ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ベイシティ刑事』#05―2

2019-02-10 12:10:51 | 刑事ドラマ'80年代









 
竜神会の追撃から何とか逃れた小池(藤 竜也)と茜(石野陽子)は、倉庫らしき場所に身を潜めます。

「寒くないか?」

「あったかいワケないでしょう? なんで私がこんな目に遭わなきゃなんないのよ! もう帰る」

「おい、どこ行くんだ? なに考えてんだ、お前は! いま出たら確実に殺されるぞ!」

「殺されるのはそっちでしょ? 私には関係ないわよ!」

「向こうもそう考えてくれるか? デカと一緒に逃げ出したんだキミは」

「ふざけないでよね? それはそっちが無理やり……」

「分かりました。とにかくそう膨れるな。公判まであと12時間とちょっとだ。仲良くしてくれよ、優等生」

反抗的な年頃とは言え、ここまで茜を苛立たせるものは何なのか? そもそも、なぜ彼女は自ら狂言誘拐を提案したのか? 父親の鷲尾は、茜の為にヤクザから足を洗うべく、命懸けの証言を決意したと言うのに……

「だから、それがタルいって言ってんじゃないよ!」

「ええ?」

「あいつ……怖いんだ、私のことが。まるでガラスの置物に触れるようにしか、私のこと扱えやしないんだ。天下の竜神会のナンバー2がだよ? 笑っちゃうわよ」

どうやら茜は、娘とどう接すれば良いのか分からない父の不器用さに苛立ってるみたいです。

「アンパンやったって、ユージみたいな族の子とつき合ったって、学校で優等生してりゃ文句の1つも言えやしないんだよ。情けないっていうか、トロいっていうか……」

私には女心なんかサッパリ解りませんけど、思春期になって親の欠点ばかり目について反抗したくなる気持ちは、自分にも経験があるんでよく解ります。特に父親に対しては格好良さを求めちゃいますからね。

ところでアンパンって何の事でしたっけ?w たぶんシンナーの事だと思うんだけど、なんでアンパンって呼ばれるようになったんでしょう? 別にどーでもいいけどw

「ヤッチャンならヤッチャンらしく最後まできっちりヤッチャンすりゃいいじゃないよ! それを今さら、足を洗う? 私の為に? 冗談じゃないわよ。虎のシマわね、洗ったって一生落ちやしないんだから!」

言いたいだけ言った挙げ句に煙草を吸おうとする茜ですが、小池に取り上げられ、捨てられちゃいます。

「何すんのよ!」

「俺は親父と違うぞ。ガキにやる煙草は無い。そう言ってるんだ」

ヤクザってのは煙草やシンナーじゃ済まないレベルの悪事を働いてる人種ですから、娘を叱る資格なんか無い。鷲尾はそれを自覚してるからこそ、茜に何も言えなかったのかも知れません。

そんな風に育てられた茜ですから、モラルを説いても通じるワケがなく、小池を誘惑したりトイレに行くフリをしたり等、オンナの武器を利用してまんまと倉庫から脱出しちゃいます。

そこにタイミング良くやって来たスケルトンズの車に茜は拾われますが、追ってきた小池が走る車にしがみつき、命懸けで食い下がります。茜を彼らに渡したらお終いだっていう、刑事のカンが働いたのでしょう。

ところで港町署捜査課の「別動班」には、小池&星野(世良公則)コンビの他にも実は刑事がいますw

ベテランの班長=山崎警部補(いかりや長介)は、ちゃんとした捜査課の桜井課長(神山 繁)からいつも厄介事を押しつけられ、部下たちの暴走にも手を焼かされる哀しい中間管理職。今回も捜査課は茜のボディーガードを別動班に押しつけ、拉致された責任も全て別動班にあるとして知らん顔。

山崎班長は小池の行方を心配しながら、証言を拒む鷲尾の説得にも当たらなければなりません。だけど茜の行方も分からず絶望的な状況で、何度目かの辞表を用意する羽目になっちゃいます。

そしてもう1人、行動派の紅一点=河合あゆみ(石川秀美)は、行方をくらませた竜神会組長の愛人に接近し、その潜伏先を探ろうとします。

あゆみのキャラクターは遊撃班(日テレの『大追跡』)の紅一点=結城刑事(長谷直美)を彷彿させます。タイミング的に『あぶない刑事』と比較されがちな『ベイシティ刑事』だけど、実際は『大追跡』を意識してたんじゃないでしょうか。

