イリオネスは、他の者たちとはかけはなれたスタンスで物事を観察し、考察、評価していた。クノッソス、マリア、キドニアの各集散所を支えている人口の多寡について考えた。集散所を成り立たせる人口規模、支える商業規模、それが集散所の繁栄を担保している。そして、それらを背後から押す力の大小とその効果を推し量って考えた。
クレタ島の文明、それの背を推す海を隔てた沿岸諸国の文明、そういった諸々の力がクレタの繁栄に力を貸したであろうが、それについてはイリオネスの推考の領域にあったかどうかは定かではない。しかし、繁栄が生起され、そして、その繁栄がクレタの自然破壊を引き起こし、それに輪をかけた大きな天変地異の自然災害が、クレタ島とそこに住む人民を窮地に追い込んだ。そのうえ、その時代に高度に発達していたクレタ文明の破壊にまで及んだ。そのこと自体、その時代に生きたクレタ島の住民たちの人智の及ぶ領域であったであろうか、自然災害と自然破壊と文明破壊、繁栄が引き起こした破壊、その時代、そこに生きていた人間たちの諸々の事情による人災ともいえる所業は、後世の者たちが歴史的解明に及んで知り得たことであるともいえる。繁栄が不思議を伴って繁栄し続けるとすれば、繁栄の崩壊には不思議がない、崩壊するべくして崩壊するのである。
昼のころとなった。一行は、昼食休憩にしようと中央広場に出た。
エドモン浜頭が周囲をうかがっている。突然、彼は右手を高く掲げて、大きな声で呼びかけた。
『お~い!イラコス!ここだ、ここだ!』
周りの者たちも彼に目線を注いでいる。
エドモン浜頭の息子のイラコスが二人の伴の者に荷物を持たせて近づいてきた。
『お~お、ご苦労、ご苦労。大変だったろう。ありがとう、礼を言うぞ。お前たちもここで、皆と一緒に昼を済ませろ』
『え~え、そのつもりでいます』
一行にイラコスらが加わって広場の一隅を昼めしの場として一同が座した。エドモン浜頭の奥さんの手作りの弁当であった。
クレタ島の文明、それの背を推す海を隔てた沿岸諸国の文明、そういった諸々の力がクレタの繁栄に力を貸したであろうが、それについてはイリオネスの推考の領域にあったかどうかは定かではない。しかし、繁栄が生起され、そして、その繁栄がクレタの自然破壊を引き起こし、それに輪をかけた大きな天変地異の自然災害が、クレタ島とそこに住む人民を窮地に追い込んだ。そのうえ、その時代に高度に発達していたクレタ文明の破壊にまで及んだ。そのこと自体、その時代に生きたクレタ島の住民たちの人智の及ぶ領域であったであろうか、自然災害と自然破壊と文明破壊、繁栄が引き起こした破壊、その時代、そこに生きていた人間たちの諸々の事情による人災ともいえる所業は、後世の者たちが歴史的解明に及んで知り得たことであるともいえる。繁栄が不思議を伴って繁栄し続けるとすれば、繁栄の崩壊には不思議がない、崩壊するべくして崩壊するのである。
昼のころとなった。一行は、昼食休憩にしようと中央広場に出た。
エドモン浜頭が周囲をうかがっている。突然、彼は右手を高く掲げて、大きな声で呼びかけた。
『お~い!イラコス!ここだ、ここだ!』
周りの者たちも彼に目線を注いでいる。
エドモン浜頭の息子のイラコスが二人の伴の者に荷物を持たせて近づいてきた。
『お~お、ご苦労、ご苦労。大変だったろう。ありがとう、礼を言うぞ。お前たちもここで、皆と一緒に昼を済ませろ』
『え~え、そのつもりでいます』
一行にイラコスらが加わって広場の一隅を昼めしの場として一同が座した。エドモン浜頭の奥さんの手作りの弁当であった。
