イリオネスは頷いた。
『今の話はちょっとたどたどしかったですな。いざ、世の移り変わりを説明するとなると言葉が詰まりますな。私の話で理解いただけましたかな』
『え~え、充分です。浜頭の丁寧な話しぶりでよ~くわかります。深遠なクレタの歴史、そして、今のイラクリオンの様子、私らにとって、とても大きな意味のある話でした。いろいろとありがとうございました』
話を聞いていたアドーネ夫人がおもむろに言う。
『貴方、なかなかの物知りで話し上手ですね。私もついつい聞き入ってしまいましたわ。貴方の話しぶりに感銘を受けましたわ!』
アドーネ夫人は感動していた。
イリオネスは庭に目をやった。曇っていた空が晴れ渡り、庭に明るい陽ざしがさんさんとふっている。
『浜頭、庭に明るい陽ざしがあります。『方角時板』の説明をしましょう。道具をもって庭に出ましょう』
『おう、判った。アドーネ、お前も来い』
『え~え、まいります』
三人は連れ立って庭に出た。空を仰ぎ見るイリオネス、それに倣って空を見あげる二人。イリオネスは、石でできた椅子の上に安定に気遣いながら時板を置いた。彼は慎重に事を運んでいる。
ヒモで吊るした鉄の棒の中心を時板の中心棒の真上に合致させた。時板の南北の線と鉄の棒の向きが一致するように合わせた。中心棒の影が時板に影を落とす、影は時板の東西の線と南北の線の交点から、短いながらも北西の方向に延びていた。西方向と北方向の線がつくる角度を3分して、その1、北寄りの方向に影がのびていた。イリオネスは事の次第を二人に説明した。彼は時板の北を指す線を指で指し、
『浜頭、見てください。昼になるとこの影がこの線に重なります。それから、影が少しづつ長くなりながら陽が沈むころには、この影がこの線に重なろうとするのです。季節によって少し差が出ますが。北の線を超えて東方向の線に向かうころから、今日の午後ということになります』と説明した。
『浜頭、今、この影を見てください。影がこちらに延びています。この線と影の間隔を見て『昼までに、間があるなと』ということをこの時板から読み取るのです。陽ざしのないときはこれは使えません。その時は鉄の棒のみを使って、南北の方角を見ることに使います』
『イリオネス殿、丁寧な説明ありがとう。これは便利このうえない道具ですな。雲に覆われた日、星の見えない闇夜でも方向を間違えることなく航海ができる。安心の道具として使います』
『今の話はちょっとたどたどしかったですな。いざ、世の移り変わりを説明するとなると言葉が詰まりますな。私の話で理解いただけましたかな』
『え~え、充分です。浜頭の丁寧な話しぶりでよ~くわかります。深遠なクレタの歴史、そして、今のイラクリオンの様子、私らにとって、とても大きな意味のある話でした。いろいろとありがとうございました』
話を聞いていたアドーネ夫人がおもむろに言う。
『貴方、なかなかの物知りで話し上手ですね。私もついつい聞き入ってしまいましたわ。貴方の話しぶりに感銘を受けましたわ!』
アドーネ夫人は感動していた。
イリオネスは庭に目をやった。曇っていた空が晴れ渡り、庭に明るい陽ざしがさんさんとふっている。
『浜頭、庭に明るい陽ざしがあります。『方角時板』の説明をしましょう。道具をもって庭に出ましょう』
『おう、判った。アドーネ、お前も来い』
『え~え、まいります』
三人は連れ立って庭に出た。空を仰ぎ見るイリオネス、それに倣って空を見あげる二人。イリオネスは、石でできた椅子の上に安定に気遣いながら時板を置いた。彼は慎重に事を運んでいる。
ヒモで吊るした鉄の棒の中心を時板の中心棒の真上に合致させた。時板の南北の線と鉄の棒の向きが一致するように合わせた。中心棒の影が時板に影を落とす、影は時板の東西の線と南北の線の交点から、短いながらも北西の方向に延びていた。西方向と北方向の線がつくる角度を3分して、その1、北寄りの方向に影がのびていた。イリオネスは事の次第を二人に説明した。彼は時板の北を指す線を指で指し、
『浜頭、見てください。昼になるとこの影がこの線に重なります。それから、影が少しづつ長くなりながら陽が沈むころには、この影がこの線に重なろうとするのです。季節によって少し差が出ますが。北の線を超えて東方向の線に向かうころから、今日の午後ということになります』と説明した。
『浜頭、今、この影を見てください。影がこちらに延びています。この線と影の間隔を見て『昼までに、間があるなと』ということをこの時板から読み取るのです。陽ざしのないときはこれは使えません。その時は鉄の棒のみを使って、南北の方角を見ることに使います』
『イリオネス殿、丁寧な説明ありがとう。これは便利このうえない道具ですな。雲に覆われた日、星の見えない闇夜でも方向を間違えることなく航海ができる。安心の道具として使います』