ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『あやしい彼女』

2018-10-18 14:04:07 | 多部未華子









 
2016年に公開された、水田伸生 監督&吉澤智子 脚本による日本映画。本国で大ヒットした韓国映画のリメイクです。

いやぁ、良かったです。期待以上でした。もっとベタなドタバタ喜劇を想像してたけど、良い意味で裏切られました。これは、大人向けの映画です。

若い頃に夫を亡くし、戦後の貧しい時代に女手ひとつで娘を育てて来た苦労人=瀬山カツ73歳が、娘と喧嘩して家出した挙げ句に温水洋一の呪いにかかり、いきなり20歳に若返ったから驚いた!

20歳のカツを多部未華子、73歳のカツを倍賞美津子、その娘を小林聡美が演じるほか、要 潤、北村匠海、金井克子、志賀廣太郎、野村周平といったキャスト陣が脇を固めてます。

若返った毒舌ばあちゃんを、多部ちゃんが今回もパーフェクトに演じてるのは、もはや言うまでもありません。

タベリスト的には、かつて母娘役で共演した小林聡美さんと多部ちゃんが、今回は逆の立場で再共演してるのも見所だけど、それより何より、ストーリーの核にもなってる、多部ちゃんの歌声ですよね。

その歌唱力は各方面で絶賛されてますから、ここでアレコレ言うことはありません。とにかく素晴らしい!の一言です。

なにしろ、飛び入り参加ののど自慢大会でカツが披露した歌声に、バンドをやってる孫が自分の祖母とも知らずに惚れ込み、更に音楽プロデューサーにも眼をつけられ……っていう展開ですから、多部ちゃんの歌がショボかったら話になりません。

歌唱力っていうより、表現力の勝利ですよね。聴く側は、歌の巧さに感動するワケじゃない。ハートに響いてくるものが有るか無いかですから。

それとご両親から授かった、天性のピュアさと、声の魅力。理屈じゃないんだと思います。

もちろん、楽曲の良さも重要なポイントです。最後に披露される今風のオリジナル曲も悪くはないんだけど、序盤でカヴァーされた昭和の歌謡曲たちの方が、圧倒的に我々のハートを揺さぶります。

そりゃあ自分が昭和世代だからってのも多少あるでしょうが、絶対それだけじゃない。楽曲の持つパワーがまるで違うんだと思います。これもまた、理屈じゃない。

とにかく苦労するばかりの人生を送って来たカツが、若返り、恋をし、歌手として注目され、華々しい第二の人生を謳歌するんだけど、じゃあ苦労ばかりの過去73年間には、意味が無かったのか?

物語が進むにつれ、我々は気づくんですよね。カツの歌が素晴らしく、ハートに響いてくるのは、苦労した73年間の重みがあればこそなんだって事に。

楽曲そのものにも言える事で、現代のポップスが昭和の歌謡曲に比べて(全てがじゃないけど)薄っぺらく感じられ、ハートに響いて来ないのは、創り手の生きてる時代、その人生の濃度がまるで違うんだから、そりゃもう仕方がない。

裕福で平和に生きて行ける方が、そりゃ幸せに決まってるけど、だからって貧しくて苦労ばかりの日々は、意味が無いのか? 不幸なだけなのか? 絶対に、そんな事はないんですよね。

笑い泣きしながら、そんな事を考えさせられる映画でした。そして、老いるとはどういうもんなのか?って事も。この歳になると、万事が他人事じゃありません。

倍賞美津子さん演じる73歳のカツも、実に魅力的でした。この映画、例え多部ちゃんが出てなかったとしても、倍賞さんの魅力で好きになったと思います。多部ちゃんが出てなきゃ観ないかも知れないけどw

要潤さんがイイ人を演じてるのも久々に観ましたw 出てくるキャラクターがみんなイイ人で、だけど薄っぺらくもなく、多部ちゃんの朝ドラ『つばさ』の世界観に通じるものを感じました。

共通するのは、昭和テイストですね。オリジナルは韓国映画だけど、だからこそ昭和っぽいと言いましょうか。とにかく多部ちゃんは、ホントに昭和がよく似合う。

これは間違いなく、多部ちゃんの映画における代表作になると思います。もう1つの代表作『君に届け』とは真逆のキャラを演じて、どっちも唯一無二のハマり役に見えちゃうんだから、つくづく凄い女優さんです。

これはホント、良い映画です。タベリスト以外の方にも自信を持ってオススメ出来ます。特に昭和世代の方、必見です!
 
