『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  67

2011-04-26 08:37:36 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『うん、立ち上がれる。歩ける大丈夫だよ。おじさんは』
 『おっ!俺か見ての通りだ。先ずは大丈夫と言うところだ。ユールス、来い、鹿を見ろ』
 『おじさんの剣が刺さったままだ』
 『ユールス、見たか。おじさんの剣が大鹿の急所を刺し貫いた。おそらく大鹿の心の臓を刺し貫いたと思う。それで奴は一巻の終わりさ』
 皆がこの情況をつぶさに見ていたのだ。彼は、手を上げて『来い、来い』 のサインを送った。
 『おう、よくやったな!』
 『奴の頭突きの衝撃はどうだった?』
 皆で横たわっている大鹿を眺めながら談じ合った。大鹿は彼らが仕留めた小鹿の親であろうと想像した。彼らは、親鹿の思いを勝手な想像の領域の中で理解につとめた。
 アエネアスはユールスに声をかけた。
 『ユールス、お前も飛ばされたのか。まあ~、立っているところを見ると、先ずは大丈夫のようだな』
 アエネアスは、大鹿と渡り合った従者の方を向いて声をかけた。
 『どうだ。お前の心臓はおちついたか。まだ息づかいが少々荒いな、獲物の体から剣を抜いて来いよ』