『ギリシア人めとは何事だ。俺にシノネスという名がある。もうひとつ大事なことがあるが、やめとく、俺は言わんぞ!さあ~、好きなようにしてくれ。どうにでもしてくれ。こんな姿では何も出来やしない。お前等の好きなようになるしかない。もう、どうでもよい、さっさと好きなようにしろ!』
シノンは、言いたい放題を言った。
『そのもうひとつとやらを聞きたい。話してもらおうか、おい、ギリシア人!』
『言ったらどうなる、この俺様を助けてくれるのか。なあ~、助けてくれよ。トロイの人よ。』 と言いながら、シノンは、プリアモスの方に身体を向けて、
『何卒、プリアモス王、ねえ~、王様、この私にお慈悲を、お願いです。この私を助けてください。お願いです。こ、この通りです。お願いします。』
『おいっ!なにを、ほざいている、馬鹿者め!さあ~、その、もうひとつを言うのだ。言えっ!この野郎!』 と言いはなつや、シノンを思いっきり蹴飛ばした。シノンは、吹っ飛んで、喘いだ。
『言います、言います。手荒くしないで下さい。どうぞ、お慈悲を、このか弱い私をお助け下さい。』 シノンは痛みをこらえて、おもむろに話し始めた。
『あの木で造った馬の像はだな、『トロイのパラデイオンのアテナ女神に捧げる。』 その思い一途に造られたものなのです。その大きさ、その荘厳さ、若しトロイ人が、これを壊しでもしたら、アテナ女神の怒りが、ただちにトロイ人に下るように願いをこめて造ってあるのだ。これを城市内に引き入れて、アテナ女神に捧げたら、トロイを贔屓にして、トロイの安泰と繁栄を約束することになっている。この私の言っていることを信じてください。間違いありません。今、言ったことは本当です。これで、全部です。どうか、この哀れな、私を助けてください。お願いです、プリアモス王、この私に、何卒、お慈悲を。』
シノンは、一世一代の芝居をうった、つもりで話し終えた。
シノンは、言いたい放題を言った。
『そのもうひとつとやらを聞きたい。話してもらおうか、おい、ギリシア人!』
『言ったらどうなる、この俺様を助けてくれるのか。なあ~、助けてくれよ。トロイの人よ。』 と言いながら、シノンは、プリアモスの方に身体を向けて、
『何卒、プリアモス王、ねえ~、王様、この私にお慈悲を、お願いです。この私を助けてください。お願いです。こ、この通りです。お願いします。』
『おいっ!なにを、ほざいている、馬鹿者め!さあ~、その、もうひとつを言うのだ。言えっ!この野郎!』 と言いはなつや、シノンを思いっきり蹴飛ばした。シノンは、吹っ飛んで、喘いだ。
『言います、言います。手荒くしないで下さい。どうぞ、お慈悲を、このか弱い私をお助け下さい。』 シノンは痛みをこらえて、おもむろに話し始めた。
『あの木で造った馬の像はだな、『トロイのパラデイオンのアテナ女神に捧げる。』 その思い一途に造られたものなのです。その大きさ、その荘厳さ、若しトロイ人が、これを壊しでもしたら、アテナ女神の怒りが、ただちにトロイ人に下るように願いをこめて造ってあるのだ。これを城市内に引き入れて、アテナ女神に捧げたら、トロイを贔屓にして、トロイの安泰と繁栄を約束することになっている。この私の言っていることを信じてください。間違いありません。今、言ったことは本当です。これで、全部です。どうか、この哀れな、私を助けてください。お願いです、プリアモス王、この私に、何卒、お慈悲を。』
シノンは、一世一代の芝居をうった、つもりで話し終えた。
