恩師のご著書「講演集」より
講演集、三
先祖供養の窮極の目的
さまざまの宗教は、先祖供養を主としてやっているのが多いですね。
この先祖供養の窮極の目的は何か―――。或る宗教では、六親眷族の中の
一人でも多くの死んだ人を寄せ集めてきて拝んだら、功徳があると言って、
それに戒名をつけてもらって、もう何百体という親戚縁者の死んだ人を集めて、
一生懸命に拝んでいます。
これは、もし悟っておられる方であれば、戒名を付けようが、
名前を呼ぼうが、あの狭い仏壇の中には来られません。
悟ったお方はもう自由なのですから、もしも、そういうものに救いを求めて
こられる諸霊があれば、これは成仏のできていない未成仏霊ばかりです。
そういう方をいっぱい自分の家の仏壇にお招きしますと、必ず良い結果が
出ません。
先祖供養の窮極の目的は、この現象の世界から思いを離して、
ほんとうのふるさとへ帰っていただくことです。
天上の世界ですね。
それ以外に、先祖供養はないと思います。
一般の先祖供養をなさっている古い宗教、或いは新しい宗教がありますけど、
それは窮極の目的を知らないで手段をとっているだけです。
例えば、物を供える、お経をあげる、或いは線香、ロウソクを供えるのですが、
こんなものでは成仏できないのです。
成仏どころか、「ここにおれば安心だ、ここにおれば、お経も線香も供えてくれる、
ああ長いこと放ったらかしにされていたけど、ここにいたら安心だ」と言って、
却って霊をその場所に留めてしまって、成仏できない結果になります。
執着を与えるのです。