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『ピース オブ ケイク』

2018-10-18 00:00:26 | 多部未華子









 
2015年に公開された、田口トモロヲ監督&向井康介 脚本による日本映画。原作はジョージ朝倉さんの人気コミック。

どう見ても女性向けの恋愛映画なんだけど、にも関わらず面白かったです。正直、多部ちゃんのセクシーショットしか期待してなかったのに、内容にとても共感出来たし、他のキャストも皆さん魅力的でした。

恋愛依存の傾向がある主人公=志乃(多部未華子)が、彼氏(柄本 佑)と別れたばかりで「今度こそ慎重に」と心に誓ったそばから、新しいバイト先の店長(綾野 剛)に一目惚れしちゃう。

だけど店長には同棲中の彼女(光宗 薫)がいるもんで、さすがの志乃もブレーキをかけるんだけど、その彼女が店長と喧嘩して出て行ったとの噂を聞いて……

という粗筋だけ書くと凡庸な恋愛話みたいだけど、志乃と店長が交際を始めてから以降の描写を観て、私は現代ならではの恋愛観、今どきの若い人らが抱える葛藤を読み取れたような気がしました。

この映画を観ると、現在の若い男女は(昭和の時代と違って)簡単にくっついて簡単にセックスして簡単に別れちゃうように見えます。現実的にそういう傾向もあるんでしょう。(その一方で、恋愛やセックスに全く縁がない人も増えてるみたいだけど)

かく言う私自身、志乃みたいに恋愛やセックスに対するハードルが低い女子の存在が無ければ、童貞のまま一生を終える事になったかも知れません。チョー奥手な私は、チョー積極的な女子としか今までエッチはおろか、交際すらした事が無いからです。

そんな風に「いとも容易く」結ばれたカップルは、確信が持てないんですよね。相手が本当に自分を愛してくれてるのか? そして自分自身、本当に相手を愛してるのか?

実際、私の場合は恋愛も結婚も長続きしませんでした。今でも、相手や自分の想いがホンモノだったのかどうか、確信が持てないままです。

もしかすると確信出来なくて当たり前なのかも知れないけど、入り口が容易いと余計にそんな疑心暗鬼に陥り易い。この映画は、そういうカップルが抱える葛藤を、実にリアルに描いてると私は感じました。

志乃と店長の恋愛は最初からホンモノだったのに、入り口が容易かったが為に、特に志乃の側が信じることが出来ず、早々に「不幸になる準備」を始めちゃったりする。

志乃のモノローグが「説明過多」との批判もあるみたいだけど、ああいう微妙な心理は、語らなきゃ観客に伝わりません。観てれば分かることをクドクド語る朝ドラのナレーションとはワケが違うんです。

……と、ここまで書いてからパンフレットを読んでみたら、本作で描かれた恋愛は私が思ってるほど特別なもんじゃなくて、ごく普遍的な感じで捉えられてますね。

私の乏しい経験値じゃよく分かりませんw ただ1つだけ確かなのは、ピースオブケイク=容易いことっていうタイトルが、逆説的に恋愛の難しさを表してるってこと。

さて、公開前から話題だった多部ちゃんのラブシーンについてですが、私はもう(ドラマ『大奥~誕生』等で)免疫がついちゃったみたいで、特に心を乱されることは無かったです。

ただ、窪田正孝くんは一体どんな気持ちでこれを観るんだろう?ってw、余計な心配はしちゃいました。どこかの撮影現場で綾野剛くんや柄本佑くんと一緒になった時、ヘンな気分になるだろなぁとかw

Tバックに近い下着姿で見せてくれた美尻、ベッドシーンにおける全開の背中、イメージシーンにおけるセミヌード等は、単純に嬉しかったですw どうせ見せるなら、若い内に見せとくべきです。

セックス描写はごくソフトなもんだけど、多部ちゃんが直接的にその行為を演じたのは初めてですよね? 田口トモロヲさんは、初めて多部ちゃんのセックスを撮った監督として誇らしいんじゃないでしょうか? セックスセックス。

それも含めて多部ちゃんの演技は、相変わらずパーフェクトだったと思いますが、特に怒りを爆発させた時の演技で観客に与えるカタルシスは、超一級品で追随を許さないものがあります。

相手役の綾野剛くんはドラマ『最高の離婚』の時に近いキャラクターで、男から見ても実にチャーミングでした。こういう役を演じる時の彼は独壇場ですよね。最高のハマり役だと思います。

多部ちゃんと3度目の共演となる木村文乃ちゃんも、恐らく初であろうオカマ役の松坂桃李くんも、ラブハンターだけど店長には勝てない菅田将暉くんも、皆さんチャーミングで素晴らしかったです。

多部ちゃん久々の主演映画が、良い作品になってホント良かったです。もちろん多部ちゃんが主演したからこそ良くなった側面も大きい事でしょう。

田口監督はほんとラッキーな方です。『デカワンコ』に出といて良かったですねw
 
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