『東京ホロウアウト』 福田和代 東京創元社
2020年7月。オリンピック開催間近の東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と起こる。さらには鉄道の線路が破壊され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの観光客がひしめく東京は陸の孤島に―。この危機から東京を救うため、物流のプロである長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる!!
ホロウとは、中空という意味らしい。Hollow outでくり抜くとか、えぐるという意味になるとか。
まず、オリンピック開催間近って!そう、この本はコロナ禍前に描かれたもの。しかし、本には、どこかで見たことのある風景が描かれる。人為的に物流が分断され、食料が届かないため、住民は買いだめに走り、スーパーの棚は空になり、SNSがパニックを煽る。これって、一年前の情景そのものではないか!
テロをおこした犯人を追うトラック野郎が、爽快でかっこいい。モノと同時に信頼を運ぶといい、物流を血管に例えて、過酷な労働条件にも関わらず、がんばるトラックドライバーたちの姿に胸が熱くなる。
それと同時に、産業廃棄物や地方に依存する都市の問題など、さまざまな問題を示してくる。
おもしろかった。映画化されそう。
『逆ソクラテス』 伊坂幸太郎 集英社
逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編
友達が「大人の本だけど、子どもたちに読ませたい」と言ったが、同感。
教師期待効果(先生が「この生徒は将来優秀になりそうだ」と思って接していると、実際に優秀になる)の話はドキリ。「敵は先入観」 私も若い時に男の子に「笑顔が汚い」と言われて、笑えなくなったことがある。そんなときは、「私はそうは思わない」と心で言えばよかったんだね。親や教師のキメ付けで、人生や性格や能力を決められたのではたまらないのだ。(『逆ソクラテス』)
『スロウではない』では、ペンダントの中身が衝撃的だった。
「人間関係で一番重要なのは評判」「人間関係っていうのは意外に狭い」これは、実感としてある。恥ずかしい話だが、若い時、私は誰に対しても常に不機嫌だった。将来、実家の近くで夫が勤めるとは思わなかった。あのいつも仏頂面の娘の旦那かと夫が思われていると考えると、夫に対して申し訳なかった。(『非オプティマス』)
「どんな相手であろうと親切に丁寧に」心に刻みます(-_-;)
よかった。
『水を縫う』 寺地はるな 集英社
「男なのに」刺繍が好きな弟の清澄。「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青。「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。「まっとうな父親」になれなかった全と、その友人・黒田。「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母・文枝。普通の人なんていない。普通の家族なんてない。世の中の“普通”を踏み越えていく、6人の家族の物語。
やさしく、読後感もよい作品。普通にしばられた人が解放されていくのが気持ちいい。普通ってなんだろう?
姉弟が名前の由来について話す場面。父親が娘のウェディングドレスを工場の人たちを一緒にあっという間に形にしていく場面。そこが特に好き。個人的には孤高な感じがする高杉くるみさんが好きだ。
2020年7月。オリンピック開催間近の東京で、新聞社に「開会式の日、都内を走るトラックの荷台で青酸ガスを発生させる」という予告電話がかかってきたのが、すべての始まりだった。直後、配送トラックを狙った予告通りの事件が次々と起こる。さらには鉄道の線路が破壊され、高速道路ではトンネル火災が。あちこちで交通が分断され、食料品は届かず、ゴミは回収されないまま溜まり続け、多くの観光客がひしめく東京は陸の孤島に―。この危機から東京を救うため、物流のプロである長距離トラックドライバーたちが、経験と知恵を武器に立ち上がる!!
ホロウとは、中空という意味らしい。Hollow outでくり抜くとか、えぐるという意味になるとか。
まず、オリンピック開催間近って!そう、この本はコロナ禍前に描かれたもの。しかし、本には、どこかで見たことのある風景が描かれる。人為的に物流が分断され、食料が届かないため、住民は買いだめに走り、スーパーの棚は空になり、SNSがパニックを煽る。これって、一年前の情景そのものではないか!
テロをおこした犯人を追うトラック野郎が、爽快でかっこいい。モノと同時に信頼を運ぶといい、物流を血管に例えて、過酷な労働条件にも関わらず、がんばるトラックドライバーたちの姿に胸が熱くなる。
それと同時に、産業廃棄物や地方に依存する都市の問題など、さまざまな問題を示してくる。
おもしろかった。映画化されそう。
『逆ソクラテス』 伊坂幸太郎 集英社
逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編
友達が「大人の本だけど、子どもたちに読ませたい」と言ったが、同感。
教師期待効果(先生が「この生徒は将来優秀になりそうだ」と思って接していると、実際に優秀になる)の話はドキリ。「敵は先入観」 私も若い時に男の子に「笑顔が汚い」と言われて、笑えなくなったことがある。そんなときは、「私はそうは思わない」と心で言えばよかったんだね。親や教師のキメ付けで、人生や性格や能力を決められたのではたまらないのだ。(『逆ソクラテス』)
『スロウではない』では、ペンダントの中身が衝撃的だった。
「人間関係で一番重要なのは評判」「人間関係っていうのは意外に狭い」これは、実感としてある。恥ずかしい話だが、若い時、私は誰に対しても常に不機嫌だった。将来、実家の近くで夫が勤めるとは思わなかった。あのいつも仏頂面の娘の旦那かと夫が思われていると考えると、夫に対して申し訳なかった。(『非オプティマス』)
「どんな相手であろうと親切に丁寧に」心に刻みます(-_-;)
よかった。
『水を縫う』 寺地はるな 集英社
「男なのに」刺繍が好きな弟の清澄。「女なのに」かわいいものが苦手な姉の水青。「愛情豊かな母親」になれなかったさつ子。「まっとうな父親」になれなかった全と、その友人・黒田。「いいお嫁さん」になるよう育てられた祖母・文枝。普通の人なんていない。普通の家族なんてない。世の中の“普通”を踏み越えていく、6人の家族の物語。
やさしく、読後感もよい作品。普通にしばられた人が解放されていくのが気持ちいい。普通ってなんだろう?
姉弟が名前の由来について話す場面。父親が娘のウェディングドレスを工場の人たちを一緒にあっという間に形にしていく場面。そこが特に好き。個人的には孤高な感じがする高杉くるみさんが好きだ。