ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『真夜中からとびうつれ』

2018-10-16 12:00:04 | 多部未華子





 
2011年に期間限定でWEB公開された、横浜聡子 監督・脚本・編集による13分の短編映画。我らが多部未華子さんが主演されてます。

ちょうど『デカワンコ』のTVシリーズが終わった後、次の主演ドラマ『ジウ』が始まる直前ぐらいのタイミングだったでしょうか?

当時、私は既にパソコンを処分しており、わざわざネットカフェまで観に行きました。所々で画面がフリーズしてしまい、それがパソコンのトラブルなのか、あるいは監督の演出なのか判別出来なかった記憶がありますw

それだけシュールな内容で、いまだに何回観ても解りませんw

「何も無いところから映画が生まれる瞬間」を描いた作品らしいんだけど、そんな解説を聞いたところで解んないものは解んないw

私が大好きな、ハリウッドのアクション映画をバカにしてる事だけは何となく分かったけどw

別に、無理して解ろうとしなくて良いんだろうと思います。

たぶん横浜監督は、アクション映画に限らず、あまりに解り易すぎるメジャー映画と、そんな映画しか観に行かない観客を皮肉っておられる。わしのことか!?

かつて専門学校で映画を学んでた若い頃、こんな感じの実験映画を山ほど観たもんです。そういう映画は大嫌いだったけどw、今となっては懐かしいし、バリバリのメジャー女優である多部ちゃんが、そんな作品に出演してるというミスマッチ感が実に面白い。

多部ちゃんが喫煙してる!ってだけで大騒ぎしたのも、今となっては懐かしい思い出ですw あの頃は処女だと信じてましたw
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『君に届け』

2018-10-16 00:00:13 | 多部未華子









 
2010年に公開され大ヒットを記録した、熊澤尚人監督による東宝映画。椎名軽穂さんの大人気コミック(アニメもロングヒット)の実写化って事で、当初から注目度が高かったですよね。

チョー生真面目で引っ込み思案な性格と、長い黒髪、鋭い眼つき、そして爽子(さわこ)という名前から「貞子」(映画『リング』シリーズに登場する悪霊)呼ばわりされ、クラスに馴染めないでいる高校1年生、黒沼爽子(多部未華子)。

そんな爽子とは対照的に、明るくチョー爽やかなキャラでクラス一番の人気者、風早翔太(三浦春馬)。

入学式の朝に言葉を交わして以来、お互い意識しながら想いを伝えられず、すれ違いを繰り返す2人が、大晦日の夜にやっと告白に辿り着くまでの日々が描かれてます。

つまり、これは恋愛映画じゃなくて、人に想いを伝えることの大切さを知り、その難しさを乗り越えて成長する、少年少女の逡巡を描いた青春映画なんですよね。

私がこの物語に強く惹かれるのは、爽子と風早、そして2人を取り巻く仲間たちの真っ直ぐな生き方と、自分を貫いていく勇気が、茶化すことなく愛を持って描かれてるから。

周りからバケモノ呼ばわりされてるのに、爽子はイジケることなく、人の役に立つことを喜びと感じ、正しいと思ったことは迷わず実行する。

例えば校内のゴミの選別などを、その係でもないのに率先してやるのって、良い子ちゃんぶってるように見られそうで、普通は躊躇しそうなもんです。(ましてや自意識過剰な思春期です)

ところが爽子は迷わない。人一倍鈍感なせいでもあるんだけどw、彼女は一日一善を照らうことなく実践してる。そんな爽子を見て、風早は素直に好意を募らせる。

クラス内で異端児扱いされてる異性に好意を抱くことも又、自意識過剰な思春期には勇気の要ることです。想いはあっても周りの眼が気になって、普通なら封印しちゃいそうなもんだけど、風早は堂々と爽子にアプローチしていく。

てな感じで、マンガだからこそ許される「んなヤツはおらんやろ~」的なキャラクターに、多部ちゃんと春馬くんは見事に実在感を与えてくれました。

これは、現実に多部ちゃんが我が道を行く人で、元より春馬くんが全身爽やか人間だから……つまり「ハマり役」をあてがわれたから……ってだけの話じゃない筈です。

どう表現したら不自然に見えないか、観客に嘘臭く感じさせないかに、お二人とも細心の注意を払って演じておられた事が、メイキング映像を観るとよく判ります。

それがこの映画の成否を大きく左右することを認識する感性と、具体的に形にして見せる技術。まるでイチロー選手みたいに天才肌の努力家である2人を主役に選んだ時点で、この映画の成功は約束されたようなもんです。

主役カップルのみならず、本来なら爽子なんか相手にしないグループ(いわゆるスクールカーストの上層階級)にいるキャラなのに、爽子のかけがえ無い友達になっていく千鶴(蓮佛美沙子)とあやね(夏菜)。

そして、ずっと前から風早への想いを募らせ、突然現れた恋敵である爽子に嫉妬し、罠を仕掛けるも、最後には負けを認めて彼女を応援する胡桃沢(桐谷美玲)。

このお三方もまた、後にそれぞれ主演格に成長する才能と実力を遺憾なく発揮し、パーフェクトに脇を固めてくれました。特に桐谷美玲さんは儲け役だと思うし、ご本人とは真逆のキャラを演じきった夏菜さんも素晴らしいです。

ほか、朴訥キャラ「龍」役の青山ハル君に、担任教師「ピン」役の井浦 新さん。爽子の両親を演じた勝村政信さんと富田靖子さん。原作のキャラに似てるかどうかは(未読なもんで)知らないけど、その役柄には皆さん完璧にハマってます。

(余談ですが、私が生まれて初めて女優さんに萌えたのは、1985年の東宝映画『さびしんぼう』に主演された富田靖子さんなもんで、多部ちゃんとのツーショット、しかも母娘という設定には感慨深いものがあります)

そもそもストーリーが素晴らしく、キャラクターの配置といい、その動かし方(活かし方)といい、青春物あるいは群像劇のお手本にしたい完成度です。

だけどそれは諸刃の剣で、出来過ぎたストーリーってのは時に嘘臭く、時に予定調和を感じたりもしちゃう。それに長期連載のマンガを2時間にまとめただけあって、再三繰り返される「立ち聞き」など、強引かつご都合主義な展開も、気にならなくはありません。

だけど、にも関わらず、何回観てもこの映画には泣かされちゃうんですよね。これほど気持ち良く泣かせてくれる映画って、そうそうありません。

以前のレビューにも書いた通り、創り手や演じ手たちの、各キャラクターに対する温かい愛と、観客に対する明確なメッセージが画面から伝わって来ること。そして堅実で真っ直ぐな脚本と演出に、奇跡的なほど素晴らしいキャスティング。

特に、爽子みたいに極端な設定のキャラを「すぐ隣にいる女の子」と感じさせてくれる、我らが多部ちゃんの魔力には言葉もありません。ただひたすら、愛してますw

未見の方、ラブストーリーが苦手な方、少女マンガに偏見がある方にも是非、一度は観て頂きたい愛すべき作品です。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする