2019年3月、愛知県犬山市にある青塚古墳を訪ねました。全長123mの前方後円墳で、愛知県下では名古屋市熱田区にある断夫山古墳の151mに継ぐ第二位の規模を誇ります。出土した埴輪や土器から古墳時代前期、4世紀中葉の築造と考えられています。
名鉄の楽田駅で下車、県道を西へひたすら歩くこと30分、小さな橋を渡った左手に綺麗に整備された古墳が突然現れます。
墳丘は前方後円形の基壇の上に構築され、後円部が3段築成、前方部が2段築成で、墳丘表面は河原石の葺石で覆われ、各段に壺形埴輪が2m間隔で並べられていたことがわかっています。墳丘周囲にはやや不定形な盾形の周濠および外堤が巡らされていました。発掘調査を終えた古墳は復元整備され、青塚古墳史跡公園として公開されています。
一見すると前方部が3段で後円部が4段のように見えるのですが、最下部は基壇とされ、その基壇の上に築造された様子が見事に復元されています。これまで見てきた古墳の中で最も美しいと感じました。芝生が青くなるともっと美しくなるんだろうな。
この古墳は東へ4キロほどのところにある尾張国二之宮である大縣神社の所有地になっていて、古墳にはその大縣神社の祭神とされる大荒田命が葬られているとの伝承があるそうです。大荒田命は「先代旧事本紀」に見える邇波県君(にわのあがたのきみ)の祖とされています。発掘調査は神社の協力によって実現したものの、埋葬主体があると考えられる後円部の墳頂部分は調査対象外となりました。
公園内にはガイダンス施設「まほろの館」が併設されています。青塚古墳のほか、犬山市内にある古墳からの出土品などが展示されています。
熊野神社第一号墳の出土品。
白山神社古墳の出土品。
上野古墳群の出土品。
東之宮古墳の調査の様子。
東之宮古墳に副葬されていた11面の銅鏡。レプリカです。
展示を見学した後、資料コーナーで青塚古墳の調査報告書を読んでいると、受付のおじさんが声をかけてくれました。この邇波地方の古代史などについて30分ほど会話をすることができました。おじさんによると、この青山古墳は邇波の二代目の王の墓ということでした。
初代の王は犬山市の北の方にある東之宮古墳に葬られているのでぜひ行ってみて、と言われたので必ず機会を作ろうと思いました。(そして先日、東之宮古墳に行ってきました。)
青塚古墳の周囲には小さな古墳がいくつか残っているとのことだったので、まほろの館を出た後に見てまわりました。
青塚古墳の前方部の前にある小さな古墳。
たぶん葺石の名残りです。
竹藪になっていますが古墳です。
美しい古墳を見ることができたのと、古代史マニアの受付のおじさんのおかげで実に楽しい時間を過ごすことができました。
このあと、大縣神社を参拝しようかと思ったのですが、楽田駅まで戻ってそこからさらに30分、往復で1時間ほど余分に歩くことを考えると、体力に自信がなくてあきらめました。
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