Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

思い出してしまう

2009-05-27 | 想い・雑感
何らかの記憶に結びついた場所

視覚 嗅覚 聴覚 味覚 皮膚感覚
などを通して
思った以上に深く記憶に残されている

楽しい思い出
華やいだ思い出
苦い思い出
そしてつらい思い出

その場所に行けば
様々な感覚が一気に吹き出てくるような場所がある

人によると
病院もそのような場所になる

愛する人を病で失い
その最後の場所が病院である場合
そこを再訪するのに抵抗感が出てくる場合もあるだろう



ある朝病棟回診をしていると
見たことのある顔をベッド上でお見かけした
以前ご主人を癌で亡くされた方だった
私がそのとき担当していた

急な腹痛で当院に運ばれてきたとのこと
「できればこの病院に来たくなかったのですが・・・
くれば思い出してしまうから」
「すみませんねぇ
さらに追い討ちをかけるように
私が顔を出してしまって」
「いえいえ とんでもない
その節はお世話になりました」
などと話しつつベッドを離れた

どうもまだご主人の死が
なまなましく心を覆っているようだった
またベッドサイドを訪れてみよう
すこしでも気持ちが前向きになる一助になれると良いのだが・・・

名前

2009-05-26 | 想い・雑感
多くの勤務医は
あちこちの病院を回った後に
何らかの巡り会わせで
ひとところに落ち着くようになる

ひとところに長くなると
毎年職員の多くが徐々に入れ替わっていく

現在の病院にたどり着いた後
数年間は医師や病棟看護師の名前をほとんど覚えていた私も
ついに覚えようとすることをしなくなってしまい
結局名前を知らぬまま
お別れということもときに起こるようになってきた

だれにとっても
自分の名前というのは大切
それを覚えていないとは
コミュニケーションの第一歩で失格ですな

反省 反省

でも反省だけで終わるかも…

自殺?

2009-05-25 | 想い・雑感

幸せなことに
これまで本気で自殺したいと思ったことはない
環境の変化が著しいときがあり
なにもしたくないうつ状態になったことはあるが
それも2週間ばかりで脱した

韓国の前大統領が自殺されたとの報道を眼にした
自室のPCに遺書と思われるものが残されていたそうだ

なんとなくしっくり来ないなぁ
もし私が遺書を残すとしたら
自筆で書き上げた上に
封筒に入れるような気がするのだが
そのようなものではないのだろうか

最低でもPC上に残すだけでなくプリントアウトするような気がするなぁ

前大統領はPC上に思いを残した後
飛び降りるときは発作的に行動に移してしまったのだろうか?

追い詰められ
うつ状態になっていたらその可能性はあるだろうが
やはりどうもしっくり来ないなぁ

右往左往

2009-05-23 | 想い・雑感

人 人 間の感染症においては
地方病などというのは存在しなくなったようですね

メキシコにおいて新型インフルエンザにたいする初動に
遅れがあったにしろ
世界にむけての感染拡大のスピードをみると
なかなか一地方や一地域に
感染症を閉じ込めることなど困難なようです

地球全体にわたる人の流れが
いかにダイナミックに行われ
多くの国と地域が互いに密接な交流を繰り返しているかということが
今回の感染の広がりを見てもよくわかります

また島国日本において
これまではなんとなく有効に働くような印象を持ってきた
水際作戦などというものも
ほとんど役に立たないことが明らかにもなりました

それにしても
数年前にSARSが問題となった頃から
新型感染症のパンデミックの危険は喧伝されながら
行政はどういう対応策を練り上げてきたというのでしょうか

病院に行政から伝わってくる対応策も
行き当たりばったり 右往左往 という態で
まったく指示として成り立っていないようなものばかり

普段国や地方が出す通達に対しては
上意下達と言わんばかりに高圧的な態度でやってくる官僚が
いざというときにはまったく機能しないというのは
不幸なことであります

今回のインフルエンザの毒性がそれほど高くないタイプでよかったですが
次はどのような型が現れるかわかりません
そうなった場合人類は始めての事態に相対するわけですから
完璧な対策などはできないのは仕方ありませんが
きちっとした行動 対策 のルールを作らなければ
いつまでたってもよりよい対応策などできるわけがありません

これを機会に
感染症のパンデミックに対する対応規範を作成することを
行政に強く望みたいところです


組織検査シロ

2009-05-22 | 想い・雑感

胃癌の診断は、最終的には組織診断で行います。内視鏡で病変を見つけたら、生検(組織に一部をつまみとって、顕微鏡で調べる)を行い、確定診断を行います。内視鏡で見ただけでは、癌と見間違うような潰瘍もまれに存在するので、組織検査でクロとでるまではなかなか手術に踏み切れません。

つい最近も、内視鏡上は胃癌を疑うとのことでYさんが紹介されてきました。ところが、紹介もとの検査でも、私の病院での検査でも組織検査の結果はシロ。潰瘍の薬を使用しているうちに、抉れた病変は見る見る縮小していく傾向を見せたのでした。最終診断は胃潰瘍で手術不要となりました。

昔は内視鏡などなかったので、胃透視のみが検査手段。当然生検などは行うこともなく、手術適応が決められていました。だから、胃癌の診断で手術をしたけれど、最終的診断は潰瘍だったということも珍しくなかったようです。

ただ、潰瘍だって昔は今のように良い薬がなく、夏目漱石のように潰瘍ゆえに落命する方が多かったわけですから、潰瘍であっても手術適応でした。現在は、潰瘍のほとんどがお薬で治りますし、ピロリ菌の存在もわかり、手術が必要となる潰瘍は昔に比べ激減しました。喜ばしいかぎりです。


一万キロメートル

2009-05-20 | 
昨年の7月に
不良中年(初老?)宣言を行い
バイクに乗り始めた
月1000Km走破の目標をなんとかクリアーし
10か月を前に一万キロメートル走破を達成

仕事持ちの上
不規則な生活を強いられている人間の
走行距離ではない!

