2019年8月、東京都品川区北品川、御殿山の閑静な住宅街に佇む原美術館へ行ってきました。単身赴任宅から徒歩10分のところです。東京への転勤でこの北品川に住むようになって4年とちょっとになりますが、引っ越してきたときから気になっていた美術館です。いつでも行けると思いながらも訪ねることなく4年以上が経過、そしてついに来年末に閉館という記事を目にしたので重い腰がようやく上がって見に行ってきました。

この美術館は、実業家であった原邦造氏が昭和13年(1938年)に建てた邸宅を再生して昭和54年(1979年)に開館しました。年に何度か美術館を訪ねることがありますが、通常は作品を鑑賞することが目的なのですが、この美術館の場合は作品の鑑賞が目的ではなく、建物そのものを見たい、邸宅がどのように美術館として利用されているのかを見てみたい、というのが目的でした。

訪ねた日は「加藤泉 – LIKE A ROLLING SNOWBALL」と題した個展が開催されていました。私には現代アートはよくわからないのですが、意味不明ながらも非常にユニークな作品がこれだけ密集して並んでいると、個々の作品を鑑賞するというよりもむしろその空間が楽しく感じられました。それは私邸を活用したこの美術館だからこそ、なのかもわかりません。建物や部屋の構造や形、壁や床の色や材質、窓から見える庭園や木々の葉などのすべてが作品群と一体となって眼に入ってきます。いつまでもそこに留まっていたいとさえ思えてきます。小さな空間なので何度も行ったり来たりして、まるで小さい頃に親戚の家に遊びに行ったような無邪気な感覚に陥ってしまいます。建物と一体化した常設展もあり、本当に楽しい空間でした。






この美術館の素晴らしい点をもうひとつ。それはミュージアムショップです。ここのショップはまるで小さな展示室です。並べられた商品は商品と言うよりもひとつひとつが作品、アートです。どれを手にとっても「へえー、面白い」「発想がすごい」と思えるものばかり。撮影許可が必要なショップは初めてでした。
中庭に面したガラス張りの空間を利用したカフェも人気があるようでしたが、今回は利用しませんでした。
当館は2020年12月に閉館することが発表されています。竣工から80年が経過した建物の老朽化というのが閉館の大きな理由です。古い建築を再利用しているのでユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からこの先も美術館として運用していくには問題があるそうです。たしかに全ての展示室を車いすで鑑賞することはできず、エレベーターなんてとても設置できそうにない。そもそも美術館として必要な収蔵庫もなさそうだし、作品の搬入や搬出は建物の入口や廊下、階段を利用せざるを得ず、大型の作品を展示することはできないでしょう。また、資金面や行政面での制約を考えると建て替えも現実的でなく、群馬県渋川市にある姉妹館「原美術館ARC」に集約するという選択は納得のできるものです。
美術館の閉館後はこの建物は取り壊されるのでしょうか、それとも住宅として残されて誰かが住むことになるのでしょうか。たいへん興味のあるところです。

↓↓↓↓↓↓↓電子出版しました。ぜひご覧ください。

この美術館は、実業家であった原邦造氏が昭和13年(1938年)に建てた邸宅を再生して昭和54年(1979年)に開館しました。年に何度か美術館を訪ねることがありますが、通常は作品を鑑賞することが目的なのですが、この美術館の場合は作品の鑑賞が目的ではなく、建物そのものを見たい、邸宅がどのように美術館として利用されているのかを見てみたい、というのが目的でした。

訪ねた日は「加藤泉 – LIKE A ROLLING SNOWBALL」と題した個展が開催されていました。私には現代アートはよくわからないのですが、意味不明ながらも非常にユニークな作品がこれだけ密集して並んでいると、個々の作品を鑑賞するというよりもむしろその空間が楽しく感じられました。それは私邸を活用したこの美術館だからこそ、なのかもわかりません。建物や部屋の構造や形、壁や床の色や材質、窓から見える庭園や木々の葉などのすべてが作品群と一体となって眼に入ってきます。いつまでもそこに留まっていたいとさえ思えてきます。小さな空間なので何度も行ったり来たりして、まるで小さい頃に親戚の家に遊びに行ったような無邪気な感覚に陥ってしまいます。建物と一体化した常設展もあり、本当に楽しい空間でした。






この美術館の素晴らしい点をもうひとつ。それはミュージアムショップです。ここのショップはまるで小さな展示室です。並べられた商品は商品と言うよりもひとつひとつが作品、アートです。どれを手にとっても「へえー、面白い」「発想がすごい」と思えるものばかり。撮影許可が必要なショップは初めてでした。
中庭に面したガラス張りの空間を利用したカフェも人気があるようでしたが、今回は利用しませんでした。
当館は2020年12月に閉館することが発表されています。竣工から80年が経過した建物の老朽化というのが閉館の大きな理由です。古い建築を再利用しているのでユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からこの先も美術館として運用していくには問題があるそうです。たしかに全ての展示室を車いすで鑑賞することはできず、エレベーターなんてとても設置できそうにない。そもそも美術館として必要な収蔵庫もなさそうだし、作品の搬入や搬出は建物の入口や廊下、階段を利用せざるを得ず、大型の作品を展示することはできないでしょう。また、資金面や行政面での制約を考えると建て替えも現実的でなく、群馬県渋川市にある姉妹館「原美術館ARC」に集約するという選択は納得のできるものです。
美術館の閉館後はこの建物は取り壊されるのでしょうか、それとも住宅として残されて誰かが住むことになるのでしょうか。たいへん興味のあるところです。

↓↓↓↓↓↓↓電子出版しました。ぜひご覧ください。
![]() | 古代日本国成立の物語 ~邪馬台国vs狗奴国の真実~ |
小嶋浩毅 | |
日比谷出版社 |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます