2011年の秋シーズン、テレビ朝日系列の日曜深夜「日曜ナイトプレミア」枠で放映された全9話の刑事ドラマ。本宮ひろ志さんの同名漫画を実写化した作品です。制作はテレビ朝日&MMJ。
日本屈指の大財閥「安田グループ」の御曹司=安田一平(庄野崎 謙)が、一族の掟に従い1年間で「正義とは何か?」という自らの命題への答えを見つけるべく、警視庁京橋警察署刑事課にコネで配属され、総理大臣をも動かす安田グループの人脈と財力を駆使し、暴力団や政治家が絡む大事件を解決していく痛快アクション。
しかし、そんな荒唐無稽なお話をドラマ化するなら、徹底して大真面目にバカをやらなきゃ駄目なんだけど、本作はちょっと中途半端だったように思います。
まず、深夜枠の番組=低予算ゆえか、安田グループの金持ち描写がショボい。主人公がヘリコプターで初出勤するファーストシーンからして、よく似た設定の『富豪刑事』が本物のヘリを使ってたのに対して、こちらは安っぽいCG処理。セットも衣裳も同様で、そこで圧倒的なスケール感が出せないと説得力がない。説得力がないとバカバカしさが笑いに繋がらない。
そして安田一平の婚約者である御前グループ総師=御前一十三(夏菜)にしても、地方検事となって一平を支援する武尊グループ次期総師=武尊善行(永井 大)にしても、わざと漫画そのまんまの「コスプレ」をしてウケを狙ったみたいだけど、単に浮いてるだけで豪快にスベっちゃってますw
ストーリーは警察幹部も絡む人身売買組織との対決というシリアスなもので、ちゃんと燃える展開もあるだけに、中途半端にフザケたりせず徹底して熱くやるべきでした。そうすればきっと笑えた筈ですw
それより何より残念だったのは、オーディションで2700人の応募者から選ばれたという、主役の新人俳優さんに全く魅力が感じられないこと。
オーディションはあえて「芸能経験ゼロの新人」を対象にしたそうで、演技が拙いのは仕方がない(もしかしたらそれもウケ狙い? だとしたらもっと下手な人を選ぶべきでした)にしても、大財閥の御曹司にはぜんぜん見えないし、眼を見張るようなイケメンでもないし、アクションも大して上手くないしで、言っちゃ悪いけど毎週チャンネルを合わせたくなる吸引力がまったく無い。
タレント人気に頼りきったドラマ作りがはびこる中、あえて無名の新人を抜擢したチャレンジ精神は素晴らしいと思うだけに、それで選ばれたのが(言っちゃ悪いけど)コレ?って思うとなおさら残念です。もしかすると出来レースだったのかも知れないけれど……
しかしその分、脇を固めるレギュラー陣には魅力的な俳優さんたちが揃いました。一平に恋心を抱く同僚刑事に国仲涼子、先輩刑事に松重 豊、泉谷しげる、課長に尾美としのり、マルボー担当刑事に遠藤憲一、フリージャーナリストに高知東生、一平の父親に大杉 漣、といった面々。
特に松重さんと遠藤さんの武闘派刑事ぶりが頼もしく魅力的で、安田一平抜きでこのお二人のバディ物にした方がよっぽど面白いかも?って、言っちゃ悪いけど思いました。
刑事ドラマがいよいよ謎解きゲーム一辺倒になりつつあった中、アクション路線の刑事物をやってくれること自体は本当にありがたく、だからこそもうちょっと何とかならんかな?っていう不満ばかりが眼につく、実に惜しい作品でした。
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