ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『誇りの報酬』#03

2019-01-15 12:00:10 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第3話『賭けをするなら命がけ』

(1985.10.27.OA/脚本=大川俊道/監督=木下 亮)

ある夜、芹沢刑事(中村雅俊)が毎晩のように通ってた花屋の可憐な店員=紀子(白石まるみ)が、芹沢の目の前で狙撃され、即死します。

芹沢がその店に通い詰めてたのは勿論、紀子のことが好きだったから。その彼女が、もしかすると自分の身代わりで撃たれたかも知れない……芹沢は焦燥しますが、犯人に心当たりがありません。

すると自宅に電話が掛かって来て、芹沢は犯人らしき男に呼び出されます。指定された公園に出向くと、今度は芹沢の近くを通り掛かったOLが狙撃され、やはり即死しちゃうのでした。

犯人はやはり芹沢を狙ってるとしか思えないんだけど、狙いを外したにしては被害者たちの急所を1発で撃ち抜いてる。これには何か裏がある、と萩原刑事(根津甚八)は睨みます。

捜査の結果、二人の被害者に共通点があることが判明します。それは1年前に起こった通り魔殺人事件。雑居ビルのエレベーター内で、女子大生が酔っぱらいのヤクザに刺し殺されるのを、乗り合わせた二人のサラリーマンは怖くて救えなかった。そして今回殺された二人の女性は、そのサラリーマンたちの恋人と妻だった!

容疑者として浮かんだ若者=佐竹(遠藤憲一)は、通り魔に殺された女子大生を愛していた。つまり、彼女を見殺しにしたサラリーマンたちに、愛する者の命を奪われる悲しみと苦しみを味わわせる為に(あえて本人ではなく)それぞれのパートナーを殺した。その動機をカモフラージュする為に、芹沢はただ利用されただけなのでした。

「冗談じゃないっ、俺を何だと思ってるんだっ!? ふざけやがって、俺は絶対許さねえぞっ!!」

ハイパー激怒する芹沢だけど、物的証拠は何もありません。焦った芹沢は佐竹の部屋に踏み込み、礼状も無しで家宅捜索するんだけど、凶器のライフルは見つかりません。

しかも佐竹に殴る蹴るの暴行を働いた芹沢は、全治三週間の怪我を負わせてしまい、あえなく謹慎処分に。もちろん、これじゃ二度と家宅捜索は出来ません。間違いなく佐竹が犯人なのに、手も足も出ない……

「貴様のような奴は、俺の手でぶっ殺してやるっ!」

ついに芹沢は気が狂ったのか、丸腰の佐竹に銃口を向け、止めに入った萩原の腹部に弾丸をぶち込みます。

「ひっ、人殺し!」

仰天し、必死に逃げ回る佐竹は、ついに隠し場所からライフルを取り出すんだけど、死んだ筈の萩原に44マグナムで弾き飛ばされちゃいます。

「危なかったな、相棒」

「しかし、こんなにうまくいくとは思わなかった」

「無茶するよ、お前は。カラの拳銃で本物のライフルに立ち向かうんだから」

「へへ、お前の腕を信じてたのよ」

「よく言うよ」

芹沢の拳銃に込められた弾丸は、すべて空砲だった。佐竹に証拠のライフルを出させる為に、二人はひと芝居打ったのでした。

さすが大川俊道さんの脚本らしい、ハードで「ぶっ飛んだ」展開とノリの良さ。さらにナルシーで小粋なジョークが加われば『あぶない刑事』そのもので、既に素地は出来上がってたワケですね。

容疑が佐竹に定まってから以降の展開はイーストウッド御大の出世作『ダーティハリー』1作目を彷彿させるものがあり、たぶん大川さんは意識されてただろうと思います。

あの「スコーピオン」にも匹敵するサイコなライフル魔を演じたのが、若き日の遠藤憲一さん。みどころ満載のエピソードと言えましょう。

セクシー画像は、最初の犠牲者を演じた白石まるみさん、当時22歳。デビューはTBSドラマ『ムー一族』だけど、私が初めて拝見したのは日テレ青春シリーズの『あさひが丘の大統領』で、井上純一さんとのキスシーンが話題になってました。

その後も『噂の刑事トミーとマツ』や『特捜最前線』など数々のドラマにゲスト出演、中でも『太陽にほえろ!』は通算5回の最多出演で、我々『太陽~』マニアのミューズ的存在だった女優さんでもあります。

