『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第13章  木馬大作戦  15

2008-06-07 07:35:43 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 エペイオスは、各人を握手サインで、全員が予定のメンバーであることを確かめたうえで、木馬の腹胴への乗り込みを開始した。
 『音を立てずに乗り込め。』 その小声の注意とともに各人に柔らかい厚手のマントが手渡された。一番にエペイオスが、続いて、ネオプトレモス、デオメデス、アイアース、次いで、メネラオスと配下の兵たち、最後にオデッセウスが乗り込んで、エペイオスが腹胴をふさいだ。乗り込んだ者たちは、柔らかい厚手のマントで身をくるみ、隣同士が、すりあっても音が出ないように気を配って、腹胴に潜んだ。各人、息をころして身をひそめた。乗り込んだ者たちが、腹胴の中で窒息しないように工夫が施されており、排泄のことにも配慮された造りがされていた。
 この木馬作戦の25人は、今夜の深更まで、(約20時間くらい)この腹胴の中で過ごさなければならない、それを考えると気が遠くなった。彼等は、睡眠をとることで時を費消することにした。今夜、先行の4人の誰かからサインが送られてくるまで、この中にいることになるのである。
 彼等は、生死について考えるより、勝利についてのみ考えを巡らせた。