『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第14章  焼討炎上  9

2008-06-24 08:08:55 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 水で喉を潤したプリアモスは、聴衆を前に再び口を開いた。
 『私の話を聞いてくれているトロイ市民、将兵の諸君!戦争は、終わったと思うか、どうだろう?』 ここでプリアモスは、一同を見廻した。
 『私は、この長かった戦争は終わったと思う。今、ここに戦争の終結を宣言する!戦争の終わったことを皆で喜び合おうではないか。ここに帰ってくる道すがら、側近、重臣、このトロイを護ってくれたアエネアス、将たちとも話し合った。城壁前の、あの木馬、連合軍からの貢物だといっている木馬を引き入れて、アテナ女神に捧げようと思うが、諸君!皆の考えはどうだ。皆の思いを聞きたい。』 と話を結んだ。
 聴衆は沸いた。広場は喊声でどよめいた。彼等の叫びは城市を揺るがした。
 『木馬を城市内に引き入れよ!アテナ女神に捧げよ!捧げよアテナに!』
 市民や将兵たちは終戦を信じた。彼等、皆総出で木馬を引くことになった。彼等は、引き綱を追加して、皆で引っ張った。木馬は大揺れに揺れる、そして、かしぎながら、でこぼこの大地の上を引かれていく、門前に至ると、子供たちまでが引き綱に取りつき引っ張った。