『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  69

2011-04-28 07:06:13 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼らは、昨夜の野営地に戻ってきた。アエネアスは、従者たちに指示をした。
 『お~い、皆、昼めしにこの小鹿を食べよう。さばいてくれるか』
 彼らは二つ返事で作業に取り掛かった。小鹿をさばく者、火おこし、食事場作りと分担して作業を進めた。ユールスは薪あつめにいそしんだ。
 秋の陽の光のしたで展開した狩の様子、獲物を処理して胃におさめる、その営みに連れてこられたユールスは、体験と営みの風景を目にした。彼らと共歓することも出来た。歓びをともにすることの大切さを子供なりに理解した。
 昼めしの準備が出来あがった。
 『さあ~、始めるぞ!まずは天に感謝だ。次は、このときを皆で力を合わせて、俺たちのものにした。皆、よくやった。おい、肉は焼けたか』
 従者が香ばしい匂いを放つ、焼けた鹿肉の串を皆に配った。酒杯には酒も満たされていた。
 アエネアスが焼肉に噛みついた。皆も一斉に焼肉に噛みつく、ユールスも小さい口をあけて噛みついた。
 『お~お、こいつはうまい!』
 皆も鹿肉のうまさをほめる言葉を口にした。ユールスも心から、これは旨いと思った。朝に食べた野ウサギとは、格段に違う鹿肉の旨さに感じ入った。
 『へえ~、肉といっても、それぞれにそれぞれの味があるものだ。それにしてもこの鹿肉はうまい!』
 文句なしに旨かった。彼は大人たちに混じって、『うまい、うまい!』 と味わって胃におさめた。
 『いやあ~、統領、旨いですね』
 『うん、旨い!』
 『この旨さ、感動!感動!』
 彼らは、旨い、旨いを連発して、焼けた鹿肉を口に運んだ。酒を飲むのは二の次にして鹿肉を食した。彼らは肉の旨さを堪能した。