ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『大都会 PART II 』#13

2018-10-07 18:18:32 | 刑事ドラマ'70年代







 
☆第13話『俺の拳銃』(1977.6.28.OA/脚本=峯尾基三/監督=舛田利雄)

城西署捜査一課の「ヒラ」こと平原刑事(粟津 號)が、巡査部長の昇級試験を受験します。4度目のチャレンジで、「ここらで昇級して、嫁さんでも貰って両手に花、なんて甘いスかね?」と自信なさげな平原を、黒岩デカチョウ(渡 哲也)は「あんなに勉強してたじゃないか」と励まします。

そんな折り、春子というソープランド嬢が自宅マンションでガス自殺します。知らせを聞いて駆けつけた父親の久保(梅野康靖)は、春子がソープで働いてることも知らず、激しく動揺します。

市役所で害虫駆除員として働く久保は、潔癖症で偏執的な性格が災いし、妻に逃げられ、娘の春子も早くに独立し、疎遠になっていた。そんな久保にとって、娘が風俗で働いた挙げ句に自殺したという事実は、到底受け入れられない事でした。

しかも、春子には明石(佐藤京一)というヤクザのヒモがいた。どうやら彼女はその明石にさんざん喰い物にされ、自殺に追い込まれたらしい
……

職場に戻った久保は、研究用に飼育してる大量のゴキブリを殺虫剤で皆殺しにします。そのビジュアルも強烈だし、普段は温厚な役柄が多い梅野康靖さんの完全にイッちゃった顔は、ギャップが激しいだけに相当怖いです。

そしてある夜、城西署に「久保春子は自殺なんかじゃない、殺された」とのタレコミ電話が入り、ちょうど宿直だった平原が話を聞きに行ったところ、襲撃されて拳銃を奪われちゃいます。

そして翌日、ソープランドの店長が撃たれちゃう。幸いにも店長は一命をとりとめ、犯人が久保であることを証言するんだけど、平原は茫然自失。責任をとって刑事を辞めると言い出し、黒岩の必殺団長パンチを浴びる羽目になります。

「甘ったれんな! デカを廃業すれば責任が取れるのか? 久保を逮捕したくないのか!?」

「逮捕したいです! 殴り殺してやりたいです!」

「だったらこのヤマだけでもしがみつけ! それから結論を出しても遅くはない」

「……分かりました。自分の尻拭いしてから、結論出します!」

そうして平原が必死に久保の行方を追う一方で、他の刑事たちは次に命を狙われるであろうヤクザの明石を押さえに行きます。

大人しく保護される輩じゃないので、乱交パーティーの現場に踏み込んで現行犯逮捕するという荒業。その際に黒岩が明石に浴びせた、殴る蹴るの体罰が普段にも増して凄まじいw アクションというより暴力そのもので、渡哲也さん、やっぱホンマもんですw

その頃、執念の捜索を続ける平原は、久保の宿泊先で彼の日記を見つけ、次なるターゲットが明石ではなく、特殊浴場組合の事務局長を務める区会議員=片桐であることを突き止めます。

「この世の中には、人間の顔をした害虫がウヨウヨいる。放っておけばブヨブヨ太る一方だ。早い内に芽を摘み取らねば、汚染され腐ってしまう。急がなければ……」

久保の日記にはそう綴られており、確かに世の中は破滅に違いないんだけどw、急いで阻止しないと自分の拳銃で人が殺されてしまう!

