ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#274

2019-10-08 12:10:32 | 刑事ドラマ'70年代








 
☆第274話『帰ってきたスコッチ刑事』

(1977.10.28.OA/脚本=杉村のぼる&小川 英/監督=竹林 進)

やっぱり、この人が加わると画面が引き締まり、番組のクオリティーが数段アップされます。スコッチ(沖 雅也)が帰ってきた本エピソードは、1977年後半の全作品を見渡してもダントツの見応え。私は何度繰り返し観たか判りません。

白昼堂々、人混みのど真ん中で起きた殺人事件と、山田署管内における暴力団員射殺事件で使用された拳銃が同一であることが判明し、スコッチが半年ぶりに七曲署管内で大暴れ。

戸川組の事務所に乗り込み、ナメた態度をとる幹部を殴りつけ、色めき立つ組員たちにすかさず銃口を向けて、スコッチはこう言います。

「遠慮はいらん。ぶち込まれたいヤツは前へ出ろ」

この時期の七曲署……いや、歴代メンバーを見渡しても、そんな台詞を言える刑事はボス(石原裕次郎)ぐらいしか他にいません。同じクール路線の刑事でもジプシー(三田村邦彦)やデューク(金田賢一)じゃサマにならない。本当にぶっ殺しかねないオーラを持ってるのはスコッチだけw

そんなスコッチが後任刑事=ロッキー(木之元 亮)と組んで犯人=池上(遠藤征慈)を追うんだけど、池上は重度の覚醒剤中毒者。もはや情もモラルも全く通用しない狂人で、これ以上に危ない犯罪者はいません。

で、警官を射殺した池上をスコッチ&ロッキーが発見し追い詰めるんだけど、そこでなんとロッキーの「拳銃恐怖症」が再発! 肝心な場面で固まってしまい、バケモノと化した池上を再び野に放つ結果を招いちゃう。

すっかり自信を無くしたロッキーを励まそうとするボン(宮内 淳)に「やめとけ。怖いヤツに理屈を言っても無駄だ」とクールに言い放つスコッチ。なのに、スコッチはあえてロッキーを連れて捜査を続行、再び池上を廃屋まで追い詰めます。

池上は銃砲店から奪ったライフル2挺で完全武装。しかも恐怖や痛みを感じない、ある意味「無敵」状態のモンスターが相手とあって、さすがのスコッチも脂汗と手の震えが止まりません。

そんなスコッチの姿を間近で見て、衝撃を受けたロッキーは逆に冷静さを取り戻すんですよね。で、二人は見事な連携プレーで池上を取り押さえるのでした。

ところが事件が解決すると挨拶もせず、サッサと山田署へ戻っちゃうスコッチ。一言お礼を言いたかったのに!と残念がるロッキーに、だからスコッチは黙って去ったんだと先輩刑事たちは言います。

「およそ他人には見せたことのない弱みを、お前にだけは見せた。誰でも怖い時はあるということを、お前に教えたかったんだよ」

思えばスコッチも、拳銃による過去のトラウマを抱えてる点ではロッキーと同じ。誰だって拳銃は怖い、怖くて当たり前なんだってことを、理屈抜きで教えられる人間はスコッチしかいなかったワケです。

ロッキー登場編では「取って付けた」ような印象しか無かった拳銃恐怖症の設定が、まさかスコッチのゲスト回で活かされ、こうも感動的なドラマに昇華されるとは! もし、それが最初からの計算だったとしたら、あらためて『太陽~』スタッフ恐るべしです。

それにしても前回はボス(石原裕次郎)の格好良さを引き立て、今回はスコッチの素晴らしさを引き立てたロッキーの、底抜けのカッコ悪さはどうでしょう?w

もちろん『太陽~』は新米刑事の成長を描くドラマですから、最初は色んなことが「出来ない」のが当たり前なワケだけど、それにしても初期ロッキーはヘタレっぷりがあまりに目立ちます。あのマイコン(石原良純)でさえPCの扱いなら誰にも負けなかったのに!w

これじゃ人気が爆発しないのも当然で、なんだか木之元さんが気の毒です。とはいえ、相方=ボンとのバランスを考慮した結果でもあろうし、番組がよりシリアスな路線に傾倒していく時期の新人刑事ですから、仕方がなかったんでしょう。

これより2年半後、スコッチは七曲署に本格復帰。成長してちょっとだけ格好良くなったロッキーとw、再び一緒に捜査することになります。
 
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『太陽にほえろ!』#273

2019-10-08 00:00:20 | 刑事ドラマ'70年代






 
☆第273話『逆恨み』(1977.10.21.OA/脚本=長野 洋&小川 英/監督=竹林 進)

画像は、ボス(石原裕次郎)とコルト・ローマンMk-lllと、ロレックスですw

ロッキー(木之元 亮)登場編における刑事たちの使用拳銃は、ハイパト(S&W M28)とローマンが混在してる状態でしたが、それから1クールずっと地味なエピソードが続き、久々に拳銃が大活躍する本エピソードでようやく全員がローマン(あるいは同じMk-lllシリーズのトルーパー)で統一されてることがハッキリと判ります。

『特捜最前線』や『Gメン'75』『大都会PART III』等の刑事ドラマも同じ経路を辿り、日本のTVドラマ界では「刑事の拳銃=コルト・ローマン」が常識となる時代が長く続いていきます。

その時代こそ、私が最も熱心にテレビを観てた時代ですから、オートマチック拳銃が主流になった現在においても、マイ・フェイバリット拳銃はローマンの旧2インチ。これは永遠に変わりません。

さて、本エピソードは淀橋署の刑事(金子信雄)に誤認逮捕された前科者(剛たつひと)が脱走し、復讐を果たそうとする話。ショットガンを調達し、ロッキーを人質にしてビルの屋上に立て籠った犯人と、ボスが対峙します。

そしてボスのローマンが火を吹き、ショットガンも拳銃も弾き飛ばされるんだけど、犯人はしぶとくナイフをロッキーの喉元に突き立てます。

「心配するなロッキー。どんな事があってもお前の命は守ってやる」

「なんだと? てめえ、正気か!?」

「ああ、正気だ。お前にはそいつの喉を切れやしない。せいぜい2~3ミリ切ったところで、オレの鉛の塊がキサマの脳天をぶち抜いてる」

「ハッタリかますな!」

「やってみるか?」

そんな格好良すぎるボスに対して、結局ナイフも弾き飛ばされちゃう犯人=剛さんが格好悪すぎますw

ちなみに剛たつひとさんは数年後、第515話『生いたち』でも同じような役でご出演。そして同じようにビルの屋上でジプシー刑事(三田村邦彦)に何度も拳銃を弾き飛ばされ、究極に格好悪い姿を晒しますw 本当にソックリなシチュエーションで、偶然の一致なのか故意に同じゲストを呼んだのか、どっちにしても凄いことですw

ついでに言えば、カッコ悪い犯人にやられっぱなしのロッキーも、相変わらずパッとしません。この次のエピソードではもっとダサい姿を披露してくれますので、乞うご期待w
 
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