☆第28話『友は湖に消えた』(1986.4.20.OA/脚本=柏原寛司/監督=日高武治)
芹沢刑事(中村雅俊)は高校時代の同級生・綾子(高木美保)から数年振りに連絡をもらい、喜び勇んで休暇を取って河口湖へと出向きます。
河口湖は、芹沢が高校のバスケット部でよく合宿に来た場所であり、綾子はバスケ部のマネージャー。兄妹みたいに仲良くピュアな関係でした。
甘酸っぱい想い出に浸りながら雪の河口湖に着いた芹沢は、ホテルでやはりバスケ部の仲間だった松山(渡辺裕之)とも再会します。
今は弁護士となり、仕事でたまたま河口湖に来ていたという松山と旧交を温める芹沢。そこへ綾子からSOSの電話が。綾子は謎の男三人組に襲われ、あわや殺されそうになったところを駆けつけた芹沢に救われます。
おかしな形で綾子と再会した芹沢は、彼女が松山と婚約中だと聞いて驚きます。綾子が何か相談があるからと言うから、芹沢は河口湖に来た。そこに綾子の婚約者である松山も来ていたのは単なる偶然なのか? そして彼女を襲った三人組はいったい何者なのか?
一方、東京で殺人事件を捜査していた萩原(根津甚八)と結城(伊藤 蘭)も、その被害者の仲間たちを追って河口湖へ。昭和の刑事ドラマじゃよくある展開ですw
で、東京で起きた殺人事件が綾子&松山と繋がってる事が分かって来た時、綾子が殺されてしまいます。
彼女は、芹沢と二人きりになるまで言えなかった相談事をやっと話そうとした時に、何者かに狙撃され、芹沢の目の前で息を引き取りました。
怒りに任せて例の三人組をとっ捕まえる芹沢ですが、どうやら綾子を殺したのは彼らじゃないらしい。じゃあ、いったい誰が彼女を……?
芹沢は、河口湖の湖畔に松山を呼び出します。
「昔さ、よくランニングしたな、この辺り。その頃のお前はさ、なんかこう希望に燃えて、迫力あったよな」
「昔話をする為に呼び出したのか?」
「……学生時代のお前は輝いていたよ。そのお前が、なんでエリカ商事なんか脅かしたんだ」
エリカ商事とは、東京で殺された被害者と、その仲間たちの会社。松山はエリカ商事の顧問弁護士で、彼らの密輸に関する証拠を握り、ゆすっていたのでした。
「理想と現実とは違うもんだ。人間は、理想だけじゃ生きていけない。事務所を開くにも金がいる」
松山はエリカ商事の連中に命を狙われ、返り討ちで一人を殺した。綾子を襲った三人組は、彼女を拉致して人質にし、松山が握る証拠と交換するつもりだった。松山の悪行に気づいた綾子は、それを芹沢に相談しようとしてたワケです。
「1つ、聞く。綾子を殺ったのは、お前なのか」
「……お前を狙ったのさ。外れたんだよ、弾が。お前のお陰で全て計画が狂った」
芹沢は自首を勧めますが、松山は承諾したフリをして芹沢を撃とうとし、萩原のマグナムに阻止されます。
「お前には撃たせたくなかったんだ。デカを辞めるには早すぎるからな」
芹沢が咄嗟に撃ち返せば、かつての親友を殺すことになったかも知れない。それで相棒を失うことだけは避けたい萩原なのでした。
雪の河口湖を舞台に描かれた、切ない友情とロマンスの末路。久々に『俺たちの勲章』を彷彿させる辛口のエピソードでした。
なお、現地の所轄刑事として石垣恵三郎さん、三角八朗さんもゲスト出演。石垣さんは『太陽にほえろ!』で長さん(下川辰平)の息子を演じた人であり、三角さんも『太陽~』の常連ゲストだった人。『太陽~』マニアにとっても味わい深いエピソードでした。
綾子に扮した高木美保さんは、当時23歳。スピードスケートの高木美保選手とはもちろん別人で、'80年代に『華の嵐』『夏の嵐』等の主演で注目された女優さん。『太陽にほえろ!』にも2回ゲスト出演されてます。
しかしご自身は「女優に向いてない」と判断され、活躍の場をバラエティー番組に移し、'90年代末からは農業とタレント業を兼務されるようになりました。
確かに器用な女優さんじゃなかったかも知れないけど、凛とした佇まいは画になるし、グラビアもなかなかセクシーで、萌えますw