バラエティーやラジオ番組でも活躍され、近年も娘さんでグラビアアイドルの守永真彩さんと親子でコント番組に出られたり等、元気に活動されてる模様。ヌード写真は25~26歳頃のものと思われます。
 
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『五番目の刑事』#02

2019-01-15 00:00:33 | 刑事ドラマ'60年代









 
☆第2話『けだもの狩り』(1969.10.9.OA/脚本=石森史郎/監督=永野靖忠)

原田(原田芳雄)が隣町の所轄署との合同捜査でコンビを組んだ、ベテランの鈴木刑事(信 欽三)が何者かに襲われ、拳銃を奪われてしまいます。

犯人の顔は見なかったものの左利きであることが判明し、鈴木は家出したまま行方不明の息子=武(寺田 農)に疑いの眼を向けます。最近あちこちで借金して回ってるらしい武も、やはり左利きなのでした。

で、武と恋仲らしいソープ嬢の春恵(太地喜和子)と会った鈴木は、彼女が妊娠していることを知り、その為に武はカネが必要になったんだろうと疑惑をますます募らせます。

そうこうしてる間に鈴木の拳銃を使った殺人事件が連続発生。武のアパートを突き止めた鈴木は、机の引き出しから銃弾の空薬莢を見つけてしまうのでした。

一方、事件の背後に暴力団どうしの抗争が絡んでると睨んだ原田は、その線から捜査を進め、笹内(石川徹郎)という男に眼をつけます。笹内は、ソープ嬢・春恵の実の兄だった!

果たして、真犯人は武なのか笹内なのか? それぞれが捜査により犯人の居所をつかみ、二人で踏み込む鈴木と原田。そこに潜んでいたのは果たして……?

暗闇から狙撃され、必死に「銃を捨てるんだ武!」と叫ぶ鈴木をかばって撃たれたのは、息子の武その人でした。

そう、真犯人は笹内だった。武は恋人の兄である笹内の犯行を知り、鈴木に相談するつもりだったのに、父は息子が自分を恨んでるものと思い込み、犯人だと決めつけてしまった。

「父さん……春恵のこと、頼むよ……あの子は父さんが思ってるようなアバズレじゃない」

そう言って武は、涙を流す鈴木の腕に抱かれ、息を引き取るのでした。

これもまぁ悲惨な話だけど、ゲーム感覚で作られた昨今のドラマや漫画みたいな陰湿さは感じません。そこに描かれてるのは父と息子の確執、ありがちな心のすれ違いであり、こんな事にならないようコミュニケーションを大切にしようっていう創り手のメッセージでしょうから、ちゃんと魂がこもってます。

一番可哀想なのは、恋人(そしてお腹にいる子の父親)を失い、同時に凶悪犯の妹になってしまった春恵で、原田がその事実を彼女に伝える無音のラストシーンがとても切ないです。

演じる太地喜和子さんは当時27歳か28歳くらいだけど、妖艶さと純朴さを兼ね備えた少女っぽいエロ可愛さで、二階堂ふみさんにもよく似てて、萌えますw

この僅か1年後にゲスト出演される『太陽にほえろ!』第11話では、実年齢より上のアバズレ人妻をこれまた違和感なく演じ、大女優の凄みを見せつけてくれます。ほんと素晴らしい女優さんです。

そして寺田農さんもお若い! いや、信欽三さんの息子役にしては大人っぽ過ぎるんだけどw そもそも主演の原田芳雄さんがとても30歳手前とは思えぬ貫禄ぶりですw

ストーリーの主役は完全にゲスト=鈴木親子で、レギュラーの刑事たちが単なるナビゲーターに過ぎないのがちょっと残念だけど、それこそが『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマの特徴なんですよね。これがもし『太陽~』なら、長さん(下川辰平)あたりがゲスト親子の悲劇を目の当たりにし、自分の息子との距離感を見つめ直すみたいな「共感」のドラマが描かれた筈です。

時代は巡り、現在は刑事のプライベートを描かない作品が主流になってますが、そろそろ一周して『太陽~』型の刑事ドラマが復活してもいい頃かも知れません。

謎解きメインの『相棒』型ドラマは(あくまで個人的に)早く廃れて欲しいんだけど、日本の景気がもっと良くならない限り、やっぱ安上がりに作れる謎解きモノが幅を利かせ続けるんでしょうね。破滅です。
 
コメント (1)
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