ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#014

2019-02-13 12:20:08 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第14話『そして拳銃に弾をこめた』

(1972.10.20.OA/脚本=長野 洋&小川 英/監督=手銭弘喜)

刑事達が拳銃を所持した殺し屋を追跡中、たまたま通り掛かった画家志望の娘=桂子(鳥居恵子)が銃撃戦に巻き込まれ、撃たれてしまいます。

桂子は街で似顔絵描きをやってて、ゴリさん(竜 雷太)の似顔絵を描いた事もあり、それで声を掛けたばかりに巻き込まれたのでした。

ゴリさんは普段、拳銃に弾丸をこめてません。もしあの時、すぐに撃ち返してさえいれば、桂子は撃たれずに済んだかも知れない……ゴリさんは苦悩します。

幸い、桂子は一命を取り留めました。見舞いに来たゴリさんに、彼女は南の島で気ままに絵を描いて暮らす夢を語ります。どうやら桂子はゴリさんに憧れを抱いてるらしく、ゴリさんも満更じゃない様子。

ところが、ゴリさんが病院を後にしてから僅か2時間後に、桂子は息を引き取ってしまいます。モルヒネを多量に摂取した事によるショック死で、ゴリさんは彼女が殺された事を確信します。

なぜ、桂子は殺されたのか? その鍵を握るのは、桂子の画家仲間……というかヒッピー仲間で、彼女に惚れてる哲男(渡辺篤史)という若者。やがて捜査線上に麻薬組織の存在が浮かび……

ゴリさんの「拳銃に弾をこめない」主義がストーリーに活かされた最初のエピソードであり、ゴリさん初のロマンス編でもあります。

また、主役の刑事が好きになった女性、あるいは天使みたいに明るい少女に、実は暗くて悲しい秘密が……っていうパターンが、最初に使われたエピソードでもあります。この「女優列伝」を続けて行けば『太陽にほえろ!』が……というより昭和の刑事ドラマが、如何にこのパターンを好んで使ったかがよく判ると思いますw

桂子を演じた鳥居恵子さんは、石原プロに所属してた女優さんで、前年公開の日活映画『男の世界』じゃボス(石原裕次郎)やスコッチ(沖 雅也)とも共演されてます。(最後の画像)

天真爛漫な雰囲気が実に私好みで、萌えますw あまりセクシーショットは公開されてなかったみたいで、本作のイメージシーンにおけるビキニ姿は、結構レアかも知れません。

『太陽』では後に第682話『揺れる命』(ブルース編)にも出演されてますが、どちらかと言えば東映系の刑事ドラマ(『Gメン75』や『特捜最前線』)に数多く出演されてたみたいです。

私生活では藤岡 弘さん(ドラマ『白い牙』で共演)と結婚→離婚されており、その辺り(1990年)を機に出演作は途絶えてます。(Wikipedia情報)

鳥居さんも良かったけど、彼女の秘密を守る為、麻薬組織に挑戦しようとする純情野郎=哲男を演じた渡辺篤史さんも素晴らしいです。若い頃から上手かった俳優さんですよね。

こういうストーリーは今やるとクサくなっちゃうんだけど、’70年代にはよくハマります。ヒッピー・ファッション等、当時ならではの文化も楽しめる好編です。
 
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『太陽にほえろ!』#011

2019-02-13 00:00:10 | 刑事ドラマ'70年代









 
自由奔放なキャラクターと脱ぎっぷりの良さで人気を博した、太地喜和子さん。『太陽にほえろ!』でも屈指の……っていうか『太陽』の限界を超えたセクシーショットを見せてくれましたw

何しろ、ボディーガードとして泊まり込む山さん(露口 茂)に着替えを手伝わせるわ、黒い下着姿で足を組んで見せるわ、シャワールームの磨り硝子越しに全裸を見せつけるわ……

そんな太地さんのセクシー攻撃に、全くビクともしない山さんがまた凄い!w 山さんは果たしてゲイなのか修行僧なのか!?

