1990年にリリースされた東映Vシネマの1編で、Vシネマ愛好家の間じゃ「カルト作」として知られる作品です。
元ネタはハリウッド映画『ロボコップ』のオリジナル版ですが、最新技術で蘇ったリメイク版『ロボコップ』を観た後にこの『女バトルコップ』を私は観たもんで、あまりにチープ過ぎて涙が出ましたw
近未来都市のネオ東京でロボット警官を密かに開発する研究所が、犯罪組織「カルテル」の襲撃を受け、イケメン研究者(北詰友樹)の恋人であるテニスプレーヤー=かおる(中村あずさ)が巻き込まれて銃弾を浴びる。
死ぬくらいなら恋人の役に立ちたいって事で、かおるはサイボーグ開発の実験台を志願。改造直後に彼もカルテルに殺され、かおるは女バトルコップとなって復讐を開始する。
サイボーグ開発研究所からして、どう見てもその辺の会議室だしw、TVドラマ『西部警察』(の1エピソード)製作費の半分もお金かかってなさそうなんだけどw、女バトルコップが身にまとうバトルスーツはなかなかの完成度で、デザインはロボコップより格好良いです。(そこにお金かけ過ぎた?)
そう、バトルコップのボディーはあくまで装甲で、中身は人間の肉体そのまんまな点がロボコップとは大きく違います。人間の肉体を残した理由はたぶん、彼女のシャワーシーンを入れる為ですw
この女バトルコップが素晴らしいのは、えらく弱い点ですねw ブルドーザーで押し潰されそうになったり、逆さ吊りにされたままマシンガンやショットガンで蜂の巣にされ悶絶したりと、けっこう悲惨な目に遭ってます。
『マジンガーZ』もそうだったように、女性型ロボットの被虐はレイプを連想させるエロス表現なんですよね。そこんとこが『ロボコップ』には無い魅力で、Vシネマの歴史に名を残したカルト作たる所以かと思います。
もちろん最終的にはカルテルを皆殺しにして復讐を果たすワケですが、そんな彼女のどこがコップ(警官)なのかよく分かりませんw そもそもテニスプレーヤーなんだし(だから弱くて当たり前)。
でも、そこが本作の良さなんだと思います。職務とか正義感とかじゃなく、恋人の生命と自分の人生を奪った者たちへの、怒りと憎しみに突き動かされる彼女の姿には哀愁がある。
確かに泣けてくるほどチープなんだけど、爆破はCGじゃない本物だし、日本映画のお家芸であるミニチュア特撮も今となっては逆に新鮮だったりします。
女バトルコップがバイクで移動するのはリメイク版『ロボコップ』を先取りしてるし、もしかすると影響を与えてる可能性だってあります。(そもそも『ロボコップ』は日本の特撮ヒーローがモデルと云われてます)
最強の敵(和製シュワちゃんこと松田 勝)がサイコキネシスで、ピラミッドで瞑想したり念動力で物を動かしたりするチョー非科学的な存在なのも面白いw
こんな作品が大真面目に創られ、世の中に流通してた時代なんですよね。あの当時のサブカル文化を振り返る意味でも、機会があれば是非観て頂きたい作品です。(若き日の佐野史郎さんも出ておられます)