『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  456

2015-02-02 07:19:54 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 新艇の事が話題になっている。彼らは寄ると新艇を話題にした。彼らは新艇を造ったことを誇りに思っていた。
 ドックスからの勧めで新艇を試し乗りしたギアスの試乗談義が話題を提供していた。
 それを耳にしたパリヌルスはギアスを呼び寄せた。
 『おう、ギアス、お前、毎日ご苦労。ところでだ、明日のキドニア行きには新艇を使ってキドニアに行くのだ。昼過ぎの魚の運搬には舟艇を使う。キドニアで後事を引き継いでできるだけ早く帰ってきてくれ。やってほしいのは新艇の試乗感の分析だ』
 『判りました。その分析事項は何でしょうか?』
 『おう、それは次の2点だ。1枚帆と3枚帆の艇を推す力がどう違っているのか。が一つ。もう一つは、少々わかりにくいと思うが、1枚帆と3枚帆の風のはらみ具合、帆の構造が少々違っているのだ。メインマストの帆は三角形に近いカタチだが帆がはらむ風量が、その面積に比してやや多くなるようにたるみを持たせた構造になっている。それの効果に注意を払って効果を見てほしい。ドックスに言って<風風感知器>を借りて行け。使用方法を聞いてもって行くのだ』
 『判りました。出来る限りやってみます』
 『判ったな。ギアス』
 パリヌルスは、用件を伝えた。

 パリヌルスとオキテスの二人は、今日も武闘撃剣訓練の場に来た。
 『おい、パリヌルス。考えて造った、あの防具、なかなかいい!使う木剣も訓練に最適といったところだ。アレを身に着けての訓練は効果的と言える。お前に思いっきり打ち込まれたところだが、あざができるかなと思ったがそうではなかった。今朝の朝行事で見てみたがあざができていない。また、気にかかる痛みもない。あれはいいものだ。推奨ものだな。訓練に励む者はアレを身に着けてやれと言ってやろう。組剣の形を教えたあと、木剣による実戦の打ち合いをやれば上達間違いなしだ。ちょっとだが改良したい点を見つけた。今日は、それの研究をやる』
 『そうか、判った。昨日、お前から受けた一撃、あれは鋭かったな。これを見ろ、そのあとがこれだ。ただ、少しだけだが痛みがある』
 『それなのだ、改良したいと思ったのはそれなのだ。それを研究しながらの今日の撃剣訓練なのだ。見せろや、そのあざを』
 オキテスは、言いながらパリヌルスの右脇胴に目をやった。
 『ややっ!これはこれは、悪かった。深く謝る、この通りだ』
 『避けきれなかった俺のミスだ。誤ることはない』
 二人は身支度を整えながら会話を交わした。
 オキテスは、撃剣のコーチ役をつとめているリナウスを呼んだ。