それはさておき、星野は銃声を耳にした市民の通報を受けて港を捜索し、海に沈んだ小池の愛銃「ジョン」を発見します。普通は絶対見つからないと思いますがw

「どういうこと、ユージ? 私まで? ユージ!」

再び小池を監禁し、リンチしたスケルトンズのリーダー格=ユージは、止めに入った茜にまで暴力を振るい、銃口を向けるのでした。

小 池「ようやく本性を現した。それだけの事だ」

ユージ「お前のオヤジに知られさえしなきゃな、お前を死体にしてもいい。そう言われてんだよ、俺たちは」

 茜 「ユージ……」

小 池「茜。お前がコイツを利用したように、コイツもお前を利用したんだ」

ユージ達の狙いは、恐らく竜神会のバッジ。所詮、いくら格好つけようが暴走族なんてその程度。まさにクズの掃き溜めです。

鷲尾が証言台に立つ公判まで、残り3時間。茜を無事に帰さなければ鷲尾は口をつぐみ、竜神会を叩き潰すことが出来なくなってしまいます。

「ヤツらは俺が引き付ける。その間に逃げろ。分かったな?」

「けど……」

「いいな!」

小池は自分を犠牲にしてでも茜を逃がそうと奮闘しますが、恋人にまで裏切られた茜には生きる気力が乏しく、すぐに座り込んでしまいます。

「もうダメ、これ以上走ったら死んじゃうよ!」

「いいから立て!」

「もう放っといてよ! 余計なお世話だって言ってんだよ! あんた行きたきゃ1人でどうぞ。私は此処を動かないよ」

そんな茜に、小池は容赦なくビンタを浴びせます。

「何すんだよっ!?」

「自分で点けた火を消さないで済むと思ったら大間違いだぞ、おい!」

この時、茜は小池に「父親」を感じたかも知れません。本当はずっと、こうして親身になって叱って欲しかった。

「いいか、聞け。オヤジさんが例え証言を止めたって、組織がある限りいつかはオヤジさんぶっ殺されるんだ! こりゃ間違いないぞ、おい!」

茜は、決して父親が憎いワケじゃない。好きだからこそ叱って欲しいし、格好良い男でいて欲しかった。

「な? ただ、それを止めさせる方法がたった1つある。竜神会をぶっ潰せばいいじゃないか? な、茜。その鍵を握ってるのはお前なんだぞ。解るか?」

「…………」

「お前は逃げろ。逃げて何処かでクルマ拾って、そのまま裁判所へぶっ飛ばせ! いいな? こら、聞いてるのか!?」

「……誰が、誰がそんな所へ行くもんか! ジョーダン飛ばさないでよね!」

「馬鹿野郎!」

「なによ!?」

「……分かった。茜、何でもいいからお前、逃げろ。お前は死ぬな! こんなオジサンと一緒に野垂れ死にじゃ格好悪いだろ、おい。違うか? さぁ逃げろ。逃げるんだ!」

茜を強引に走らせた小池は、スケルトンズの銃撃を全て自分に向けさせるべく、彼らの前に突っ込んで行きます。

一方、茜は…………

トボトボと歩く茜を、通りすがりの暴走族が取り囲みます。恐らく顔見知りであり、彼女はそのままクズどもと遊びに行ってしまうのか?

そうとも知らず、丸腰の小池はスケルトンズに追い詰められ、更に駆けつけた竜神会にも挟み撃ちにされちゃいます。もはや絶体絶命!

と、そこに鳴り響く「マギー」の銃声! 走る覆面車から星野&あゆみがヤクザどもを撃ちまくります。あゆみが突き止めた潜伏先から、組長を尾行して此処に辿り着いたワケですね。

「パパ!」

そう叫んで星野は「ジョン」を放り投げ、小池に託します。パパってのはつまり、ジョン本来の持ち主が小池である事を示した呼び方なのでしょう。

ジョンを空中でキャッチした小池は、そのままジャンピングシュート! まさに水を得た魚で、あっという間に悪党どもをやっつけるのでした。

「星野、あゆみ、ありがと」

「まったく。あんな所にジョン置き去りにして、風邪でも引いたらどうするんですか」

「そうよ、可哀想よ、もう」

「ごめんね」

そう言って小池は、鉄の塊であるジョンにキスしますw こうして銃器にまでキャラクターを与えたドラマは他にもあれど、この『ベイシティ刑事』ほどそれが自然に見えちゃう作品は無かったように思います。やっぱり、心底から好きな人達が創ってるからでしょう。

さて、急いで裁判所に駆けつけた小池&星野を、山崎班長がハラハラしながら出迎えます。

「鷲尾の娘はっ!?」

「まだ来てませんか?」

「おい、冗談じゃないぞお前、なんてこったよ! もうすぐ始まんだよ公判が、公判がよぅ!」

「まったく、コウさんらしくないよ。あんなノラネコ信用するなんてさ。どうせね、今頃その辺でぷらぷら遊んでんだ」

と、其処に派手なバイクの排気音が鳴り響き、暴走族がやって来ます。

「ヤッホー♪ 鷲尾茜、ただいま到着!」

まぁ、とっくに皆さん察しておられた事でしょうw

「茜!?」

今まさに裁判所に入ろうとしてた鷲尾が、護送の警官たちを振り切って(あかんがな!w)茜の前まで駆け寄ると、手錠をされたままの両手でビンタを浴びせます(痛すぎるがな!w)。

しかし茜はドMなのか、嬉しそうに微笑みを返すのでした。そんな我が子をしっかり抱きしめると、鷲尾は意を決したように裁判所入口へと戻って行きます。

「鷲尾!」

さんざん説得を無視されて来た山崎班長が不安そうに声を掛けると、鷲尾は振り切り、力強く言うのでした。

「心配するなよ、山崎さん。話してやるよ。洗いざらいぶちまけてやる。この落とし前は、必ずつけてやるよ」

実際にやってる事はちっとも格好良くないんだけどw、茜の眼には最高にカッコいい晴れ姿に映った事でしょう。

それにしても、暴力団を1つ壊滅させちゃうような証言って、一体どんな内容なのか、具体的には一切触れてない脚本が凄すぎますw

「班長。またもや無駄になって良かったですね、これ」

そう言って山崎の懐から星野が取り上げたのは、もはや恒例になりつつある「班長の辞表」です。

「なに言ってんだ、お前。そんな事はな、ハナから分かってたんだ。わしゃあ部下を信じとるからな」

「あら? とても信じられてるとは思えませんよね」

「なんか言ったか?」

そんなやり取りを横で聞いてる小池に、茜は初めてチャーミングな笑顔を見せると、何も言わずに去って行きます。

更正を誓ったとは言えヤクザだった父親を持つ茜の人生は、前途多難かも知れません。例え竜神会が壊滅したとしても、報復の脅威が消え去る事は無いでしょう。

そんな事を想ってか、独りで公園の噴水を見つめる小池に、後ろからやって来た星野とあゆみが声を掛けます。

星 野「コウさん。しつこいようですけどね、本当にあのコとは何も無かったのかな?」

小 池「ああ?」

星 野「いやいやいや、歳の差なんて関係ないですから。なんせ人は、なんせ男と女よ?」

小 池「あのなぁ、自分とすぐ一緒くたにすんなよ。俺だってわきまえてる所はちゃんとわきまえてるんだよ」

あゆみ「ハードボイルドだもんね。ね? ハードボイルドでしょ?」

小 池「そうだよ、当然だよ俺は」

あゆみ「なんたって一説によると、ハードボイルドって、やせ我慢って訳すらしいもんねえ?」

星 野「やせ我慢? そう? カラダに悪いわねえ~!」

からかう2人を、うるせーコノヤローとか言いながら追いかけ、楽しそうにじゃれ合う姿でジ・エンドっていうパターンも、そう言えば最近は滅多に見られませんねw

♪暗がりで酔いつぶれたヤツと~トゲの無い薔薇のような男と女~

エンディングテーマは世良さんが唄う『HEART IS GOLD』。もしかすると知らない読者さんもおられるかも知れないので書いておきますが、世良公則さんはかつて「ツイスト」っていうバンドで一世を風靡されたロック・ミュージシャンです。

藤竜也さんはつい最近も北野武監督の映画に主演されるなど、ベテラン俳優としてバリバリ活躍中で、石川秀美さんは後に「しぶガキ隊」薬丸裕英くんと結婚、いかりや長介さんは黒澤映画や『踊る大捜査線』等で活躍後、鬼籍に入られました。
 
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『ベイシティ刑事』#05―1

2019-02-10 00:00:09 | 刑事ドラマ'80年代









 
☆第5話『美少女は俺がヤル!』

(1987.11.4.OA/脚本=宮下隼一/監督=村川 透)

