Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

砂を噛むような…

2007-05-31 | 想い・雑感
春の霞は濃淡を見せながら
山間を流れる
白っぽさの中に淡い桃色を伴っているようにも感じる

今年の春もそういう景色を何度か見かけたが
薄黄色のベールの向こうに
遠景を見るようなことも多い

黄砂である

さまざまな条件から鑑みて
中国大陸から流れてくることは間違いないだろうとのこと

藤村に
流れ寄る椰子の実に
遠い島やふるさとを歌いこんだ詩があったと記憶する

黄砂も長い旅路を経て
日本にやってきたのだろうが
椰子の実のような情感はない

砂をかむような
ざらざらした感覚が湧き起こるばかりである

感覚の延長

2007-05-31 | 医療・病気・いのち




体と外界との感覚的境界というのは
延長 拡大するとも言えます

お箸を使い慣れていれば
お箸の先端でものの硬さや大きさそれに滑りやすさなどを感じています

車を運転していれば
タイヤと接地面との間で路面の状況を感じています

字を書くときは
筆記用具の先端で
紙質などを感じています

写真は腹腔鏡下手術の際に使用するはさみです
約40cmの長さがあります
他のいろいろな道具もこれくらいの長さがあります

鏡視下の手術は臓器を直接触れないから
また使用する器具が長いから
感覚がわからず難しいとよく言われますが

使い慣れると
器具の先端から伝わる感覚がわかるようになり
外科医の身体はその器具の先端まで延長していくのです

道具を使う他のすべての動作 技術と同じことです

子猫

2007-05-30 | 想い・雑感
カラスは弱った小動物を襲うと聞いたことがある
実際にカラスに襲われていた
生後数ヶ月の子猫を見つけ
家族が連れ帰ってきた

白と黒とに色分けされた
日本猫である
動物病院経由で連れ帰ったようだ
到着した日はぐったりしていたが
みるみる元気になってきている

それはそれでよかったのだが
以前も書いたように
私は犬派である
にもかかわらず
すでに2匹の猫が我が家にいる

ここに3匹目の子猫である
やれやれ である

もらってくれる人を探しているといっているが
どこまで本当か怪しいものである

バランス

2007-05-29 | 想い・雑感
子供を病院に連れてくる母親の中には
子供への質問すべてに応えようとする母親がいる

同様に夫に付き添って来ている婦人の中にも
夫に質問しているにもかかわらずそのすべてに答えようとする人がいる
さらにはこちらが聞いてもないご主人への不満を発言の中に混ぜてくることもある

まあこの奥さんがいてくれるからうまくいっているという面もあろうが
言いたいことも言えない様はどうも違和感がある
実際夫婦といえども他人であり
夫の自覚症状は正確には夫にしかわからないのである

あんまりだと思ったときには
診察する間奥様には診察室から出て頂くこともある

その夫が外来待合室の椅子などに一人で座っているのを見かけると
時にその横に腰を下ろしてお話しすることがある

奥さんの前であれほど寡黙なのに!
と驚くほどよくお話をされることが多い

関係というのはバランスの上に成り立っているのでしょうが
バランスをとっている片方を除いた状態でもう片方を見ることにより
また違った面が見えてくるのは
夫婦間の関係だけではないですけれどね

ぶどう

2007-05-28 | 想い・雑感


今年もぶどうの季節が近づいてきた
これから実をつける準備が整っている

去年はここに
あしなが蜂 だけでなく くまん蜂までやってきたので
往生しました

今年はそうならないように
実がなったらすぐに収穫してしまわなければ

予後の告知なんて

2007-05-27 | 医療・病気・いのち
癌であることを本人に伝えることは
かなり当たり前になってきました

中には予後についてもかなりはっきり伝える医師もいるようですね

私は治療を行う上で癌であることは是非伝える必要があると思っていますが
予後を伝えるというのは行っていません
行えないのです

一人として同じ状態の患者さんというのはおられないわけですから
予後をお伝えするとしても統計上のお話になります
目の前の患者さんの予後
などというのは医師にわかるわけがないのです

数ヶ月と思われた予後が
1年を越えても元気であることなんて
そんなに珍しいことではないのです

癌がどの程度進行しているかを伝えることは出来ても
予後はわからないのです
もし医師に予後3ヶ月などと言われても
その気になる必要はないのです

進行癌であっても
出来ることはたくさんあるはずです

人を励ます
やりたい勉強をする
納得いく仕事をする
手紙を書く
などなど

日常の中で出来ることを見つけ出すことは可能なはずです

確かに進行した癌があなたの体に存在しているかも知れない
でもあなたはあなたなのです

日々の行いが
私たちの人生を紡いでいきます
最後の日がいよいよ近づくまで
成長していきたいものだと思います

アレルギー性鼻炎

2007-05-26 | 医療・病気・いのち
学生時代に下宿していた所には
風向きによっては化学工場のにおいが流れてきていた
それが影響したのかアレルギー性鼻炎を発症した
そんなにひどい症状ではないのだが
水の様な鼻水が止まらないこともあった

しかし小青竜湯という漢方薬を使用することによって
最近ではほとんど難儀しなくなった
知人や患者さんにも勧めてきたが
印象とすると5~6割の方に効果がある

私はちょっとおかしいなと思ったらすぐ服用する
するとひどいことにならない
それでもちょっと症状が強いかなと思ったときに
初めて抗アレルギー薬を1回か2回使用する

経済

2007-05-26 | 医療・病気・いのち
市場経済が大手を振って社会を闊歩している
ほとんどすべての事項が価格という基準で測られている

医療分野でも経済学が重視されている
少し前ならば「医は算術になってしまった。」
などという論調を安易に掲載していた新聞も
医療費のかかり過ぎを論じるようになっている

