『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  362

2014-09-17 07:04:54 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『イリオネス頭、朝めしはどちらでやりますか?小屋中か、それとも、浜で』
 『小屋中でやる。一同に今日の予定を伝える』
 『判りました』
 アレテスは、浜小屋に全員を集めた。朝めしの場は互いに昨日を語りながら、硬くなった、いや、硬く焼かれたパンを口に入れた。
 イリオネスは、一同に今日の予定を伝えた。アレテスは、作業について事細かく指示をした。
 『一同、判ったな。クリテスにテトスは、出かける支度をしてくれ。杖代わりの丸太ん棒は四人分を準備するのだ、いいな。二人はスダヌス浜頭と俺、四人でクノッソスの集散所に出かける。質問は?』
 『ありません』
 『よしっ!一つ付け加える。ホーカス、人員を割いて、浜小屋を掃除してくれ。以上だ』
 『判りました』一同が答えた。
 スダヌスが姿を見せた。それを機に彼らの今日が始まった。イリオネスら五人は浜を後にした。
 イリオネスは、エドモン浜頭の館の前で集散所へ向かう一行と別れた。彼は、館の前に立っているエドモン浜頭に迎えられた。浜頭は、イリオネスを丁重に迎え客間へ招じ入れた。
 『エドモン浜頭、おはようございます。このたびはいろいろとお世話いただき誠にありがとうございました。今日、昼過ぎには帰途に就こうと考えています。皆さんご一家には大変世話になりました。重ねて礼を申し上げます』
 『いやいや、こちらこそ行き届かぬことも多々あったと思います。イリオネス殿、丁重な挨拶痛み入ります。昨夜、スダヌスより聞きました。帰られましたら、アヱネアス統領に何卒宜しくお伝えください』
 ここまで言って浜頭は、大きな声で妻のアドーネを呼んだ。アドーネは、大きな包みを抱えて、客間に入って来た。
 『イリオネス殿、今日でお別れとは、寂しいですね。もっとゆっくりされてもいいと思いますが、お互いに都合のあることと察しいたします。これは、私どもの心づくしの品です何卒お持ち帰りください。また、スダヌスともどもおいでになるようお待ちいたしています』
 『ありがとうございます。喜んで頂戴いたします。是非とも再度お訪ねしたいと思っています』イリオネスとエドモン浜頭は、しっかり肩を抱き合った。