ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『リトル・ミス・サンシャイン』

2021-01-12 12:05:10 | 外国映画










 
これはいい! 最高! 超オススメ! これだけ笑って泣いた映画は久々です。

「自分以外の人が好きな映画も観てみよう」シリーズの第6弾だけど、この映画と出逢えただけで「POPEYE」誌を買った甲斐がありました。イラストレーターのオカタオカさんが推された作品で、2006年公開のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督によるアメリカ映画です。

ニューメキシコに住む7歳の女の子=オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)が、カリフォルニアで毎年開催される美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」に出場するため、家族全員でおんぼろマイクロバスに乗って、南部から西海岸まで大地をひた走るロードムービー……って聞いただけで面白そうですよね?

だけどこれが、ただ女の子が可愛くて楽しいだけの映画じゃないんです。

やたら勝ち負けにこだわる価値観を家族に押し付けまくる父親(グレッグ・キニア)、哲学にかぶれて誰とも口を聞かない義兄(ポール・ダノ)、ゲイで鬱病で自殺未遂をやらかしたばかりの叔父(スティーヴ・カレル)、そして違法ドラッグがやめられず老人ホームを追い出された祖父(アラン・アーキン)とw、家族はクセ者揃いでまともなのはお母さん(トニ・コレット)ぐらい。

当然のごとく気持ちがバラバラでまったく噛み合わないファミリーが、道中で数々のトラブルを乗り越え、およそ勝ち目のないミスコンに挑むことでどうなって行くか、まぁそのへんは書かなくても予想がつくかと思います。

でも、やっぱ上手いんですよね。最初はどいつもこいつもイヤな奴に見えたのに、話が進むにつれどんどん好きになっちゃう。みんなそれぞれ人生につまずいた敗者なんだけど、だからこそ共感し、応援せずにいられない。

そういうドラマは各国で創られてるでしょうけど、このジャンルに限ってはアメリカが一番上手いんじゃないでしょうか? 観る側の好みにも拠るでしょうが、アメリカ映画はとにかくユーモアのセンスが抜群にいい。と言うよりそこで絶対に手を抜かない。私にとって一番大事なポイントです。

負け犬たちが頑張る系のコメディーは日本映画にも少なからずあって、最近だと『カメラを止めるな!』あたりが成功例になると思うけど、比べるとやっぱ弱いですよね。

そもそも製作費のケタが違うし、俳優陣の層の厚さが決定的に違う。『リトル・ミス・サンシャイン』はアメリカ映画としては低予算で、有名スターはグレッグ・キニア氏ぐらいしか出てないのに、それでも絶望的なレベルの差を感じてしまう。子役に至るまで演技は完璧で、どのキャラを見てもその人以外にあり得ない!って役者さんが選ばれてる。

脚本も撮影も同じようにレベルが高い。なぜ高いかと言えば、それだけ時間をかけて吟味してるから。そうするにはどうしてもお金が必要なワケで、映画製作への出資を惜しむ国と惜しまない国の違いが、作品の出来映えにモロ反映されてるワケです。

もちろん、低予算を逆手に取った創り方、河瀬直美監督みたいにあえて素人さんを使ってリアリズムを追究するような創り方もあって、日本映画はそこで勝負するしかない。それはそれで我が国の強みなんだから、この『リトル・ミス・サンシャイン』みたいなジャンルは海外に任せておけばいいんだと私は思います。

とにかく未見の方には是非観て頂きたいので、詳しいストーリーは書かないでおきますが、1つだけ、違法ドラッグがやめられない不良爺ちゃんが、ミスコン前夜に緊張して眠れないオリーヴちゃんにかけた言葉を記しておきます。

父親から「優勝しなきゃ意味がない」「負け犬には死んでもなるな」とさんざんプレッシャーをかけられて来た彼女に、爺ちゃんはこう言いました。

「負け犬の意味を知ってるか? 負けるのが怖くて挑戦しないヤツらのことだ。お前は違うだろ? 負け犬じゃない」

オリーヴはお爺ちゃんっ子で、コンテストで披露するダンスも、ふだん下品なことばっか言ってるこの爺ちゃんが振り付けたもんだから、本番でえらい騒動が巻き起こっちゃいますw 両親はチェックしなかったのかよ?!って、そこはツッコまずにいられませんw

でも、そのシーンで私は爆笑しながら大泣きしちゃいました。なぜ泣いちゃうのか、それは観てのお楽しみです。この不良爺ちゃんがドラマを盛り上げる大きな鍵になってて、演じたアラン・アーキンさんはアカデミー助演男優賞を受賞されました。まさに儲け役!
 

コメント (7)
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