということを心がけたほうがよいと感じる

人が 是 としたものが
自分にとっても 是 であることは
そんなに多くないのだから

看護師さんの合格発表

2008-03-26 | 想い・雑感
看護師国家試験の合格者発表があったそうです
当院に赴任予定の方々は
全員合格とのことで
先ずは一安心

数日前から病棟見学に来ていたので
いまさらいなくなるのもかわいそうですからね

高い理想に燃えて
職場についていく新人看護師さんにとって
やりがいがあり
人として鍛えられ
かつ少しでも環境の整った
医療現場であることを願います

そして医療を必要とする人と
医療者の双方にとって
よりよい状況を作り出すように
私自身もできることを行っていきたいと思います

さあ次は
研修医として赴任予定の諸君の合格発表だ

生存期間中央値

2008-03-25 | 想い・雑感
抗がん剤の効果を見る指標の一つとして
MST(Median Survival Time ; 生存期間中央値)
というのがあります

無治療の場合
抗がん剤を使用した場合
別の抗がん剤を使用した場合

などのグループに分けて
治療後の生存期間を調べ
その中央値を比較するわけです

抗がん剤を変えることによって
MSTが2ヶ月伸びたとか3.5ヶ月伸びたとかいうことで
効果の有効性を比較するわけです

以前の私は
2~3ヶ月伸びたって意味ないじゃないか
と思っていました

しかし根治が難しい癌だとわかった後の
患者さんご本人や その家族の方の気持ちのありようが
月単位や週単位 時には一日単位で変化し
落ち着いてよい時間を持てるようになる方が居られるのを見ていると

2~3ヶ月って
わりと 大きいなぁ
と思うしだいです

残る時間の猶予

2008-03-25 | 医療・病気・いのち
手術ができない進行胃癌や再発胃癌の治療において
抗がん剤は重要な役目を果たす
特に2000年ころから
それまでの治療とは違い
薬の使用によって寿命の延長が期待できるようになってきた

寿命が延びたって どうせ治らないじゃないか

と言われると その通りなのだが
数ヶ月から1年 寿命が延長することにより
時間が作り出せることになる

私たちの多くは
ぼんやりといつか訪れる死のことを思い浮かべることはあっても
それをしっかりと見つめることはほとんどない

否が応でも考えざるを得ない状況である 末期癌状態
苦しむ時間が延びるだけなら遠慮したいが
緩和ケアを行いつつ治療を行うと
肉体的苦痛が少ない状況で過ごすことができる場合が多い

そこに時間が与えられたなら
自分の人生を見つめなおす
人との関係を見直す
生きるということに対する 思索を深める
ということができる時間が与えられたことになる

これって
意外とありがたいことなのではないだろうか
まあ 有難いか否かは 人によって違うでしょうが

踊らにゃ そん?

2008-03-24 | 医療・病気・いのち
体重計が売れているそうである
それも体脂肪率などが計測できるちょっと高級なやつが

メタボリック症候群という言葉が
あっという間に市民権を得たと思うと
そこに様々な需要が出てくるようで
体重計もその一端であろう

いろいろな分野で
~億円産業
などとささやかれると
あっという間に様々な会社がそこに参入する

健康産業といわれるものも
かなりの収益を上げる分野になるのだろうが
なにか消費者が踊らされているように感じることも多い

実際の祭りなら
「踊らにゃ♪ 損♪ そん~♪」
というのも事実だろうが
健康という面では踊る阿呆にはなりたくないものだ

体重計を用いて自己管理をすることは良いことだが
健康に良いことを謳うまやかしの商品や治療方法などはたくさんある
あまり踊らされないほうがよい
踊る前によく考えたほうがよい

健康の維持は
なによりも普段の生活習慣が大きい
金をかける前に
自身の生活を見直したほうがよい
そしてせっかく体重計にお金をかけるなら
それを見直しのきっかけにしてほしい

兎にも角にも
健康が売り買いできるかのような風潮と一線を画し
お金には換えられない
というような価値観を芯にもって生きていたいものだ

唯一

2008-03-23 | 想い・雑感
人体を小さな宇宙と表現することがある
確かに人が知り得ない広大な宇宙に比べると
人なんて小さな存在かも知れないけれど
生命というのは 宇宙そのものと言っても良いように感じる