先の記事にも書きましたが、本作のあまりにポップ過ぎるオープニングタイトルは好きじゃありませんw 視聴率が低迷した(最高で9.8%)原因の筆頭がこのオープニングじゃないかと私は思ってます。

って言うのも、ドラマの内容自体は決して悪くないからです。’80年代に大流行した軽いノリのアクションドラマで、現在でも鑑賞に耐えられるのは『あぶない刑事』と『ベイシティ刑事』だけ。

それ以外の作品はとにかくギャグが寒くてアクション描写も稚拙で、要するにガキ臭い。そんな中で『ベイシティ刑事』はイイ線いってたのに、あのオープニングを見ると「これもまたガキっぽいなぁ」って誤解されちゃうワケです。

それはさておき、横浜・港町署捜査課「別動班」の名コンビ=小池警部補(藤 竜也)&星野巡査長(世良公則)は今回、優等生の女子高生=鷲尾 茜(石野陽子)のボディーガードという任務に就きます。

星野「よく見るとなかなかイイ線いってんですよねぇ、あのコは。こういう仕事ならね、鉛弾飛ばなくたってオレ張り切るなぁ……」

小池「残念ながらそれも今日でお終いだ。明日になりゃ俺達あのコの目の前から消えて、ハマから暴力団が1つ消えると。それだけの話だ」

茜は暴力団「竜神会」のナンバー2であるヤクザ・鷲尾の一人娘であり、彼女を危険に晒さないって条件で鷲尾は司法取引に応じ、法廷で竜神会を壊滅に追い込みかねない重大な証言をする約束をしたのでした。

星野「ありゃトンビがタカって言うより、人喰い虎がシャム猫産んだって感じだよなぁ……ま、ドラやミケじゃ相手になんない」

小池「ほら、ヨダレだヨダレ」

こういったノリの会話を、ガキっぽい役者が演じると非常に寒い仕上がりになっちゃうワケです。『あぶない刑事』のコンビ(館ひろし&柴田恭兵)と『ベイシティ刑事』のコンビに共通するのは、悪ガキを卒業したオトナの魅力。このテの作品はやっぱ、主役のキャスティングでおおよそ決まっちゃいます。

さて、下校する茜を尾行中の2人が、そんな軽口を叩いてると、いきなり四輪駆動車が走り込んで来て急停車、乗ってた若造3人組が茜を拉致するやマシンガンを乱射します。

『ベイシティ刑事』が画期的だったのは、こういった場面でちゃんとブローバックや排莢、着弾をリアルに見せ、ご丁寧にも空薬莢が地面に転がる音まで入れる、そのマニアックさです。

現在じゃそういう描写も普通になってますが、『ベイシティ刑事』以前の作品ではほとんど見られませんでした。撮影現場の人達に銃器の知識が無かったのか、あってもそんな仕掛けに時間を掛ける余裕が無かったのでしょう。

『ベイシティ刑事』の製作現場にも決して余裕は無かった筈だけど、それでも「俺達はそこんとこ、ちゃんとやろうぜ」っていう心意気で乗り切ったんだろうと思います。

銃器に興味が無い人は、そんな細かいこだわりに何の意味があるの?って思われるかも知れません。単なるマニアの自己満足じゃないの?って。

決してそんな事は無いんです。マニアックな描写すなわち、リアリティなんですよね。黒澤明監督が日本映画で初めて、斬り合いのシーンにズバッとかグサッていう効果音を入れ、血飛沫を映像化して見せたのと全く同じ事です。

銃器の知識がある者からすれば、ブローバックしないオートマチック拳銃だとか、着弾を見せない銃撃戦なんてのは、いくら斬っても音や血が出ないチャンバラと同じで、ごっこ遊びにしか見えないワケです。

刀や銃の恐ろしさがリアルに描かれる事で、アクションシーンの迫力やスリルが倍増する。S.スピルバーグ監督やJ.キャメロン監督のアクション映画が面白いのは、そういった部分に殊更チカラを入れておられるから。そのお手本が黒澤監督なんですね。

さて、小池&星野コンビは各々の愛銃=「ジョン」ことS&W・M629センチネルアームズ、「マギー」ことコルト・ナショナルマッチ・コンバットカスタムで応戦、カーチェイスしながらの銃撃戦となりました。ちなみに覆面パトカーの装着式パトライトは(進行方向に向けず)横向けに着けるのがベイシティ刑事の流儀です。

