『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  356

2014-09-09 07:25:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
『ややっ!これは、これは、豪勢な!大変なごちそうですな、浜頭!喜んで馳走になります』
 スダヌスが大声を上げた。
 『お~お、どうぞ、どうぞ。イリオネス頭もどうぞ!皆さんも遠慮なくやってください』
 エドモン浜頭が一同に薦める。イラコスが酒杯を配る、伴の者が酒を注ぐ。 
 『おう、酒がいきわたったかな。では、乾杯といきましょう。皆さんを迎えた私どもの気持ちです。乾杯っ!』
 エドモン浜頭の声がけで昼めしが始まった。
 『エドモン浜頭、一同喜んで馳走になります』
 『遠慮はいらない。おう、心置きなくやってくれ』
 馳走をとろうとする、ぶっとい腕が交差する、目を合わせる、思わずこぼす微笑み、和やかであった。
 『ややっ!こいつ!うまいっ!』
 スダヌスが声をあげて顎に手を当てる。すかさず、イリオネスの顎にも手を伸ばしてあてた。
 『あごを落としにかかったわい。お前大丈夫か?』
 『あごを落としたら、俺が受けてやる!』
 感動のわたり合いをしながら馳走の品を口に運んだ。アレテスが話す。
 『マリアの集散所にも驚いた。ここはマリアに輪をかけてでっかい!驚きで肝をつぶして、ほれこの通りですわ』彼は身を震わせた。
 『それは、そうですな。イラクリオンとクノッソスを含めてだが、マリアとは街の大きさが格段に違いますな。マリアの四、五倍はあります。そのうえ、ここに集まってくる人の数がマリアとはでっかい差があります』とエドモン浜頭の弁である。彼は言葉を継いだ。
 『昼からは私らの売り場も見ていただけます』
 『それは、それは、是非、見せてもらいます、私どもの勉強になります。うれしいことです』イリオネスが答えた。
 浜頭の奥さんの手作りになる弁当は素晴らしく旨かった。一同の忘れることのできない、おいしい食事であった。イリオネス以下の一同が一斉に『ごちそうになりました』を口にして、深く頭を下げて礼を述べた。スダヌスもそれに倣って礼を述べた。
 スダヌスは、浜頭の耳に口を寄せて何事かを小声でささやいた。浜頭は顔を大きく縦に振って頷いた。そのあと、イリオネスの耳にも口を寄せて何事かを告げた。うなづくイリオネス、スダヌスは何をかを段取りした。
 『昼も済ませた。おう、スダヌス、昼からの予定コースを見て廻ろう』
 一同は腰をあげた。エドモン浜頭はイラコスに身を寄せて何事かを耳打ちした。イラコスは一向に挨拶をして立ち去った。彼らは、再び集散所の中を歩いた。
 スダヌスとイリオネスは、広場にとどまって何事かを打ち合わせた。