と言われながら

今日もバイクに跨り
いざ病院へ

対策?

2009-05-20 | 想い・雑感
もし自分が学生時代に
インフルエンザ騒ぎで大学が休校になったら

1 お金がなければ 
     一日中家で本を読んでいる

2 お金があれば
     旅に出る

1である可能性が高いのだが
まかり間違ってお金があれば
どこにも行かずにじっとしている自信はない

関西の学校で休校が相次いでいるようだが
感染の拡大制御のために効果があるのだろうか

休校は学校の責任逃れに過ぎないような気がする

学生がどこに行こうとそれは学生の責任ということでしょうね

治療費

2009-05-15 | 想い・雑感
医療費負担0の時代もあったなぁとしみじみ思う

パスタの店をしているIさん
体調不良を訴え開業医を受診したところ
しこりがあると言われ紹介されてきた

手術不能の進行胃癌

直ちに抗がん剤治療を開始したが
思わしくない
入院を勧めるのだが

店を頼む人を探す
見つからなければたたまなければならない
営業していないと資金が回らない
とのことでなかなか入院できない

それに高額医療還付の申請をしても
つきに10万円位は支払うことになる
それがきついようだ

保険本人の自己負担が0の時代なら
無理にでも入院していただくのだが
強く拒否されたのを押してまで入院を迫るわけにもいかない

国民皆保険という福祉の理想を
私たちは捨て去ってきているのだなぁ
と実感してしまう

麻薬製剤の値段

2009-05-14 | 想い・雑感
癌のために出てくる痛みに対する鎮痛に
麻薬製剤を使用することはかなり当たり前のことになってきた
最後のときを激痛の中で迎えずにすむように
症状緩和を積極的に行う医師も増えてきた
西欧諸国に比べると日本における麻薬使用量はまだまだ少ないそうだが
それでも大きな進歩である
ところがこの麻薬製剤が意外と高価である

時に疼痛をコントロールするために大量の麻薬を使用しなければならなくなる

最後の時が近付きつつあるHさん
痛みのため麻薬の必要量が急速に増えてきた
口から飲みきれる量ではなく
貼付剤で対応できる量でもないので
持続的に塩酸モルヒネを注射剤として使用することになった
痛みを見ながら徐々に量を増やしていき
痛みを感じずに何とかやっていける量が
一日に1000mgを越えた
そうなると鎮痛のためだけに一日3万円近くかかることになる

麻薬製剤の値段というのは
諸外国でもこれ位するのだろうか
もう少し安くならないものだろうか
安くしすぎて製薬会社が麻薬製剤供給から撤退しても困りますけれど


選択

2009-05-13 | 想い・雑感
病気に対する治療方法を選択する際に
年齢という因子が意思決定に関わることは少なくない

80歳の男性に早期胃癌が見つかった
担当の内科医と家族及び本人は
高齢だからなるべく無理のかからない治療をしたいということで
レーザーによる治療を選択した

2回にわたり
胃壁のなるべく深部まで焼き尽くしたとのこと

ところがそれから1年
経過観察のための内視鏡を行ったところ
腫瘍は小児の拳くらいの大きさとなった姿を見せた

腫瘍からの出血による貧血も進行していたため
手術の依頼が舞い込んだ
そして結局胃全摘
術後の経過は順調で
無事退院となった



もし最初見つかった時点で
何もしないという方針を選択したら
そのまま2から3年は何の症状もなく経過したと思われるので
レーザー治療がかえって癌を怒らせたという感じ

高齢者の場合
余命がどれくらいか誰にもわからないから
治療の選択にも頭を悩ませる

しかし中途半端な治療なら
しないほうが良いこともある
という教訓

共に進めるか

2009-05-12 | 想い・雑感
「結果が良いと、また頑張ろうという気になりますね」
と再発胃癌治療中のOさん

人間誰しも結果が出ないのではやろうという気にならないもの
抗がん剤治療の途中で
腫瘍マーカーが下がってくれば
医師も患者さんとともに喜ぶわけだが
手放しで喜んでばかりはいられない点は
厳として存在する

そしていずれ治療の選択肢がなくなってからがより難しい

患者と医師が良い関係保っていくのは

2009-05-11 | 想い・雑感
駐車場の隅に
フラフラとさまよい出てきた子猫

手足は細く
動きは遅いし
鳴き声も小さい

明らかに栄養不足

このような野良ちゃんに
餌を与えることは
一時的な自己満足だとして
否定的な意見を持つ人もいるだろう

でも私にその是非を断ずることはできない

見かけた野良すべてに手を差し伸べることなど当然できないことだが
それは人の社会でも言えること
でも手を差し伸べようという気持ちが起こった時点で
そこに一つの縁が生まれている

縁を感じたら
それに素直に従うのみ

小さくちぎったちくわを
喉に詰まらせるような勢いで食べた子猫
最後にミルクでのどを潤し
ゆっくり近くの草陰に離れていった