Dr. 鼻メガネの 「健康で行こう!」

ダンディー爺さんを目指して 日々を生き抜く
ダンジーブログ

電線

2012-09-29 | 想い・雑感
子供の頃
台風がやってくると
ロウソクを用意していた
停電することが多かったから

木の電信柱に渡された電線は
風を切ってヒューと鳴り
大きく揺れる

時には電信柱が折れ
時には電線が切れ
その一帯が停電となる

ロウソクの明かりを中心に
家族が集まり時を過ごす

「切れた電線に近づかないでください」

という注意に現実味がある時代だった

配偶者の死

2012-09-28 | 想い・雑感
「痩せたなぁ・・・」

術後7年が経過したあとも
心配だから時々受診を希望される50代の女性と
廊下ですれ違った際に感じた
もともと痩せた方だったのだが
さらに細くなっていた

再発が起こるとは思えないけどなぁ

お話をお聞きすると
伴侶を3ヶ月ほど前に亡くされたとのこと
咽頭癌で治療は受けていたのだが
調子が悪くなったと思ったら
1~2ヶ月で逝去されたようだ

死後いろいろあったようで
体調が悪いわけではないが
食欲が出てこないとのこと

死別の悲しみ
それにまつわる人間関係
生活
子供の養育など

様々なことが一気に押し寄せる
配偶者の死

体調に及ぼす影響は大きく重い

知人?

2012-09-27 | 想い・雑感
病院で声をかけられあいさつされると
患者さんかその家族
と考え
記憶の糸をたどる

廊下などですれ違いざまの挨拶なので
誰かわからぬまま別れることもある

誰だったかなぁ…?

なかなか思い出さないこともある

見覚えはあるのだが
どう出会い どうかかわったのか
ちっともわからない

さらに最近は記憶力の減退という大敵も同居しているので
それが激しくなったような気がする

でも短期間外来で働いていた看護師さんは
思い出さなくて仕方ないようなぁ  なんて思っていたら
先日は迂闊にも
同級生だと思い出せなかった

こりゃ重症だ

まあ同じクラスにはなったことがなかったのではあるが…

アンディー ウィリアムス

2012-09-27 | 想い・雑感
昔 あまりに何回も聴きすぎて
飽きてしまった
アンディー・ウィリアムスの
ムーン リバー

改めて聴くと
なにか体に染み込んでくるような
心地よい歌声

There's such a lot of world to see

と歌いながらあちらの世界も見て回り
素敵な声を響かせてくれるのでしょうか

合掌

適応

2012-09-25 | 想い・雑感
胃を全部取ってしまうと
なかなか食べられない人も多い

術後しばらく
なかなか食事摂取量が増えなかった
50代男性

ところが体というのは適応していくようで
術後1年を過ぎた辺りから
食事量が一気に増えた

力仕事をされているのだが
仕事仲間よりよっぽど食べられるとのこと
飲むほうも人並み以上

筋肉隆々

すごいね

呼吸困難

2012-09-23 | 緩和医療
最後が近づくと息苦しさを訴える方がおられる

息が吸えない
酸素が入ってこない
胸がくるしい
などという訴えがでてくる

呼吸(外呼吸)は
酸素を取り入れる
換気により二酸化炭素を体外に出す
血液のpHを保つ
などの働きがあり
それらの機能が落ちてくると肺障害とか呼吸不全とかいう状態になる

ここで大切なのは
患者さんに呼吸困難感があるからといって必ずしも呼吸障害があるわけではないということ
つまり呼吸困難というのはあくまでご本人の自覚に基づくものであるということ

だからもし体に十分酸素が取り入れられていても
また二酸化炭素がきちっと体外に排出されていても
患者さんが苦しいといえばそれは呼吸困難ありなのである
苦しいと言っているのに
データが正常だからそんなはずはない
などと言ってはいけない

呼吸困難が出現したら
その原因を取り除いたり軽減することが出来る場合もあるが
それができないことも多い
そんな時少量のモルヒネが著効することがある
モルヒネを使うのは痛みに対してだけではないのである

考えられることをいろいろやって
少しでも苦痛を少なくすることを常に目指す
ということが緩和ケアで大切なこととなる

一周忌

2012-09-22 | 想い・雑感
今日は親戚のおじの一周忌
体調を崩してから
あれよあれよと言う間の逝去だった

そしてあっという間に一年

おそらく
全国で今日一周忌の集まりは
いくつもあっただろうが
それぞれが特別な思いを持って集う

医療者は
少しだけでも
その特別な思いを汲み取ることが出来る
そんな心を持って
診療に当たりたいもの

播種があると

2012-09-21 | 医療・病気・いのち

腹腔鏡下手術を予定していたTさん
いざカメラを腹腔内に入れると
腹膜播種が見つかった
原発巣(胃の病巣)はそれほど大きくないので
これは予想外だった

切除はせずに腹腔内に抗がん剤を入れただけで終わった

その後抗がん剤治療を開始し
腫瘍マーカーは順調に低下してきたが
途中から再上昇
抗がん剤の変更を提案したところ
もう一度お腹の中を見て欲しいとの希望

難しいとは思いつつ
一度見てもらわないと後悔が残るとの言葉に押され
腹腔鏡を再度入れてみたけれど
やはり播種巣は存在しており
原発巣では壁外へじわっと広がっていく様相