今や国が率先して
医療費を削ることに必死である
先進国の中で決して高くない いや低いくらいの
日本の医療費をさらに削ろうと必死である

もはや命を削るしかないのか

お金がなければ医療を受けることが出来なければ
患者の命を削ることとなり
先進国に中でも医師や看護師の数が患者に対して少ない状況で
さらに締め付けがきつくなれば医療者の命を削ることになる

医療は崩壊に向かっている

手術中

2007-05-25 | 医療・病気・いのち
手術室の出入り口の上には
手術中に点灯するサインがある
テレビドラマなどでは
患者家族が待っている近くにこのランプがあるが
あのような設定は
おそらく手術室が1つか2つしかない状況でないと考えにくい

総合病院の手術場には5,6室から20室くらいの手術室があり
その一つ一つに手術中のランプがついている
手術場の出入り口に一つランプがあったって用を成さないのである

手術中のランプがついていると
その手術室への不要な出入りは避けなければならない
出入りによって空気中の浮遊物なども一緒に持ち込むリスクがあがるし
術者の気が散ることもある

私の場合は出入りがあってもまったく気にならないが
術創への細菌落下は迷惑である

裁判官も専門領域の標榜を!

2007-05-23 | 想い・雑感
多くの医師には それぞれの専門領域というものがある
外科の医者が なかなか小児科は診ることはできないし
内科の医者が 手術なんてとんでもない

でも不思議と裁判官というのは
それぞれの専門領域というものを標榜していない

裁判官は
非常に閉鎖的な環境で人生を送っているはずで
それほど実生活の上でも
裁判の上でも
広い領域の経験があるとは思えず
得意分野というものがあるはずである

なのに得意分野
言い換えれば不得意分やを
標榜することもなく
人を裁くというのはどういう事なのだろうか

医療裁判の判決文を読んでいると
この裁判官は医学を
あるいは 医療の現場を全く知らない
ということが明らかな場合がある

何かあったとき
こんな裁判官に裁かれるくらいなら
問題の起こりにくい診療科に行こうとする研修医がいたって
だれも責められないだろう

手洗い

2007-05-22 | 医療・病気・いのち
手術前には手を洗います
手術の時には手術用の清潔な手袋も着用するのですが
途中で穴が開いたりすることもあり
日常の手洗いと比べ 随分と厳密に洗います
肘の少し上から指先まで
最低3回 念入りに

手を洗いながら
心を鎮め 
どのような手順で手術を行うか
今一度頭に描きます

手慣れた手術でも
一人一人病状や体型その他 細かいところまで見ると皆違います
その違いを考慮に入れて
イメージを描くのです

お寺などにある手水鉢は
手を洗うだけでなく
心も洗うのだと聞いたことがあります

手術前の手洗いも
単に手を洗うだけではない
貴重な一時です

速さ

2007-05-21 | 想い・雑感
車を運転するとき
スピードを周りの車に合わせる
しかし 速い車があると
極端な場合は別として
ついつい一緒について行ってしまう

不思議なもので
一旦スピードを上げてしまうと
それに慣れてしまって
スピードを落とすと随分遅く感じてしまうので
なかなかアクセルを緩めなくなってしまう

ただ 本人は慣れたつもりでも
速度が増せば より素早い判断が求められるため
精神的 肉体的 にストレスがかかっており
心拍数や血圧は上がると聞いたことがある

日常でも
慌ただしい時間の使い方に慣れているようで
次から次に何かをこなしていくというのは
ストレスがかかっている可能性がある
本人が気づかないうちに
体も心も追い込まれる事となる

時にはゆっくり呼吸をし
自分の生活を見直して見る方がよい

行雲流水

2007-05-20 | 想い・雑感
梅雨前のこの時期の青空は気持ちがいい
外に出て空を見上げた
雲がぽかり ぽかり と浮かび 流れている

子供の頃っていまよりずっと空を見上げていたなあ
犬の散歩の途中で 土手に座ってぼーーーっと眺めていたなあ

などと思って見ていると
雲も水だということが実感として迫る

形があるようで なく
自在に空間を通り抜けていく
その様を見て あんな風に生きてみたいなあと
古来人は思ってきたのだろう

生きているうちに
いろいろな見方 考え方が
塵のようにつもり 固まってしまっているのではないだろうか
本来心にも形があるわけでなく
自在に流れるはずなのに
何かに囚われて 滞ってしまっているのではないだろうか

動作

2007-05-19 | 医療・病気・いのち
手術の時には両手の指10本をすべて使っている
多くを経験するうちに自然とそうなった
さらに指に加えて
手の甲や掌も使っている

技術というのは
繰り返しているうちに体が覚えている
曰く言い難い部分があるのだといえる
これは技術に限らず
人の動作すべてに言えることだろう

経験と蓄積の上に今の動作ができあがった場合
その動作は無意識に行っている部分が多い
それがその人の クセ ということになる

時にはそこに意識をあて見直すことも必要となる
手術もビデオに撮ったりして改めて自分の動きを見ると
改善した方が良い点が見えてくる

日常でも一度自分の体に意識を向けてみると面白い
頭の先から足の先まで
順番に意識を向け
動かせるところすべて動かしてみるのである
自分の統制下にある思っている体が
如何に自分の意識と離れたところで動いているかがよく分かる