Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

相対

2011-08-29 | 想い・雑感
人は
物事を相対的に見てしまう
何かと比較して考えてしまう

現状に満足していたはずなのに
他と比較して心穏やかでなくなったり

不平があったのに
よりひどい状況の人を見て
俺なんかいいほうだ
と一転満足したり


生きる
という問題もそうなのかもしれない

死と向き合ったとき
向き合わざるを得なくなったとき
生きるということを厳しく問われ
真剣に考えることができるのかもしれない

自宅へ

2011-08-29 | 想い・雑感
癌の再発に対し
有効とされる抗がん剤治療を行い
進行を随分と押しとどめてきたKさん
しかしここに来て病勢は強まるばかり
使える抗がん剤は使い切ってしまい
また使えば全身倦怠感が強く前面に出るようになってきた

体がきついということで入院となった

今後抗がん剤治療はしないほうが良いであろうと思われ
だらだらと病院にいると
自宅に帰るチャンスを逸するとおもい
がんに対する積極的治療が難しい旨をご本人とお話し
ご家族ともお話した

それまでは
自宅に帰る不安を訴えていたKさんは
自宅で過ごしたいとの意思表示をすぐにされた

食事量が不十分なので
いつでも点滴(中心静脈栄養)ができるように
ポートの埋め込みもしたうえで
自宅近くの病院から
訪問看護の形で点滴をしてもらうこととなった

いよいよとなったら私どもの病院に入院したいというご希望に
自宅での生活が不安になれば
いつでも連絡していいですよとお伝えした

しばしの自宅生活に戻っていかれた
戻れる時期にお話をさせていただいてよかった

木陰

2011-08-29 | 想い・雑感
秋雨前線の如き前線が
しばらく日本に停滞し
すっきりした天気がありませんでしたが
本日は 晴れ
まだまだ日差しが強い


気温はまだ高くないが
強い日差しを感じながらバイクで通勤
信号待ちでその日差しが和らいだように感じたら
大きな木が
やさしく日差しを遮ってくれていた

きっと親は
子供の気づかぬところで
ダメージをほんの少し和らげるよう
やさしく守ってくれていたのでしょうね

この大きな木のように

できるからと言って、

2011-08-25 | 想い・雑感
できることがあるのに
何もしない
という決断は難しいかもしれない

しかし
たとえできることがあっても
それをしない方がよい場合だってある

80歳を超えて癌が見つかった人に対し
手術を行うと
たとえ根治術ができたとしても
手術をしない場合より寿命が縮む可能性がある
との報告の要約を見た

研究デザインがしっかりしていないし
統計的有意差は無いようなので
これで高齢者に対する癌手術をやめるべき とは決して言えないが
手術で命を縮めるという事態は
起こりうることだと思う

高齢者に対して無事手術ができる

ということと

手術をすることによって長生き出る
ということは
別次元の事なのだ

積極的な手術はしない
というのだって
立派な選択肢である可能性は十分あるのだ

結局

2011-08-21 | 想い・雑感
癌が再発してしまったとき
そのことを患者さんに伝えるようにしている
抗がん剤が十分な効果が発揮しうる時代となったからには
その治療内容などの説明がどうしても必要であり
その説明の前提として病状を知っていただく必要があるから
というのが理由の一つである

一旦説明をすれば
その後の経過もきちっとお伝えする必要が出てくる
経過が良い場合も 悪い場合も

そしてほとんどの方は最終的には悪い方向へ

ある時点で改めて
それまでの経過をまとめてお話をすることがある
一つ一つの内容は既にお話した内容なのだが
全体をまとめて聞くことによって
心の中に密かに保っていた希望を打ち砕いてしまうことになるのか
しばらく落ち込んでしまうかたもおられる

あるいはこちらがお伝えしたつもりの内容が
しっかりと伝わらなかった部分がある場合もあるだろう
説明の時には当然言葉を選ぶので
ちょっと引き気味の表現になることもありそれが印象を変える場合もあるだろう

