『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第14章  焼討炎上  10

2008-06-25 07:02:06 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 木馬は、門を抜けて城市内に入った。街路を車輪をきしませながら通り、アテナの神殿広場へと向かっていく、木馬は、広場の中央に置かれた。人々は、ここでも喊声をあげた。
 太陽は、中天にかかって照り輝いている。風はない、強い陽射しは容赦なく降り注いでいる、彼等は、喜びに溢れていた。
 彼等は、ここでも感覚が麻痺していた。腹胴に潜む総勢25人の重量のことを考えると、木で造られた馬にしては、重いのではなかろうかと気がついた筈である。大勢の力で引く、それが彼等の感覚の目を見えなくさせていた。
 エペイオスの木馬造りの巧みさは、将兵たちが乗り込んだ木馬全体の重量のバランスを考えて、石で大きなパラスアテナの神像を彫り刻み造らせ、寝させた状態でつんでおいたことである。
 王女カッサンドラは、悲嘆にくれながら、大声で叫んでいるが誰も聞いていなかった。ラオコーンといえば、その頃、シノンが隠れていた池の草むらを調べていた。事件はそこで起きていた。彼は、毒蛇のひと噛みによってこと切れていたのである。