ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『じんかん』『庭』

2021-03-28 12:13:58 | 
『じんかん』 今村翔吾 講談社
 民を想い、民を信じ、正義を貫こうとした青年武将は、なぜ稀代の悪人となったか?時は天正五年(一五七七年)。ある晩、天下統一に邁進する織田信長のもとへ急報が。信長に忠誠を尽くしていたはずの松永久秀が、二度目の謀叛を企てたという。前代未聞の事態を前に、主君の勘気に怯える伝聞役の小姓・狩野又九郎。だが、意外にも信長は、笑みを浮かべた。やがて信長は、かつて久秀と語り明かした時に直接聞いたという壮絶な半生を語り出す。
 509ページだが、つるつると面白く読めた。
 戦国時代の武将・松永久秀。主家の乗っ取り、将軍足利義輝弑逆、東大寺焼き討ちの「三悪」を犯した。最期は、信長が所望した釜・平蜘蛛に火薬を詰めて爆死した。などのエピソードの多い人物。しかし、その少年時代は、よくわかっていない。
 少年時代を自由に創作し、別の角度から見た新しい一面を描いた松永久秀像。少年時代に作られた信念には、胸が熱くなる。おもしろかった!

『庭』
 小山田浩子 新潮社
 実家へ向かう路線バスのなかで、老人たちがさかんに言い交わす「うらぎゅう」。聞き覚えのない単語だったが、父も母も祖父もそれをよく知っているようだ――。 彼岸花。どじょう。クモ。娘。蟹。ささやかな日常が不条理をまといながら変貌するとき、私の輪郭もまた揺 らぎ始める。自然と人間の不可思議が混然一体となって現れる15編。
 個人的にこんな話が大好き。不思議な世界、妖しい世界に迷い込む感じがたまらない。結局、「何?」って感じで終わるのだが。日常の些細なことから始まって、じんわりと嫌~な感じにとらわれる。
コメント
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