「くそっ、あの野郎、俺のシャム猫どうするつもりだ!」

「気合いが入ってるね、ドラ猫くん」

「フニャアー!」

……まぁ、そういう時代だったワケですw

残念ながら、犯人の車は四輪駆動の特性を活かして石段を駆け上がり、まんまと逃走しちゃいます。

茜が拉致された事を知った父=鷲尾は、当然ながら法廷での証言を拒否。公判までの残り20時間で、何としても茜を奪還し、鷲尾に証言してもらわなきゃいけません。

茜を拉致した三人組には前科があった為、暴走族スケルトンズの元メンバー達である事がすぐに判明。星野刑事は元暴走族の総長であるからして、その繋がりからスケルトンズのアジトも意外に早く割り出されます。

星野の報告を受け、一足早くアジトに踏み込んだ小池刑事ですが、茜を人質にされて手が出せず、あえなく自らの手錠で拘束される羽目になります。

星野が駆けつけた時には、既にアジトはもぬけの殻。小池の警察手帳と血痕を見つけた星野は、不安そうに呟きます。

「何があったんだ、コウさん……」

スケルトンズによるリンチを受けた小池は気を失い、何処かの地下室に監禁されてました。

「おい、あのコは? 鷲尾茜はどこだ!?」

目を覚ました小池が叫びますが、スケルトンズの若造どもは可笑しくてたまんないって風情で、ケラケラ笑うばかり。

「おい、聞いてんのかっ!?」

連中は何がそんなに可笑しいのか? その答えは、高校の制服から私服に着替えた美少女によって明かされます。

「ヤッホー♪ 鷲尾茜です」

茜の服装は当時のヤンキー・ルック。そう、彼女はスケルトンズのリーダー格=長瀬の恋人であり、拉致事件は狂言だった。茜はわざと優等生を演じてたワケです。当時の刑事ドラマって、このパターンがホント多かったw

「は~、この1週間ほんっとに肩凝っちゃったわよ~」

茜を演じる石野陽子(現・いしのようこ)さんはご存知の通り、我らが青春のオナペット=石野真子さんの妹です。

アイドル時代の真子さんには今でも萌える私ですが、なぜか妹の陽子さんには全く惹かれませんでした。その理由はもしかすると、何となくヤンキーの匂いを感じたからかも知れません。(茶髪は天然らしいけど)

それだけに陽子さん、この茜役はとてもハマってます。

「……ふふっ、オジサン見事に騙されたよ。しかし優等生がなんでこんなクズどもと付き合ってるんだ?」

なんだコノヤロー!?って息巻く単純なクズどもを制して、茜は言います。

「オジサン、古いわよ。仲間割れ狙ってんでしょ? でも残念でした。私達そんなアーパーじゃないの」

アーパーって、そんなコトバ流行ってましたっけ?w いつの時代も、若者コトバってのはその時にしか通じないもんです。

それにしても茜さん、さすがはヤクザの一人娘。肝が据わってます。この狂言誘拐もどうやら、茜自らによる発案だった模様です。

だけど百戦錬磨の小池から見れば、まだまだ青いガキンチョに過ぎません。夜になり、ガキどもが眠ってる間に針金で手錠を外し、アッサリ形勢を逆転させる小池。

茜は地下室から逃げ出しますが、今度は外で待ち構えてた竜神会が彼女を狙います。小池は嫌がる茜を連れ、すぐ近くの海へとダイブします。どうやら其処は港のようです。

何とか竜神会の追撃をかわしたものの、小池は海中で何より大事なモノを無くしてしまいます。

「あれっ、拳銃がねえ。拳銃落としちゃった」

この緊迫感の無さもオトナの余裕でしょうか?w 藤竜也さんって、ちょっと抜けたような芝居もまた巧いんですよね。

一方、竜神会は地下室に入り、スケルトンズのガキどもをリンチします。

「もう少し使えると思ったぜ、お前ら」

「待って下さい、会長。もう一度だけチャンス下さい! お願いしますっ!!」

リーダー格=茜の恋人である長瀬も、土下座して竜神会に許しを乞います。狂言誘拐は茜の発案だった筈なのに、なぜ竜神会がスケルトンズを操ってるのか?

この事件、どうやらまだ何か裏がありそうです。

(つづく)
 
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