『最強の雑草』と、ときどき呼ばれる「ハマスゲ」が、涼しくなって衰えてきました。11月から5月まで根の先の香附子は地中に残りますが、地上からは姿を消します。勢いを増してきたのは「ギシギシ」です。写真はうちの畑の遊歩道にはびこる「ギシギシ」です。
「ギシギシ」ではつよい思い出があります。
1999年春、神戸市西区神出の田んぼではじめて野菜をつくりはじめました。(翌年『大豆畑トラスト』を立ち上げました)「夏草の勢い」をまだ知りませんでした。畑の畝間の草を抜いて「ニワゼキショウ」の花を見つけ、「かわいい花だな」と抜かずに眺めたりしたものです。ところが夏になると畑もまわりの土手も草が繁り、蛇は出てくるし、どうしようもなくなりました。で、草刈り機を買って草をなぎ倒しました。
秋も深まり草の勢いがようやく衰えてきたとき、ギシギシをはじめて意識しました。
「たしか10日ほど前に刈ったのに、この草はもうこんなに生えてきたのか」と〈ムラッ!〉と腹が立ちました。そこで「鍬で根を掘り出して絶滅させてやろう」と、根を掘りはじめました。ゴボウのような根が地中深く伸びています。それをかなり下まで掘って「まだ根は少しだけ残ってるけど、もう生えてこんだろう。ギシギシ、どうだ! 参ったか!」と掘った穴を埋め戻しました。
ところがしばらくすると、あっちにもこっちにもギシギシが生えてきました。残ってしまった「あの根」だけでなく、根の切れ端からも芽が出て、10倍返しくらいに生えています。
これを見て、ぼくは「これからの人生、ギシギシとは勝負しない。おとなしく、生えてきたギシギシを刈るだけにして生きる」ことにしました。ギシギシの根をスライスして「どれくらい薄く切れば芽が出なくなるか実験してみよう」と思ったこともあります。
アレチヌスビトハギといい、ハマスゲといい、ギシギシといい、雑草は元気です。
そして王者は、やっぱりギシギシです。