ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『里見八犬伝』

2021-06-02 09:17:06 | 日本映画








 
日本の冒険ファンタジー、RPG的アクション物と言えば、真っ先に連想するのがこの作品です。

SF時代劇、伝奇ロマン、東映JACアクション、そして薬師丸ひろ子と、全盛期の角川映画を彩った要素がてんこ盛りの、まさに集大成と呼ぶに相応しい1983年の大ヒット作。

原作・脚本は我らが残酷大将=鎌田敏夫さん、そして監督・共同脚本が、やり過ぎ大魔王の深作欣二さん。

仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字が刻まれた霊玉を持つ八剣士は登場しますが、原典『南総里見八犬伝』とは全くの別物。

千葉真一、真田広之、志穂美悦子、寺田 農、京本政樹、刈谷俊介、大葉健二、福原拓也が演じる八犬士が、夏木マリ率いるバケモノ軍団に生命を狙われる姫=薬師丸ひろ子を護るため、重力を無視した死闘を繰り広げるオリジナル・ストーリーです。

当時話題になったのは、角川映画が生んだ2大スター=薬師丸ひろ子&真田広之の初共演と、ひろ子さん初のセックスシーン。(ごくソフトなもんだけど、国民的アイドルの濡れ場はインパクト絶大でした)



それだけにラブストーリーとしての側面が強いんだけど、そこは深作欣二監督ですからアクションシーンの熱気もハンパなく、老若男女が楽しめる娯楽大作に仕上がってます。

ひろ子&広之に加え、アクション女優として唯一無二の存在だった志穂美悦子さん、可憐さ極まる岡田奈々さん、そしてこれ1本だけでバケモノのイメージが定着した夏木マリさん(オールヌード披露!)、さらに京本政樹さん、萩原流行さん等、あの時代のセックスシンボルがこれでもかと登場する豪華キャスティング。

そして深作監督のケレン味溢れる演出と、ジャパンアクションクラブのトップ3が魅せる華麗なアクション。いずれも様式美って言うか、舞を踊ってるみたいな感じでリアルじゃないのが私は不満だけど、このファンタジーの世界観には絶妙にマッチしてます。

ハリボテ感が否めないセットに大蛇や大ムカデ、合成丸出しの特撮など、当時にしてトホホだった日本映画のチープ感も、CG処理が当たり前になった今観ると逆に、その手作りの感触こそが大きな魅力になってます。



やっぱり、全てが熱いんですよね。大スターたちが本当に身体を張ったアクションや、現場で手間暇かけた特撮から伝わって来る熱気だけは、いくらハイテク技術が進化しても再現することは出来ません。

唯一残念なのは、当時は新鮮だったシンセサイザー主体のBGMやロックバンドによる英語の主題歌。時代劇にポップな音楽を使う「攻めてる感じ」は角川映画らしくて良いんだけど、トレンドであればあるほど時が経つと古臭くダサいものになっちゃう。まぁしかし、それも’80年代ならではの味と言えば味で、魅力の1つになってるかも知れません。

当時、私も劇場でこの映画を観ました。志穂美悦子さんが討ち死にする際に呟いた、このセリフが特に印象深かったです。

「誰にも愛されず、誰も愛さず……」

多くを語らず、たった一言で彼女の生き様を表現した、見事なセリフだと今でも思います。私も、死ぬ時に言う予定ですw



岡田奈々さんはアイドル歌手出身の女優さんで、私にとっては『俺たちの旅』や『ゆうひが丘の総理大臣』等の日テレ青春ドラマでお馴染みだった方。

本作では京本政樹さん扮する八犬士の1人と禁断の恋に落ちる義妹の役で、それを知って怒り狂った父親に斬り殺されるも夏木マリ軍団によって妖怪として蘇り、クライマックスで愛する義兄と対決するという、過酷な運命を背負ったキャラばかり揃った中でも特に悲惨な眼に遭うサブヒロイン役で、強い印象を残してくれました。

可憐なばかりじゃなく激しさや妖しさも見せる体当たりの演技で、これは代表作の1つと言えるんじゃないでしょうか。

コメント (4)
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