私たち一人一人が
宇宙を 体現しているわけだ

もちろん だからえらいとか言うわけではない

自分の意志で存在し得たわけではなく
ただ いろいろなお陰で 
   いろいろな縁で
生かされているだけだから

でも みんな
唯一の存在なんだね
すごいね

居眠り運転

2008-03-23 | 想い・雑感
居眠り運転による事故報道をみると思い出すシーンがある

留学前に仕事の引継ぎや事務手続きその他で慌ただしく
寝不足が続いたとき
留学先の町から日本に来ている人を教えてもらい
会いにいった時である

その帰り
ほっとしたのもあって とても眠い

ほんのコンマ数秒記憶が飛び
次の瞬間 目前に路肩が現れた
あわててハンドルを切った
片側一車線の国道での危機一髪の状況

事故というのは
ほんとに一瞬で起こるものだと実感
いま思い出してもぞっとする

眠気を我慢して運転する
それほど我慢しているつもりでなくても
カクンとくる可能性はある
講演などを聴いていて
眠るまいと思っていても気がついたら・・・
と同じことである
眠気を感じたら 車を止めることだ
私は眠気を感じたら我慢せずに車を止めて仮眠をとる
まあ年齢とともに他のことでも我慢なぞできないようになっているのも事実

なお眠気をもよおすのは睡眠不足だけとは限らない
睡眠導入剤を服用して車を運転するなど言語道断だが
風邪薬や抗アレルギー薬などでも眠くなる成分が入っているものがあり
注意が必要

車を運転する方は
ご用心

心の在り様

2008-03-22 | 想い・雑感
癌の手術から5年半が経過し
もう根治したと思っていたら再発した方がおられた

最初に癌であることをお伝えしたときも

再発であることをお伝えしたときも

泰然自若
飄々とした感じであった

昔から禅寺に行き 読経されていたようで
最後にいよいよつらくなったと入院を希望されてきたときも
声を出すと咳き込んでしまい
お経があげられないのが一番つらい と言われた

読経の実践の中に 精神の安らぎを得ておられたのであろうか

亡くなられて病院からお送りするとき
奥様にお聞きすると
通われた禅寺に連れて行くとのこと

そして
葬儀の段取りから
会葬の方にお配りするものの手配まで
すでにご自身で入院前に整えられていたとのこと

どのような心の在り様だったのだろうか

最後の問いかけ

2008-03-21 | 想い・雑感
「もう、時間が来たと思うか。」

薄れ掛かけていた意識が少し戻ったとき
奥様に問いかけた

「私には、よくわかりません。」

「そうか、わからんか・・・。」

いよいよ最後のときが近づいてきているHさんの問いかけ

ご本人は 本当に 奥様からの返事を期待していたのでしょうか
それとも いよいよかなあ という想いが口をついて出てきただけで 
答えを求めていたわけではないのでしょうか

返事を待っていたとしたら

○ まだ 大丈夫だと思いますよ
○ それは 人間の誰にもわかりませんよ
○ もうそろそろかもしれませんね お父さん本当に頑張ったね ありがとう

などのなかのどれに近いものを待っていたのでしょうか

私なら
う~ん
答えを待っているような いないような という気持ちで
どのような反応であっても
良いような気がします
そばにいてくれて 何かの反応をしてくれれば
それでなんとなく安心するような気がします

Hさんはどうだったのかなぁ

残る想い

2008-03-20 | 想い・雑感
人の死後に残された
身近な人々は

その死を 多少なりとも 背負って生きていくことになる
その人の死に 様々な想いが残っていると 
背負っていくものも 重くなるような気がする

もう解くことのできない人間関係のもつれなどは 
重荷となる大きな要因だろうが
それは私にはどうしようもない

せめて
苦しみの中で死んでいく
というようなことが
なるべく少なくなるようにする努力をするばかりである

ご遺族に
苦しめてしまった という想いが あまり大きく残らないように

外科医と漢方

2008-03-19 | 想い・雑感
外科では
悪いところを取っちゃえ とか
傷んだ所を修繕しときましょ
とかいうような 原始的で野蛮な手段を用いて
治療を行うことが多い

この手仕事 手術は
体の一部 局所に対して 治療を行うものながら
全身麻酔をかけて手術をするということになれば
体の一部だけの問題でなく
体の調子 体力 合併症(高血圧、糖尿病、心疾患・・・)の有無
などと体全体を見回してみて
手術可能かどうかを判断することになる

この中で 調子とか体力というもの
つまり手術に耐えられるかどうかというもの
を判断するのは厳密には不可能だ
まあ普通に歩けて 階段なんぞ上れるようなら合格だろう
とか うん 元気そうだね
というような ぼんやりしたところに 判断の根拠が置かれたりなんかする

ぼんやりとした根拠などというと
いい加減な感じがするが
生きていると このなんとなく感じるものが 意外と重要だったりする
そこの感受性を高めるために 経験をつんでいるのかもしれない

漢方診療というものをかじって
陰陽五行説などというのを聞くと 煙に巻かれたような気がするが
それこそ長~い時間を経て積み重ねられてきた経験則である

一人の人の個性 体質 体力 気力などを見たうえで
これが良かろう という処方(さまざまな生薬の様々な組み合わせ)
を服用してもらうというもの

つまり病名に対して薬が出るわけではなくて
ある個人の全体の調子に対して 薬がきまる

全体の調子を診る という点で
外科医にとって漢方診療というのは
意外と親和性があるように思う