ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ゴリラ/警視庁捜査第8班』最終回

2019-02-25 12:05:35 | 刑事ドラマ'90年代









 
☆第46話『命、燃えつきても』(最終回2時間スペシャル)

(1990.4.8.OA/脚本=石井信之/監督=吉田啓一郎)

2ヶ月前に唐突に末期癌であることが発覚した第8班の伊達(舘ひろし)が、ここに来て同僚の美奈子(田中美奈子)と唐突に恋に落ちます。

折しも2つの暴力団が絡むヘロイン密売に、図らずも関わってしまったセスナ機のパイロット・皆川(竹中直人)が口封じの為に命を狙われ、助けに行った伊達と美奈子も拉致されて、瀬戸内海の島に幽閉されちゃいます。

点滴なしで伊達が生きていられる時間は残り僅か。どっちにしろ彼の余命は限られてるんだけど、倉本(渡 哲也)・風間(神田正輝)・谷川(谷川 竜)は決死の覚悟で、無数の武装ヤクザたちが待ち構える島の要塞へと救出に向かうのでした。(結局、伊達は仲間を救う為に自ら盾になり、蜂の巣にされて殉職しちゃいます)

そんなクライマックスのシチュエーションは『西部警察』シリーズの焼き直しにも見えるし『特命刑事(大激闘/マッドポリス'80)』最終回にもよく似てます。

そういうスペシャル感は大歓迎なんだけど、伊達の癌設定といい美奈子との恋愛といい、如何にも最終回用に取って付けたような盛り上げ要素が、かえって興醒めに感じます。「熱い」と言うより「クサい」んですよね。

加えて、当時の田中美奈子さんや谷川竜さんの演技力がハッキリ言って学芸会レベルなもんで、そんな2人が伊達の余命を知って涙を流したり、すれ違いの恋に身悶えたりする、ただでさえクサいシーンが相乗効果でクサさ200倍になっちゃってるw

渡さんも舘さんも神田さんも決して演技力で売ってる人達じゃないですから、若手の拙さをカバーすることが出来ない。石原プロはやっぱ暴力振るってナンボ、射殺して爆破してナンボなんだから、下手な「泣かせ」芝居はやらない方が絶対いい。しかも2時間かけて見せるような話じゃないし。

BGMに使われる気取った英詞の歌がまた、メロドラマ的な内容とアンバランスでクサさ400倍。何から何までチグハグで、ずっと迷走し続けて来た『ゴリラ』らしい最終回と言えば最終回でした。

つくづく、視聴率を稼ぐことだけ考えてドラマを創るとこうなっちゃうっていう、典型的な失敗例ですよね。大ヒットした『あぶない刑事』の軽いノリを節操なくマネして、ウケなければコロッとシリアスに転向し、癌だの悲恋だのおっ始めちゃう。そこに創り手の強い志しやプライドは微塵も感じられません。無理やりテコ入れされても頑として作風を変えなかった『大激闘』とは実に対照的。

ドラマ創りのセンスが無く、商売のことだけで頭がいっぱいの番頭さん(小林専務)に権力を与え過ぎたのが、そもそもの敗因だったんだろうと思います。裕次郎さん亡き後の石原プロの没落ぶりも、全てはそこに尽きるでしょう。

そんなワケで、熱い要素が満載の筈なのに、ピクリとも心が揺さぶられない、珍しいパターンの最終回でした。

あんなにお金をかけてアクションドラマを創ることなんて、今となっては夢のまた夢ですから、つくづく勿体ない話です。
 
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『ゴリラ/警視庁捜査第8班』#45

2019-02-25 00:00:06 | 刑事ドラマ'90年代









 
☆第45話『ベスト・フレンド』

(1990.4.1.OA/脚本=石井信之/監督=小澤啓一)

最終回直前のエピソードです。ベスト・フレンドとは、伊達刑事(舘ひろし)と風間刑事(神田正輝)のことを指します。

画像を見ただけでも、先日レビューした第2話とは全く別世界であるのがお判り頂けるかと思いますw 何しろ伊達が癌で余命僅かという状況ですから、小粋なジョークを飛ばしながら殺人三昧してる場合じゃありません。

だけど、その事実を知ってるのは、捜査第8班の中じゃ倉本班長(渡 哲也)ただ1人。伊達の異変に気づいた相棒の風間が、やがて真実を知り、傷つきながらも、何とか受け入れようと葛藤する姿が描かれます。

『西部警察PART II~III』では沖田刑事(三浦友和)が余命僅かで、その事実は大門団長(渡 哲也)と木暮課長(石原裕次郎)しか知りませんでした。

今回、倉本班長から初めて事実を聞かされた風間が、錯乱して倉本を殴っちゃう描写があるんだけど、『西部~』でも確か、鳩村刑事=舘さんが団長を殴ってましたw

そんな風に既視感はアリアリなんだけど、『ゴリラ』の場合は伊達と風間の友情に焦点が絞られてる分、より味わい深いものがあります。何しろ残るメンバーは田中美奈子と谷川 竜だけで、マトモに芝居出来る人が神田さんしかいないw 2人の友情にドラマを絞るしか無いワケです。

特に、伊達が夜中にわざわざ雨に打たれながらw、ゴミの山から証拠書類を探してる所に、真実を知った風間がやって来て、何も言わずに手伝ってやる場面。

そしてラスト。やけ酒を煽って酔いつぶれ、寝たフリをしてる風間に、行ける筈のない温泉旅行案を伊達が語る場面。あくまで明るく振る舞う伊達と、やるせない気持ちを隠しきれない風間とのコントラストに泣かされます。

舘ひろし&神田正輝のコンビがしっくり来ないって、さんざん書いて来ましたけどw、お互い素直に気持ちを表現出来ないこの不器用な友情に、息ピッタリな『あぶデカ』コンビとはまた違った魅力を、今あらめて観ると感じたりします。

それはもしかすると、舘さんと神田さんが(『あぶデカ』の物真似にならないよう)意図的に作り出した空気なのかも知れません。最近になってお二人がNHKドラマ『クロスロード』で再共演され、成熟した演技を披露されてるのを観て、何だかそんな気がして来ました。

なお、画像にあるキスシーンは、最終回における舘さん&美奈子さん。唐突に恋に落ちるもんでビックリしましたw

田中美奈子さんは当時23歳。ミス・マガジンの準グランプリで注目され、歌手として「学園祭の女王」の異名を取るも、東映Vシネマ第1弾『クライムハンター』でヒロインを演じた辺りから女優道へとシフト。

私はてっきり、『ゴリラ』への抜擢は『クライムハンター』がキッカケだと思ってたんだけど、実は歌番組で唄う美奈子さんを渡哲也さんがテレビで見掛けて、一目惚れしたのが真相なんだとか。

劇中で、倉本班長が美奈子(役名も田中美奈子w)を第8班に抜擢した理由が「可愛いから」って言ってたのは、実は楽屋落ちのネタだったワケです。

それにしたって、返す返すも、殺人ライセンスを持つスーパーエリート刑事を、全く個人的なエロ目線でチョイスされたんじゃ、市民はたまったもんじゃありませんw
 
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