屯田物語

フォレスターとα6000が
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やちぶき

2005年05月01日 | 
ちょうど一年前。
旭岳ロープウエイ駅裏の湿地帯で君と会ったことは忘れられない。
あの、魅惑的な肌の艶やかさはまさに天上の星であった。

植物園の水辺で写真を撮っているとき、わたしの横に人影がさした。
柔らかな風にのって、透き通るような声が語りかける。

「あの黄色い花はなんといいますの」
「エゾノリュウキンカ、別名やちぶきというのですよ」

彼女の影はうなずいたようであった。
花について浅い知識しか持たない、そんなわたしに一番好きな花の名前を
尋ねたのだ。
でも、どこかで聞いたことのある声、そして粘りつくような妖しい香り。
水面に映える春の日差しがまぶしい、昔の記憶が蘇る。
あっと思って振り返った。

「君は・・・」

人影はない。
あたりには、ただ、濃密なやちぶきの香りだけ。

   花の名を問う君の影匂い立つ
    水辺にそよぐ、やちぶきのよう





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