『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  62

2011-04-19 07:26:37 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『奴は体格がでっかい!鹿や猪と違う、とにかく、会えば闘う以外にない。全員でかかれば倒せると思う。統領も力を貸してください』
 『判った、そのときはそのときだ。闘う以外に方法はない、みんなはそのように覚悟していてほしい。俺たちが語っているようにうまくはいかん、そう覚悟しておくことだ。とにかく、会わないことを祈ろう』
 休憩に終止符を打って、彼らは準備よろしく、腰をあげ歩き始めた。
 『それにしてもだな狩をやる!と決まったら、身がぞくぞくする。さあ~、行こうぜ』
 一行は、獲物との遭遇に胸を膨らませて森の奥へと歩を進めた。
 ユールスは、従者の背中にいて、彼らの思いとは関係なく、目にする風景と頬をなで吹きすぎていく風を楽しんでいた。彼の思いは、背負われることは窮屈この上ないと思いながら、できることなら、父の背中にいたかった。そのような思いにかられながら現状に甘んじていた。彼は、自分の思いは叶えることは無理だと知りながら、訴えることも許されない自分の立場を自覚していた。
 彼らは、森の中の道なき道を黙して歩んだ。従者のひとりがアエネアスに声をかけた。彼は、森の中に樹木のない草地を見つけて指差した。