説明と言うのは
むつかしいものである

ただお話する内容は
結局はご本人の命に関する事項であり
どんな説明をしようとも
生死(しょうじ)に向き合わなければならなくなる

本当のむつかしさは
その生死の問題を直視するすべを
本人も医師も知らないところにあるのだろう

ますますむつかしい話である

2011-08-20 | 想い・雑感
木の根元に
セミの抜け殻がある

その傍らに
セミの死骸が横たわっている

当然抜け殻と死骸は別人(蝉)だろうが
地上での短い時を感じさせる

地中から這い出し
一皮むけた後
生の最終章を燃焼し尽くしたのち
乾ききった屍を脱ぎ去った

恐らくどこかに
命のバトンを渡したのだろうが

乾ききった屍に
もはや命の炎は見当たらない



励 ・ 慰

2011-08-19 | 想い・雑感
自身の胸のうちを覗いて見れば
心はコロコロ入れ替わる

励ましてもらいたかったり
慰めてもらいたかったり
ほうっておいてもらいたかったり・・・

励ましが力になることもあれば
 励ましに傷つくこともある

慰めで心穏やかになることもあれば
 慰めで心波立つこともある

最後の時が近いご本人に
周りのご家族

どのように関わればよいのか
いまだに迷うばかり

2011-08-18 | 想い・雑感
辛く悲しいことがあると
元気を出せよ と言ってくれる
ありがたいことだけど
そう言われて出る元気はあまりない

辛いこと 悲しいことがあれば
とことん苦しみ 悲しみ尽くしたあとでなければ
なかなか乗り越えられず
元気も出ない

十分悲しんだあと
ふっと力が抜け
少しは微笑むこともでき
やっと元気が出てきはじめるんだよね

予定

2011-08-17 | 想い・雑感
手帳の上手な使い方
などという特集がくまれたり
一冊の本になっていたりする

それらに眼を通すと
達人と呼ばれる人のなかには
実にきれいに書き込みをしている人がいる
ただただ驚くばかり

むか~し
試験勉強の予定表を立てていたころから
予定通りには行かないことを実感していた私には
遠い世界の手帳術

まして仕事を始めてからは
いきなりプライオリティの高い仕事が目の前に現れるようになり
細かい予定表などあって無きが如し


大まかな重要事項と
To Do List
を書いておく程度の手帳しか持ちません

予定をきっちり立てる人の中には
たいていのことは予定通りになると信じているひとも見受けられる
死に方 まで考えている人もいる
思うようにならないことの最右翼事項なのにね・・・

明日をも知れぬ

2011-08-17 | 想い・雑感
あれよ あれよ 
という間に状況が変化することがあるが
癌の進行でもそのようなことがある

進行癌といわれるものでも
通常は時間的余裕があるものだが
わかった時点からいろいろ治療を始めても
その病勢を弱めることがまったくできなくて
あっと言う間にその人の命を奪い取ってしまうことがある

かなりの進行癌でありながら
明らかな再発を認めず5年以上が経過した方が
体調不良を訴えて来院された

お腹の中には全く再発を認めなかったが
多発性骨転移を認めた
すぐに入院していただき
治療を始めたが
目に見えて日に日に体力は落ちていく
入院後一週間ばかりで
骨髄癌腫症
強度の貧血
血小板減少
DIC
ARDS
と瞬く間に進行した

ご本人は
あまり苦しみを訴えておられず
普通に意志の疎通もできていたのだが
ある朝から呼吸機能が急速に低下
それでも会話をされていたが
その日の午後には力尽きた

癌治療の現場にいると
明日をも知れぬ
という現実をいやというほど見ることになるが
それでも
明日あると思って生きている自分自身に気づく
そう思っていないとおちおち生きてもいられないのだが
一寸先のこともわからないという事実から眼をそらしてばかりもいられない

通り雨

2011-08-16 | 想い・雑感
H2Oをたらふく含んだ空気
適当に蛇口を突っ込み栓を開けば
そこから水が出てきそう

と思っていたら
どこのどなたが蛇口を突っ込んだのか
いきなりどっと降り出した
そしてピタリと降り止んだ

もう驚かなくなったけど
強い通り雨と
ちょくちょく出会う

いよいよのとき

2011-08-16 | 想い・雑感
病院にしろ 自宅にしろ 施設にしろ
病床に身を横たえ
そこから見える範囲が生活空間の全てとなり
自分の命もいよいよ尽きるなぁ と感じたとき
人はどうしたいと思うのだろうか

医師に対してはどうして欲しいのだろうか

そこに明確な答えなど存在しないのだろうが
何らかの答えを求めつつ
今日も病室を訪れる

全身倦怠感

2011-08-15 | 想い・雑感
とにかく体がだるい

癌末期になってくると
このような全身倦怠感を訴える方が
かなりおられます

これを完全に取り除くのはとても難しく
人間最後まで楽はさせてもらえないのかなぁ
といつも思います

少量のステロイドの使用で
一時的にだるさが軽くなることもあるのですが
その効果もせいぜい数週間

身の置き場がないと
表現されるきつさを取り除くには
眠たくなるお薬を使うしかないことになります

それを望むか否かは
そのひとの考え方やきつさの度合いによります

ただ
寄り添う人がいてくれると
その苦しみが和らいだように見えることもしばしばです

最後死ぬときは一人ですが
旅立ちを見送ってくれる人が傍にいることは
大きな慰めになるのでしょう

末はお互いこの姿

2011-08-14 | 想い・雑感
日本において
遺体は火葬にされるのが通例なので
多くの方は火葬後の骨をご覧になったことがあるだろう

白骨となってしまえば
それまでの人生で味わった喜怒哀楽を感じることもなくなる
というのがよくわかる

われわれは皆
末は同じ姿
もうちょっと穏やかに
にこやかに
やわらかに
和やかに
生きていきたいなぁと思う

まあこんなことを言う私自身
思った次の瞬間忘れてしまうのですが…

絡めとる

2011-08-14 | 想い・雑感
癌の治療をする時には
なるべく体に負担がかからないようにしたい
というのが人情

一方癌を根治させるには
癌細胞を体から完全排除する必要がある
必要最小限の切除で終わらせたいと思うあまり
少しでも癌が残ればそこから癌は盛り返してくる

早期胃癌の診断で
他院で内視鏡治療(ESD)を受けたNさん
その治療後に胃に穴が開き緊急手術になったそうである
どうせならその時に穴の開いた当たりを追加切除して閉じればよかったのだろうが
内視鏡下に切除された標本の組織検査では
取りきれていない可能性が高いとの判断だったようだ

追加切除を勧められたが
すでに開腹にまでなったNさんは
手術はしたくないと訴え
経過観察をされていた

それから3年
やはり再発してきたとのことで
手術依頼で紹介されてきた

通常の場合と違い
今回は内視鏡で切除した部分の底から発生してきているので
見つかったときには胃の壁全層に広がっていた

治療を受ける側も 治療を行う側も
なるべく少ない無理しかかけないように思う気持ちは同じだが
安易に切除範囲を縮小することには慎重になる必要がある

最初の治療で
癌細胞を全て絡め取らなければならないのだ