夢中で片桐議員の所へ駆けつけた平原は、まさに今、拳銃の引金を引こうとしていた久保の前に飛び込みます。

「偽善者! 蛆虫! 人間のクズ! 死ね!」

弾丸が標的の片桐議員ではなく平原に命中しても、久保は構わず撃ち続けます。

「返せ! 俺の拳銃を返せ!」

残り4発の弾丸を全て受け止め、倒れた平原は、久保が投げ捨てた拳銃を這いずって取り戻します。

宗方医師(石原裕次郎)の的確な処置により即死は免れたものの、平原の命は風前の灯火。黒岩は渋谷病院のベッドで、平原と最後の言葉を交わします。

「クロさん……オレ……刑事、続けます……この仕事に、しがみつきます」

「よかったな……これがお前の拳銃だ。お前が取り戻したんだ」

「やりますよ……治ったら、バリバリ……」

一方、逃走した久保は貯水場に追い詰められ、給水タンクに青酸カリを放り込もうとしますが、駆けつけた刑事達に取り押さえられます。

「これでハッキリした! 警察は暴力の温床だ! 貴様ら寄生虫だ! 害虫だ害虫だ!」

確かに黒岩軍団は暴力の温床だけどw、本当の寄生虫であるヤクザはのうのうと生き延び、純朴だった平原刑事の命は断たれちゃいました。

「彼は、自力で拳銃を取り戻した。その見返りが4発の鉛の弾ってワケか……因果な商売だね」

平原の亡骸を前に、宗方医師が皮肉交じりに呟き、黒岩を凹ませます。

「ヒラがデカを辞めたいと言った時……止めたりしなければ良かった」

そう言って項垂れる黒岩に、看護師の今日子(丘みつ子)が追い討ちをかけます。

「私もそう思います。平原さんには、もっと別な生き方があったような……拳銃なんか必要の無い、もっと別な職場が……」

今回、地方出張で捜査に参加しなかった徳吉(松田優作)も、平原の訃報を聞いて後悔を滲ませます。

「俺がいれば、そんなツラい目に遇わせなかったのに……」

平原は、何かを待ってるようだったと宗方医師は言います。それが無ければ、もっと早く息を引き取ってた筈だと。

その答えは、武井課長(小山田宗徳)が届けに来た1通の封書=昇級試験の合否通知書にありました。

無造作に「不合格」と記された通知書を握り潰し、黒岩はひとり夜道を歩くのでした。(おわり)

……この切なさ、救いの無さにも倉本聰イズムの名残が感じられ、すこぶる暗いんだけど胸に迫るものがあります。二枚目じゃない粟津號さんが演じるからこそ、ですよね。

前作『大都会/闘いの日々』から続投の粟津さんでしたが、石原プロのホープである神田正輝さんと苅谷俊介さんを新たにキャスティングするという「大人の事情」により、急きょ降板を言い渡されたんだそうです。

それに対する罪悪感も手伝って、スタッフ&キャスト一同がかなり気合いを入れて製作したエピソードで、その熱量が画面から伝わって来ます。

今回は欠場予定だった徳吉刑事=優作さんの出番が追加されたのも、粟津さんへのせめてもの餞っていう、熱い想いがあっての事だろうと思います。

すでに第10話で吉岡課長(小池朝雄)も殉職しており、通常の刑事ドラマだと若くてイキのいい刑事が格好良く命を散らすもんだけど、本作はかなり異色ですw

セクシー画像は、片桐議員の秘書を演じた加山麗子さん、当時21歳。にっかつロマンポルノの清純派として注目され、『警視庁殺人課』『特捜最前線』『あいつと俺』等の刑事ドラマや、『ザ・プレイガール』『俺たちは天使だ!』『探偵物語』等の探偵物、そして時代劇や特撮ヒーロー物など、我々に馴染み深いジャンルで'84年頃まで活躍された女優さんです。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大都会 PART II 』#07

2018-10-07 12:00:26 | 刑事ドラマ'70年代








 
☆第7話『ダイヤモンドは死の匂い』

(1977.5.17.OA/脚本=佐治 乾&大原清秀/監督=村川 透)

宝石店の車が時価3億円相当の宝石を移送中に衝突事故を起こし、負傷した店員が宝石もろとも救急車で搬送されたまま行方不明に。その救急車は渋谷病院から盗まれたものだった!

程なくして乗り捨てられた救急車と店員の他殺死体が発見され、城西署捜査一課の黒岩デカチョウ(渡 哲也)らは事故を装った計画的な強盗殺人事件と断定、捜査を開始します。

結果、現場近くで目撃された傷害前科者の早川(草野大悟)が、今は無職なのに大金を得たらしいことが判明。黒岩と徳吉刑事(松田優作)は早川の若い妻=千代(杉本美樹)をマークするんだけど、黒岩と千代はどうやら旧知の仲らしい。

「クロさん、どういうご関係なんスか? 昔の……」

そう言ってニヤニヤしながら小指をいやらしく動かす徳吉に、黒岩は「バカ」と言うだけで何も答えません。

そして早川が城西署に連行された夜、千代は黒岩のアパートを訪ね、早川の金は自分が体を売って貢いだものだと打ち明けます。

「千代さん、キミは昔言ったな。ポンをやめて、もう下らん男に騙されんのは懲り懲りだって。これは余計なことかも知れんが、早川と別れる気は無いのか? あれは人間のクズだよ、クズ」

