『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  365

2014-09-22 07:58:09 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
『しかし、考えてみてください。イリオネス殿、500年1000年もさかのぼっての話となると、もう、そこは神話伝説の領域ですな。それが真実であったという証拠がありませんな。話はそれでもよろしいかな?』
 エドモン浜頭は、うかがうようにイリオネスの目をじい~っと見つめた。
 『浜頭、え~え、それでいいですとも、聞かせてください。伝説の中の真実、長大な時の流れの中の事実として後世に誰かが気づくということを信じています。何卒聞かせてください』
 『イリオネス殿、かなり眉唾ものですぞ。その様に思って聞いてください』
 『何事もそうですが、ものごとの始まりは、始めはチョロチョロとしたものです。川の源流見たいものです。クレタが今のようになる、チョロチョロはさかのぼること1500年も昔と言われています。クノッソスもそうですが、マリア、ザクロス、フエストスの宮殿集散所は、クレタに花が咲く500年前に建てられたといわれている。それ以前はどうであったのか、それについて語られていることは、今の宮殿集散所の場所にすでに宮殿集散所があったらしい。それがこの1000年の間にクレタを襲った三つの大地震の最初の大地震で跡形もなく崩壊したといわれている。おそらく石と土で造られていたのではないだろうかと考えられる。この大地震は、今から500年~600年前ごろの事だと伝えられているのです。この大地震の後からの時代にクレタを治めたのがミノスという王である。が、この王には数々の伝説が伝えられている。ここでの話は宮殿集散所の事について話します、それでよろしいですな』
 『それでよろしいです』
 話す浜頭、聞くイリオネス、二人は、茶を飲んでのどを湿らせた。
 窓から差し込む光、目に映る窓外の景色にひととき休んだ。
 浜頭は話し始めた。
 『このミノスという王は、それはそれは頭の良い賢い王であったらしい。くずれた宮殿集散所の上に立って、周囲を見回す、北にはクレタ海に臨む、この地を大層気に入ったらしい。よっしゃ!ここに俺が寝起きする館を建てる。それを建てろ!急いで建てろ!というわけで館を建てた。それについて王はいろいろと考えたのですな。石造りはダメだ。手間ヒマがかかる、木材を使え、そのほうが速く出来上がる。建物の設計はこれでいけ。そして工法は、これでいけと木材を骨組として石を組み、壁を塗って造作をやるのだ、敷地の区割りはこの通りとせよ。そうだ、島民の事も考えてやらねば、、、、、』
 浜頭は、ここで少し言いよどんだ。彼は何と言おうかと戸惑ったらしい。