10月19日(火)の続き話です。
皮をすっかり脱ぎ終わると、蛹はからだをぐにゃぐにゃさせて皮を一刻も早く落とそうとします。皮が落ちるまで動作を続けている様子を見ると、体表に皮が触れている感覚があるようなのです。
こうした動きはこのサトキマダラヒカゲだけでなく、他の蛹でも同じです。垂蛹であろうがなかろうが、蛹一般に共通した点なのです。とにかくぴくんぴくんと動作を繰り返します。
そのうち、アッと思う瞬間が訪れました。皮は落ちず、蛹が落下しそうになったのです。蛹をつなぎとめたのは尾端をラップに接着していた糸でした。かろうじて、命綱になって蛹を救ったのです。
これで、蛹と皮が離れました。そのことで蛹の表皮感覚は皮がなくなったと感知したのでしょう、ぐにゃぐにゃ、ぴくんぴくんの動きが止まりました。
糸をよく見ると、極細の糸が何本か束になっています。自然界でもこうした事態が起こりうるでしょうから、対策はきちんと講じられているのでしょう。