確かに早川はクズだけど、金欲しさに強盗や殺人を犯すような人間じゃないと、千代は主張します。

「お願いします。早川を出してあげて下さい」

「帰ってくれ。そんな話がしたいなら署に来て貰いたいな」

いくら容疑者の身内とは言え、千代を必要以上に冷たく突き放す黒岩の態度。そして何だかんだ言いながら早川をすぐに釈放してやった事から見ても、やっぱり黒岩と千代の間にはかつて何かあったんでしょう。

だけど、早川はやっぱりクズでした。自分がすぐに釈放されたのは、千代が黒岩と寝たからだと決めつけて彼女を殴り、事件現場で目撃した車から強盗犯の正体を掴み、警察に通報するのかと思いきや「くそぉ、うまい事やりやがって」とか言って、金を脅し取ろうとした挙げ句、返り討ちに遭って再起不能の重傷を負っちゃう。

一方、黒岩軍団は地道な捜査により、被害に遭った宝石店の美人社員=亜紀(中山麻理)が犯人と内通してると睨み、徹底的にマーク。犯人たちが宝石をバイヤーに売りさばく現場を押さえ、逮捕します。

決め手になったのは、早川を通じて犯人の顔を知ってた、千代の証言。それが無くても逮捕出来た筈なんだけど、奪われた宝石には1万ドルの報償金が懸けられており、それを知ってた黒岩があえて彼女に協力させたワケです。その金で千代の人生も、少しは好転するかも知れません。

「ねぇ、教えて下さいよ。どういうご関係なんスか? ねえ」

「この歳になりゃ分かるよ」

しつこく尋ねて来る徳吉に、苦笑しながらそう答えた黒岩は、例によって煙草を吸いながら独りカッコ良く去って行きます。

「なーにを、むっつりスケベが。よくあれで疲れないよなホントに。トシだな」

これも恒例、優作さんのアドリブです。最後の「トシだな」の意味が解りませんw

結局、黒岩と千代がどれほど親密な関係であったかは、最後まで明かさずじまい。その方が色々と想像できて楽しいですよね。

『大都会 PART II』も初期はかように地味で、捜査過程も丁寧に描かれ、倉本 聰 脚本による前シリーズ『闘いの日々』のアダルトな雰囲気をまだ残してました。

これから徐々にアクションが派手になり、娯楽要素がどんどん膨らんで行き、悪く言えば幼稚な『西部警察』の世界へと繋がって行きます。今回の黒岩と千代みたいに色っぽいドラマは『西部~』じゃ見られません。

そんなフェロモンほとばしる千代を演じた杉本美樹さんは、当時24歳。'70年代の東映ポルノ映画で人気を博し、『0課の女/赤い手錠』等に主演された女優さん。

刑事ドラマは『非情のライセンス』『TOKYO DETECTIVE/二人の事件簿』『大都会/闘いの日々』等にゲスト出演。'78年に結婚&引退されており、TVドラマの出演は本作が最後だったみたいです。

そして悪女を演じた中山麻理(麻里)さんは当時29歳。'60年代から活躍されてる女優さんで、ボインぼよよ~ん!な人だけど、我々世代には三田村邦彦さんの元「恐妻」というw、あまり芳しくないイメージがあったりします。

刑事ドラマは『東京バイパス指令』『刑事くん』『TOKYO DETECTIVE/二人の事件簿』『華麗なる刑事』等にゲスト出演されてます。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大都会 PART II 』#03―2

2018-10-07 05:00:05 | 刑事ドラマ'70年代









 
坊さん(小野武彦)がうっかり新聞記者に情報を漏らしたせいで犯人に逃げられ、怒り心頭のクロ(渡 哲也)は「テメエには身体ごとホシにぶつかって行く度胸も根性も無いんだ!」と、言わなくていい事まで坊さんに言っちゃいました。

何とか名誉挽回したい坊さんは、人質をとって喫茶店の2階に立てこもった強盗犯=手塚(三上 寛)の前に丸腰で飛び込み、自分を人質の身代わりにするよう交渉するのでした。

「おめえが人質だって?」

「頼む」

「人にもの頼む時ぐらい、言葉遣い綺麗にして、頭の1つも下げたらどうだい!」

「……お願いします」

「とうとうデカが、俺に頭下げたな。いつも威張ってやがるデカがよ! ガッハッハッハ!!」

階下で焦りを募らせるクロに、マルさん(高品 格)が更に悪い知らせを持って来ました。

「クロさん。撃たれた交番の巡査、死んだそうです」

「死んだ……」

「ええ。手塚もこれで、第一級の殺人犯って事になりますな。坊さんもえらい所へ飛び込んじまったもんだ」

マルさん=高品 格さんの淡々とした口調に、より事態の重さを痛感させられます。どうって事ない台詞でも、この人が言うと味わい深く、何だか含蓄ありそうに聞こえちゃうんですよね。