そんなワケありません。山さんに太地さんのセクシー攻撃が通じないのは、かけがえのない愛妻=高子(町田祥子)がいるからです。今回、メインゲストは太地喜和子さんだけど、真のヒロインは初登場の山村高子=町田祥子さんなのです。


☆第11話『愛すればこそ』

(1972.9.29.OA/脚本=永原秀一&峯尾基三/監督=金谷 稔)

かつて成金ヤクザと浮気した妻(太地さん)を殺そうとして、山さんに逮捕された男(郷 英治)が刑期を終えて出所します。男が再犯を目論んでるのを察知した山さんは彼をマークしますが、そんな折に心臓病を患う妻=高子が発作を起こし、緊急手術を受ける事態に。

ボス(石原裕次郎)はすぐ病院に行くよう促しますが、山さんは頑として任務を遂行、代わってマカロニ(萩原健一)が高子に付き添います。

最終的には、やはり妻を殺しに現れた男を山さんが食い止めるんだけど、その際にこんな台詞を言うんですよね。

「俺はお前のことが好きなんだ! だから人殺しだけはさせたくない!」

これは山さんがゲイだからじゃなくてw、妻を愛すればこそ殺意を抱く男に対して、同じ愛妻家として山さんはシンパシーを感じたんだろうと思います。

山さんは張り込みの途中で高子のことを想い、そのスキに巻かれちゃうという失態も冒してる。愛すればこそ妻の無事を信じ、あえて病院には駆けつけなかった……のかも知れません。

今回のところは高子が無事に回復し、結果オーライ。事件解決後、ようやく病院に駆けつけた山さんと高子の会話に、私は胸が熱くなりました。

「いつまで経っても、いい亭主になれそうもないな」

「じゃあせめて、いい刑事になって下さい」

今どきの若い夫婦だったら有り得ないですよねw 自分を仕事より優先しない夫を妻は許さないだろうし、そもそも夫はすぐに任務放棄して病院へ行くでしょうから、こんなドラマは成立しません。どっちが良いとも悪いとも言えないけど、とにかく’72年当時の日本だからこそ成立したストーリーだと思います。

いや、当時の若者であるマカロニがすでに、山さんの行動を全く理解してないですからね。私だって、山さんの立場ならすぐ病院に駆けつけるだろうと思います。

そのマカロニですが、今回も驚異的な惚れっぽさを発揮します。高子を看病しながら、なんと彼女と公園で恋人どうしみたいにじゃれ合う光景を妄想してしまう! 大先輩の奥さん(ゆえにずっと歳上)なんですよ?w

これはもしかすると、本来マカロニは亡き母親の面影を高子に見る設定だったのに、ショーケンさんが「やだ。俺はマザコン坊やじゃない!」ってダダをこねて、恋人風の演出に変えちゃったのかも?

いずれにせよ、高子とお揃いのスカーフを巻いて公園を駆け回る、スローモーションのマカロニは実にシュールでした。現在ならギャグにしかならないでしょうけど、昭和が背景だと何だか切なさがこみ上げて来ます。

あるいは、高子を演じる町田祥子さんの清楚さが、マカロニの純真さと化学反応を起こした結果なのかも知れません。

そんな町田さんの対極に存在するのが太地喜和子さんですよねw 夫の服役中にまんまとパトロンを見つけ、腹違いの妹を女中扱いしながら贅沢三昧。そんな典型的アバズレ女を、太地さんは実に楽しそうに演じておられます。

刑事側の心情しか描かない『太陽』においては、このテの敵役は薄っぺらくならざるを得ないんだけど、太地さんが演じると人間味を感じるんですよね。彼女が何故こんなアバズレになっちゃったのか、その背景が(脚本に描かれなくとも)何となく見えて来る。

そこはやっぱり、文学座で「杉村春子二世」と評された、太地さんの実力なんだろうと思います。役者の力ってのは本当にデカい!

なお、これより数年後、山さんに再び同じシチュエーションが巡って来ます。高子が発作を起こして危篤状態なのに、山さんは犯罪阻止を優先しちゃう。その時も山さんは高子の無事を信じるんだけど、結果は……(第206話『刑事の妻が死んだ日』)

それを踏まえた上でこの第11話を観ると、余計に熱いものがこみ上げて来ます。
 
コメント (2)
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