やはり播種まであると
抗がん剤を使用したところで
手術可能となることはまずない

癌は早くに見つからないと
完治へ導くことは極めて困難

全部大切

2012-09-20 | 想い・雑感

自分の身に起こったことは
全て正しい 必要なことだと
受け入れた上で
今を生き 次のステップへ進む
というのを基本としている

全てがある意味必然と考える場合
ヒトゲノムの多くが働いていないとの報告は
なにか釈然としないものを感じていた
理由があって今の配列になっているのではないのか と


先日 理化学研究所が参加する
国際研究プロジェクト(エンコード計画)
の成績として
ヒトゲノムの少なくとも80%が何らかの機能を持つ
と発表された
タンパクの合成に直接関わるのは
ゲノム全体の2%と程度とされるが
他の多くの未解明部分が
遺伝子発現の制御をしていることが示されたのだ

そうでしょう そうでしょう
そうでないと困ります
きっとゲノムの全てが必要なものなのだと思いますよ
はっきりとした機能が見つからないとしても


つるべ落とし

2012-09-19 | 想い・雑感
釣瓶なんて見る機会はほとんどなくなったけど
秋の夕暮れを見ていると
やはりつるべ落としという言葉がストンと落ちる



自転車にまたがり病院を出るときには
まだ夕焼けだった空も
15分くらいたった時には
月齢3~4日くらいの月がくっきり見えるほど
空は明るさを失っていた



なんだか寂しい
秋の夕暮れ

もうじき上弦の月

ひと手間

2012-09-18 | 医療・病気・いのち
食道がんの手術の時
食道及び胃の上部を切除したあと
残った胃の形を整えて
首の高さまで持ち上げ
食道とつなぐというのが
標準的再建のやり方である

その際食べ物の通過をよくするために
胃の出口に当たる幽門輪を
グッと広げておくのだが
一般的には親指をぐいっと幽門輪にツッコミ
幽門の筋肉を破壊するという
Finger fractureという方法を施行する
しかしこの方法は幽門輪の広がり具合を
調整するのがむつかしく
効果が不十分となることもある
それで私は
きちっと筋肉を切って縫いなおすという
幽門形成術を行うようにしている

このひと手間を加えると
術後の食物通過具合が安定して良好であり
手術を終える時に安心感がある

何よりも患者さんにとって
如何にスムーズに食べられるかというのは
術後のQOLに決定的影響を与えるので
ないがしろにはできない

料理の下ごしらえなどで
ひと手間かけるかかけないかで
グッと出来栄えがかわるのと同様である
…なんて料理と同列に言っていいのかなぁ…?


かみなり

2012-09-18 | 想い・雑感
ガタ ガタ ガタ ガタ

ごろごろというより
家のすぐ上を何かが通り過ぎるような振動
電車の高架下にいるとでもいうような感じ

最近の雷は
単発でごろごろ とくる
というよりも
長くなり続けるような気がする
しかも地上に近い位置で

雷雲の発生する範囲が広く また高さが低いのだろうか

すぐ近くで
雷神が太鼓の乱れ打ちをしているようだ

播種性骨髄癌症

2012-09-17 | 胃の診療

癌が骨髄に広がり、出血傾向や著しい貧血などを引き起こす状態を、播種性骨髄癌症と呼ぶ。発症後の生存期間の平均は4~5ヶ月といわれるが、入院後数日から数週間で亡くなることも稀ではない。だから、診断がつけば、直ちに抗がん剤治療を開始する必要がある。だが、抗がん剤自体を使用できない全身状態のときもあるし、使用できて効果があったとしても根治は不可能である。◆この状態を引き起こす癌の中では胃癌が多い。内視鏡検査やCT検査などではそれほど進行していない、と思われるような患者さんに、播種性骨髄癌症を引き起こしていることも稀にある。また、術後10年経過してからの発症の報告もあるので油断はできない。◆頻度はそれほど多くない病態であり、その発症機序は解明できていない部分が多い。医療者側とすれば、その可能性を念頭において診療に当たる必要があるが、分かったところでできることが少ないだけに、説明するのもつらい。


症状緩和

2012-09-16 | 想い・雑感
体調不良
頭痛 軽い吐き気

これが ずっと続くとしたら
絶望的

絶望しない させない

そんな医療が
提供できるといい

症状の緩和に
もっと心を配る医療となれば良い
と思う

ただ
最終的には
死が絶望でないと
思えるようにならなければ
待っているのは
絶望しかないのかも知れない