『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第13章  木馬大作戦  11

2008-06-03 07:59:36 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 陽が海中に、その身を沈めて行く。多くの血を吸った生臭い戦野を、トロイの城壁を茜に焼いていた。
 トロイ軍の兵が戦野のあちこちから現れてくる、その兵たちが二人となり、三人となり、ひとつの塊が50人くらいの小隊となり、14~15の小隊が戦野に散開して、海峡管理隊の陣営を目指して進んで来る。
 これを見たパルタカスは、敵の作戦を感知、推察した。彼は、その頃、すでに彼の配下の3分の2に当たる1300人の兵を事前にスカマンドロス河の手前まで退かせ、襲撃に備えて待機させていた。また、残った兵の退路も確保していた。船を使い海上を退く者、また、陸上を退く者と万端を整えていた。敵は迫ってくる、襲撃が開始された。パルタカスは、退却を指令した。管理隊は退いて行く、干戈を交えるが、あえて、敵せず逃げた。襲撃隊は凱歌を上げた。彼等は、逃げる管理隊を追撃してきたが、深追いはして来なかった。トロイ軍は、海峡の利権を奪回した。アエネアスは、この襲撃作戦が成功したことの何故については深く考えなかった。海峡の利権を10年ぶりにトロイに戻ったのである。プリアモスも、この報に接し、ことのほか喜んだ。
 連合軍の陣営では、エペイオスが日没を確かめて、木馬の塀の取り壊しに着手した。