『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第14章  焼討炎上  12

2008-06-27 07:52:29 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 木馬の腹胴の中は、人いきれと季節がらとで気が狂わんばかりに暑かった。換気のための細工は、木馬のタテガミの構造に隠されていた。効果の程は疑わしかった。
 この腹胴に潜んで、もう、どれくらいの時間が経っているのだろうか、オデッセウスは、体内いや腹時計で時を探った。
 エペイオスは、オデッセウスに触れてサインを送った。真っ暗な腹胴の中に、一条の光が走った。エペイオスは、光の入ってくる穴に目をつけて、外を見るように手まねで伝えた。エペイオスとオデッセウスのいるところ、そこは指令者の指定席であったのだ。穴の大きさは、直径1ミリくらいである。その小さな小さな穴から、わずかではあるが外の情景がうかがい知ることができた。目を穴につけなければ見えない。この腹胴の中にいて、盲目状態で過ごす不安感がやわらいだ。
 オデッセウスは、50の目を代表して、外の状態をうかがい知った。シノンは、その穴の視野にはいなかった。
 神殿前の広場に着いたのちの、広場の市民たちの喜ぶ様が、かいま見てチエックしたオデッセウスであった。