石原プロは演技力の弱い俳優さんばかり、あえてキャスティングしてるような傾向があるんだけど、この「おやっさん枠」だけは別格ですよね。

高品さんは後に映画『麻雀放浪記』で助演男優賞を総ナメにしちゃう名優さんだし、『西部警察』シリーズの藤岡重慶さん、井上昭文さん、小林昭二さん、『ゴリラ』の谷啓さん、『代表取締役刑事』の高松英郎さん等、味のあるベテラン実力派アクター達をレギュラーキャストに迎えてました。

これは石原プロ作品に限らず、刑事ドラマの定石であり、伝統とも言えます。『太陽にほえろ!』の下川辰平さん、『特捜最前線』の大滝秀治さん、『噂の刑事トミーとマツ』の井川比佐志さん、そして『大都会』シリーズの高品 格さんを「おやっさんデカ四天王」と呼ぶことを、たった今私が決めましたw

さて、残念ながら……いや、めでたく人質のみどり(伊佐山ひろ子)は解放される事になりました。下着姿で踊らされただけで済んだのは、何だかんだ言っても一度は惚れた女、手塚もそれ以上残酷なことは出来なかった。根は優しい……というか小心者って事なんでしょう。

「俺の靴、汚れてるな。磨けよ。Yシャツで磨けよ」

言われるがまま、坊さんはYシャツを脱いで手塚の趣味の悪いブーツを磨きます。

「手塚、今からでも遅くないぞ? いい加減に馬鹿げたこと、やめるんだ。心を入れ替えれば、まだまだ人生やり直せ……」

「うるせぇーっ!!」

今の手塚に上から目線の説教が通じるワケもなく、坊さんはボコボコに殴られる羽目になっちゃいます。そして……

「笑わせんな、何がもう1回やり直せや!? おい! ズボン脱げ!」

…………え? いやいやいや、坊さんまで脱がさなくても良いんですけど……ていうか、脱がしてどうするつもりなんですか? それだけはやめて下さいw

「俺は頭押さえつけられて、虫けらみたいに生きて来たんだよ! 刑務所入って、また1から虫けらになれってかよ!?」

ステテコ姿になった坊さんを、手塚は更にフルボッコ、蹴って蹴って蹴りまくります。脱がせた理由は不明のままですw

「クロさん、坊さんが!」

2階から聞こえて来る坊さんの悲鳴に、カッとなったトク(松田優作)が飛び出そうとしますが、マルさん達に止められます。

「手塚、顔を出せ! そっちの条件が聞きたい。最後までそこで頑張るつもりじゃないだろう? 条件を言ってくれ!」

このままじゃ坊さんの身体が保たないと判断したクロは、自ら交渉を始めます。当時のTVドラマにはSITだのSATだのと言った面倒臭い役割分担は無く、所轄の捜査課が全てを仕切ってました。

「カネが欲しいなら用意する! 国外に逃亡したいなら、すぐに手配する!」

普段はアメリカ軍みたいに(テロに屈しない)強気な姿勢を見せるクロが、全面的に要求を呑もうとするもんだから、刑事達は驚きます。それだけ今は、坊さんを助ける為に必死なんですよね。

しかし手塚の要求は、車を1台用意する事のみ。坊さんを脱がせたり、いったい何がしたいのやら意味不明です。

「クロさん、どうするんスか? みすみす野郎を逃がすんですか?」

「坊主の安全が一番だ。時間を稼ぐんだ時間を。そのうちチャンスはある!」

クロは手塚の要求を呑み、ヒラ(粟津 號)に車とライフル銃の用意を命じます。手塚は車を坊さんに運転させ、パトカー軍団を引き連れたまま六本木方面へと向かいます。

「一体どういうワケだ、俺は何も聞いとらんよ! 俺は許可してないよ? 知らんよ! 知らんぞ? どういう結果になろうと責任持たんよ!」

↑ 署に戻った吉岡課長(小池朝雄)が、現場で大変な思いをしてる刑事達に向かって、無線で言い放った台詞ですw 同じ課長でも西部警察の木暮課長(石原裕次郎)とは全く正反対のキャラですw

さて、手塚が向かった先はなんと、東京タワーでした。坊さんを人質に連れたまま展望台へ、更に外側の非常階段で上へ上へと登っていく、猟銃を持ったハゲ豚とステテコ刑事w

そんな絵にならない2人を、わざわざヘリから空撮する石原プロの心意気が素晴らしい!w 恐らく当時でも、こんな大掛かりで危険なロケを東京タワーでやっちゃうパワーを持つのは、石原プロだけだった事でしょう。

「やめてくれ! 無理だ、俺は高所恐怖症なんだよ!」

命綱も着けずに、地上250メートルにある非常階段を登らされたら、高所恐怖症でなくともオシッコを漏らすかも知れません。朝からクロに凄まれ、ハゲ豚に脱がされ東京タワーを登らされ、坊さんは厄日なんてもんじゃないですよね。

「どうするつもりだ!? もう逃げられんぞ!」

「そんなこたぁ喫茶店に入った時から分かってんだでや! だけど俺ぁ、必ず逃げて見せるどっ!」

すぐ下まで迫って来てるクロ達に、手塚はテレビ中継を要求したり等、もはや言ってる事が支離滅裂。どうやら本気で逃げる気は無く、坊さんを道連れに飛び降りるつもりなのかも知れません。

クロは、狙撃担当のトクにライフルを託します。

「チャンスがあれば撃て。肩を狙ってな。もし坊主に万が一の事があったら、構わん、手塚をぶち殺せ!」

そんなに無茶なことを言ってるワケじゃないんだけど、言い回しが物騒すぎますよねw 思わずベテランのマルさんが割って入ります。

「クロさん、そりゃ過剰防衛ですよ。この際、課長と深町次長の意見も聞いてですね……」

深町次長っていうのは、佐藤慶さん扮する本庁のキャリア。前作からの続投メンバーですが、パート2には数回しか登場しなかったと記憶します。

「マルさん! 課長や次長が何を言おうと、このさい関係ないっスよ! 問題は坊さんの命です!」

「しかしだな」

「しかし何ですか!?」

元より偉いさんの命令なんか聞く気がないトクですからw、マルさんの意見と真っ向から衝突します。しかし、一刻を争う状況下で、議論してる場合じゃありません。

「冷静になれ! この現場の責任者は自分です。自分が全責任を取ります。いいか、みんな!?」

クロによる鶴の一声で全員が納得、素早く配置につきます。

「手塚、もう1度言う! おとなしく出て来い! 我々はお前の要求を聞くつもりは無い!」

「ああ、結構だでや! その代わり、このデカの命もねえと思えや!」

最前線でクロが手塚を引きつけ、トクがライフルで狙い、他のメンバー達が外堀を固める。そして坊さんが猟銃の銃身に噛みついた瞬間w、トクが手塚の肩を撃ち抜いた!

すかさずクロが鬼の形相で突っ込み、アタフタと床に這いずる手塚を蹴って蹴って蹴りまくる! それは捕り物アクションと言うよりも、ただの暴力にしか見えませんw 渡さんの演じる暴力は本当にリアルですw

「いでででで! 冗談だでや、冗談だでやぁーっ!」

クロとバトンタッチしたトクは、ニヤニヤ笑いながら手塚を蹴って蹴って蹴りまくりますw 暴力を楽しむ優作さんもまた、リアルなんですよねw

「坊主、大丈夫か? よく頑張ってくれたな」

「クロさん……」

ここで坊さんが涙を見せるんじゃなくて、クロに煙草をおねだりするのが良いですよね。活劇の中でしっかり人間ドラマを描きながらも、決してウェットにならず乾いた世界観を貫いてるのが『大都会 PART II 』の魅力です。

そして、渡さんが「都会~の裏窓~袋小路~♪」って唄うネクラな演歌『ひとり』が流れ、独りで佇むクロの画で幕を下ろすのが『大都会』シリーズのお約束。地上250メートルでも、やっぱり佇むんですねw

冒頭のアパート突入から、取調室におけるクロの坊さんイジメ、喫茶店での攻防戦、そして東京タワーへと畳みかける怒涛の展開。

さらに、でんでん氏を若くしたような三上寛さんの怪演(ブラボー!)、伊佐山ひろ子さんのブラジャー姿、小野武彦さんのステテコ姿w、渡さん&優作さんのリアル暴力と、てんこ盛りの見せ場に人間ドラマも加味された、あっという間の約45分。

誉れ高い『大都会 PART II 』の中でも、これは指折りの傑作エピソードかと思います。あらゆる意味で、現在のテレビ業界では製作不可能な作品です。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする